ラノベ

芝村裕吏『遥か凍土のカナン』(7)(星海社FICTIONS)の雑感

日露戦争から第一次世界大戦までを描いた架空戦史モノシリーズ最終巻。 印象としてはすごくダイジェストモード。 ロシア帝国の崩壊に乗じて東シベリア共和国を独立させましたよエンド。 6巻までの感想はこちら http://d.hatena.ne.jp/mmm000mmm/20160103/p1 …

芝村裕吏『遥か凍土のカナン』(星海社FICTIONS)の感想・レビュー

6巻でメインヒロインのオレーナを殺して退場させたので良くやった!!と狂喜したら最後に生きているフラグ。 見事に騙されてしまいましたとさ・・・。 まぁ生きてる伏線はかなり張られていましたけども。死体を主人公が確認していないとか醤油を使った似而非…

芝村裕吏『マージナル・オペレーション』1〜5(完結)(星海社FICTIONS 2012年-2013年)

ニートがミャンマーで少年兵を使役して民間軍事会社をするはなし。 作者の現地の取材に基づいてるらしく中央アジア・東南アジアの描写がとても良い。 途上国・新興国におけるスラム街の様子やストリートチルドレンを題材にしている。 希望のない子どもたちが…

『冴えない彼女の育て方』を読んで消費社会に絶望だ・・・

おはなしの筋としては、地味子の世間的評価をあげようとするもの。 ただし、エロゲーやギャルゲーのヒロインとしての価値観によってである。 どうすれば「売れる」キャラクター表現を造詣できるかというメタ的な内容を扱う。 ヲタクの欲望や大衆消費社会を婉…

西尾維新『偽物語(上)』講談社 2008年の感想・レビュー

厨二系ハーレム伝奇風味小説『化物語』の後日談。図書館に転がったので読了。 厨二主人公:阿良々木暦の妹:阿良々木火憐のおはなし。 前半は主に阿良々木暦のハーレム生活、後半から暦と火憐の兄妹関係編に移る。 相変わらず会話の掛け合いのテキストはノリ…

西尾維新『傷物語』講談社 2008 の感想

吸血鬼モノのラノベ。市営の図書館に転がってたのでそのまま読了。 吸血鬼の眷属にされた少年が人間に戻るために頑張るはなし。 相変わらず話の筋よりもキャラ立ちと会話の掛け合いテキスト面白いねぇ。 これで西尾維新モノは戯言と化物語シリーズに足を突っ…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』における幼馴染:田村麻奈美が可愛すぎる

昨今のヲタ文化描写モノの流行に乗って「妹」に巻き込まれて一般人視点からヲタク文化を眺めてニヤケルことを趣旨として名声を得たラノベ。ヲタ文化描写の隆盛はげんしけんで一般的に確立され乃木坂春香で若年層を取り込み801ちゃんな腐女子で収束しそうな感…

佐野しなの『僕は彼女の9番目』(電撃文庫)の感想・レビュー

サンタクロース女体化でオレ系少女と主人公の少年を取り合うハーレム小説。 サンタの女体化は筒井康隆『最後のクリスマス』でもやってるんですよ? (正確にはサンタに寝取られて恋人が孕ませられようとしている状況なのだが) どっかの漫画のお助け女神事務…

みかづき紅月『ぶよぶよカルテット』(一迅社文庫)の感想・レビュー

音楽の方向性が違う二人の姉妹と接しながら自己を晒す強さを知る少年のおはなし。 主人公の少年は何よりも目立つことを嫌う事なかれ主義者。それは小学校の時に習っていたピアノのトラウマから、異端であることの恐怖を植えつけられていたのだ。そのため、大…

南房秀久『ストライクウィッチーズ 乙女ノ巻』(角川スニーカー文庫) の感想・レビュー

アニメのノベライズはタイアップじゃないとちょっと売れねぇよなぁと思わせる内容。 4章構成で、話の要旨は以下の通り。 1章:アニメ第2話の戦闘描写そのまま 2章:こっくりさんをやって平家物語の巴が芳佳に憑依するという小話。 3章:ルッキーニ発案で近隣…

