【感想】僕の心のヤバイやつ Karte.89「僕は溢れ出る」を読んだ

惨めな虚栄心を痛感し劣等感に苛まれるイッチが山田の頑張りに感化される話。
「比較、嫉妬、自己嫌悪。そんなの単なる保身。馬鹿野郎……!」の場面がとても秀逸。
イッチはプレゼントを皮肉ったが、実はそれが自己卑下だったというのが今回のハイライト。
自分が用意した贈り物をわざとディスって原さんに否定して欲しかったのでしょう。
それなのに原さんが同意しちゃったからイッチは自信を喪失したというワケであった。
しかし山田と同じ境遇になることで彼女の頑張りを洞察し自分も勇気を出せたというオチ。

「俺が手作りとか…なんか盛られてそうだろ」・「アクセサリーとかキモキモのキモだ」

劣等感に苛まれるイッチ

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  • 否定して欲しくてわざと自己卑下したのに賛同されてしまい自信喪失
    • 前回の最終局面で、山田に対して自己の所有権を主張してしまったイッチ。それを山田自身に聞かれていて、どうする!?という流れで今回に続きましたが……なんと、イッチは「山田は俺のだ」から「山田は俺の大好きなカレーも食べてたな」と強引にごまかし。見かねた原さんは神崎くんにこれまでのことを耳打ちし、イッチは山田に惚れていることを知られてしまうことになります。しかし神崎くんは自己否定的ムーブをするイッチに対して全面的に肯定し、山田に惚れていることも全然不釣り合いなどではないと評価してくれます。私立中に落ちて公立に来たイッチは不登校がちだったけど、山田との交流で世界が変り、山田だけでなく足立や神崎など愉快な男友達も出来ていたという展開には泣けてしまいますね。
    • その後、ダブルデートはそれぞれのペアに分離。イッチは山田に掴まれ強引に連れ去られていきます。ホワイトデーのお返しをすることをすっかり諦めてしまったイッチは、山田の誘いに応えず帰宅を促します。このままお流れかと思いきや、混雑する電車でリュックが潰れないよう必死でガードする姿を見て、山田はその中身に気付いたのでした。駅から出てベンチに座るとその状況はバレンタインデーの時の再現となり、イッチは山田がどんなに頑張っていたかを痛感することになります。これによりイッチがこれまで抱えていた内面的な感情が全て流されて行くのです。「比較、嫉妬、自己嫌悪。そんなの単なる保身。馬鹿野郎……!」の場面はグッときます。
    • イッチのホワイトデーのプレゼントは手作りマフィンで、その中にアクセサリーをサプライズとして仕込んでいたというもの。「手作り」や「アクセサリー」はイッチが自分でディスっていたものです。イッチは原さんに対して、自己ディスリをすることで、そんなことないよと言ってもらい、それを勇気にしたかったのでしょう。しかし原さんはイッチの自己ディスリに賛同してしまったので、イッチは自信を喪失してしまったのです。そんなイッチに勇気を与えるのは原さんではなくやはり山田だった!というギミックはページの構成的にも大変素晴らしいものとなっています。最後はこれまでカワイイと言って貰えなかった山田が「死ぬほど可愛い」と言われて幕を閉じます。山田の嬉し涙エンドをお楽しみください。

攻める山田

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