西尾維新『化物語(下) 第5話「つばさキヤット」』の感想・レビュー

妖怪系憑き物ハーレム小説の最終話。糞真面目系委員長の恋愛ストレス話。 怪異と接することを受け入れることにした阿良々木氏の成長を楽しめ。 怪異を当然と見做すと現実に過ぎなくなるという論理と会話のテキストがみどころ。 妖怪は迷信であり、それを信じ…

西尾維新『化物語(下) 第4話「なでこスネイク」』の感想・レビュー

図書館に下巻だけあったので暇つぶしに読む。 妖怪憑かれ系ハーレム小説。会話のテキストのノリを楽しめ。 第4話は妹的存在ちゅうがくせい戦国撫子ちんのおはなし。 主人公の阿良々木暦は私立進学校の落ちこぼれ帰宅部の男の子。吸血鬼の怪異にとり憑かれ、…

火坂雅志『天地人(下)』(NHK出版) の感想・レビュー

図書館でなんとなく下巻を手にして、そのまま読了に至る。 来年の大河ドラマ原作。上杉謙信・景勝の二代に仕えた直江兼続のはなし。 下巻は景勝が秀吉に促されて上洛する所から、大阪の陣で豊臣を滅ぼすまで。 このおはなしのテーマとなっているのが「義」と…

内村靖二郎『クダンの話をしましょうか2』(MF文庫J)の感想・レビュー

一巻目を読んでいないが、内村氏の作品なので某黄色い古本屋で保護。 妖怪「件」を女体擬人化した作品。妖怪女体化といったら内村さん。 妖怪「件」ちゃんは、予言が出来る女の子。けど件って予言すると死んじゃうよね。だからこの物語では予言をした人物か…

金月龍之助『雫』(ムービック) の感想

ヴィジュアルノベルを牽引した電波で有名な作品。 原作をやったことないので、メディアミックスの小説で補完。 日常の積み重ねで自己の存在理由を見失った少年が電波っこに赦しを貰う。 主人公の長瀬祐介は、毎日が同じことの繰り返しである日常に辟易してお…

杉井光『さくらファミリア!』(一迅社文庫)の感想・レビュー

聖書比較による解釈の相違をモチーフにした転生モノ。 イエス=キリストが女人化です。キリスト教徒が読んだらどう思うんだ?コレ。 a) 内容のおおまかな展開 主人公の祐太はユダの生まれ変わり、しかしその自覚はなかったの。そんな祐太のもとへ神の子の転…

西川真音『零と羊飼い』(一迅社文庫)の感想・レビュー

全世界を救うための生贄として、犠牲になる人物を決める過程をたのしむおはなし。なんか地球に隕石が衝突しそうなんだって。あらゆる方法を試したけど回避不可能。地球を救うための方法はもうあと一つしかない。それは、超能力者をスペースシャトルに乗せて…

朱門優『ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。』(一迅社文庫)の感想・レビュー

義父と上手くいかず、斜に構えて人生をどうでもいいと感じる少年が、想い出を取り戻し生き甲斐を見つけるというおはなし。どうでもいいですけど、ライター買いですよ、ライター買い。朱門さんですよ。『蜜柑』 や『めぐりひとひら』 、『いつか届く、あの空…

narcissu ナルキッソス サイドストーリー の感想・レビュー

ナルキ2のサイドストーリー。実はナルキは1しかやったことがありません。 主な登場人物は姫子と優花。物語は主に優花視点で語られる。ナルキは不治の病が発動しますが、女同士の友情を描いた作品。 水仙。学名ナルキッソス。開花時期は11月〜3月。 種でも…

杉井光/植田亮絵『さよならピアノソナタ2』(電撃文庫) の感想・レビュー

鈍感すぎるオトコノコに対してヒロインたちがヤキモキするのを眺めて楽しむ作品。 この一言に尽きる。根暗やる気なし主人公君が覚醒し、バンドという生き甲斐を見出して高校生活充実だ。しかもバンドのメンバーはエロゲハーレム展開だ。主人公くんがいるから…

杉井光/上田亮絵『さよならピアノソナタ』(電撃文庫)の感想・レビュー

舞台は現代日本の高校、音楽もの。 高校生活に生き甲斐を見出せない主人公が、よくある巻き込まれ展開でバンドをやることになり、傷心ヒロインの支えとなっていくというパターン。 「暇潰しバカにすんな、人生は死ぬまでの暇潰しだ!」 メインヒロイン「蛯沢…

野村美月『"文学少女"と月花を孕く水妖』(ファミ通文庫) の感想

本作品は文学少女シリーズの番外編。テーマは泉鏡花。 てっきり最終巻だと勘違いして購入し、文学少女も終わりかぁとしみじみしたのも束の間ページをめくったら番外編。 内容としては作家となった心葉の過去回想形式となっている。 ここから最終巻の後でどう…

清野静『時載りリンネ!』(角川スニーカー文庫) の感想

読んだ活字(書物に限る)に比例して時間を止めることができる妖精さん「時載り」をめぐる物語。 話の視点は妖精さんの幼馴染の男の子。よくある巻き込まれタイプで傍観者としての視点。 話の展開 主人公リンネは、人間と「時載り」のハーフの女の子。よくある…

桜庭一樹『私の男』(文芸春秋)の感想

スーパー近親相姦タイム。 ちょっとこれって桜庭一樹さんネームで購入したラノベ若年層にインパクト与えるじゃないですか?作品としては『少女七竈』に近い感じ。『少女七竈』においては桜庭作品によく描かれる男(働かなくてオンナにもてる)が種を撒き散ら…

桜庭一樹『少女には向かない職業』(東京創元社) の感想

働かない父親、現実に疲れる母親、そして少女。 「アル中無職の義父」と「遺産相続を目論む従兄」を少女二人で殺した中学二年生の物語。 視点は一人称で「あたし」こと大西葵。語り手は大西葵の過去回想といった手法。『少女七竈』が多面的な視点で書かれて…

今野緒雪『マリア様がみてる 〜薔薇の花かんむり〜』(コバルト文庫) の感想

長かったマリみて妹問題もようやく解決。これで祥子さまが卒業式を迎えてENDかな。 当初は「お嬢さま学校の雰囲気を楽しむ」小説だったが、2週目に入りキャラクター小説にシフトチェンジ。瞳子を妹にするのしないのが、随分と話の原動力になっていたが、いざ…

健速『あの日々をもういちど』(HJ文庫)の感想

本の帯にもあるように人気エロゲシナリオライターの健速さんの処女小説。 健速さんについてはこちら⇒元祖健速本店 入り口 健速さんといえば、老舗F&C『こなたよりかなたまで』と『ゆのはな』に代表されるPULLTOP『遥かに仰ぎ、麗しの』の本校系(殿子、梓乃…

杉井光『神様のメモ帳2』(電撃文庫) の感想

ヒキコモリの幼女がトンデモインターネット技術を駆使して事件を解決する。彼女は人呼んでNEET探偵。今回のお話はマネーロンダリングもの。マネーロンダリングが分かりやすく大雑把に説明してあるので、これを読んだ中高生の何人かは現代経済学に興味を持つ…

筒井康隆『パプリカ』(新潮文庫)

大衆娯楽小説。 第一部と第二部に分かれる。全編を通して、心理学者:千葉敦子がパプリカに扮して活躍する。 第一部では、パプリカが2人の人物の精神病を治療する。精神病を治療するまでの過程が比較的論理性を持った治療として、描かれる。第二部では、非…