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  • 文学

    武田泰淳『富士』(筑摩書房『武田泰淳全集第十巻』内収録)の感想

    精神科医でありながら精神を病んだ大島が、その元凶を手記で回想する。 第二次大戦下、富士山麓における精神科病院が舞台。 実習生である大島が、様々な精神病患者や治療スタッフとの関わりを通して人間集団に横たわる狂気に狂って逝く様が読みどころ。 個々…

    武田泰淳『富士』(筑摩書房『武田泰淳全集第十巻』内収録)の感想

    精神科医でありながら精神を病んだ大島が、その元凶を手記で回想する。 第二次大戦下、富士山麓における精神科病院が舞台。 実習生である大島が、様々な精神病患者や治療スタッフとの関わりを通して人間集団に横たわる狂気に狂って逝く様が読みどころ。 個々…

    武田泰淳『快楽』(筑摩書房『武田泰淳全集第十七巻』収録) の感想メモ

    時代背景は、大戦前の気配が色濃くなっていく日本。 仏教と社会主義がテーマ。一切衆生を掲げる仏教と全て等しい労働者階級がの関係性について云々。 主人公の柳は大きな寺の坊ちゃんで仏教と社会主義について思索していく。 柳は、僧であるにもかかわらずエ…

    武田泰淳『快楽』(筑摩書房『武田泰淳全集第十七巻』収録) の感想メモ

    時代背景は、大戦前の気配が色濃くなっていく日本。 仏教と社会主義がテーマ。一切衆生を掲げる仏教と全て等しい労働者階級がの関係性について云々。 主人公の柳は大きな寺の坊ちゃんで仏教と社会主義について思索していく。 柳は、僧であるにもかかわらずエ…

    サン=テグジュペリ『南方郵便機』(新潮文庫『夜間飛行』内収録)

    航空郵便機のパイロットであるジャック・ベルニスの殉職に思いを馳せた作品。 時系列がとびとびで読んでいて結構こんがらがる。 パイロットである職業ゆえに地上での安定した暮らしが対比として浮き彫りになる。 ここでもやっぱり一年中、毎日、日は一度ずつ…

    サン=テグジュペリ『夜間飛行』(新潮文庫) の感想

    航空業界がまだ民間における夜間の郵便業務が困難を極めた時代。何かに突き動かされるかのように反対をおしきり強引に民間の夜間飛行を推し進める支配人リヴィエールの心情が描かれる。彼は部下や雇用者を愛してやまないが、その愛し方は表面的にはあらわれ…

    武田泰淳全集 第2巻(筑摩書房)の感想

    サイロのほとりにて 北海道における、都会人の気質と自然人の気質の狭とか 都会人は到底北海道の自然に馴染めないとか、もともとの北海道人は明治の近代化に敗れ去った江戸人(都会人)であるというアイロニー 非革命者 敗戦後中国の代書業シリーズ。 この代…

    坂口安吾『牛』(ちくま文庫『坂口安吾全集』収録) の感想

    大方の話の筋はこんな感じ。 牛のような体格で頭の働きも悪い主人公。牛とあだ名を付けられ馬鹿にされている。あるとき彼は、高校生が集団レイプをしていると ころを目撃する。牛は高校生を追い払うのだが、女性からメンバーの一人だと勘違いされて騒ぎ立て…

    田山花袋『帰国』(花袋全集刊行会『花袋全集第7巻』収録) の感想

    山窩を題材にした小説。 ここに出てくる山窩は諸国を流浪しているが一年に一度故郷へ集うという設定。 この作品では、その故郷へ帰るまでの道のりが描かれている。 山窩の日常風景や生活、サーベルが象徴の官憲との関係について色々イメージできて面白い。 …

    ヘッセ/高橋健二訳『デミアン』(新潮文庫) の感想

    私は何年も試み続けねばならず、結局なんにもなれず、なんの目標にも達しなかったかもしれない。 私は自分の中から一人出て来ようとしたところのものを、生きてみようと欲したにすぎない。 なぜそれが困難であったか。主人公シンクレールがデミアンの手引き…

    中島敦『マリヤン』(ちくま文庫『中島敦全集2』収録)の感想

    パラオ地方島民の女性マリヤンの話。 インテリで知識人なマリヤンだが、温帯的気質の良いところも熱帯的気質の良いところも双方が打ち消されてしまって、そこに哀愁を漂わせている。文学を読んでも仕方がないのに本を読んだり、無理に洋装をしていたりする姿…

    中島敦『風物抄』(ちくま文庫『中島敦全集2』収録)の感想メモ

    日本の植民地下?委任統治領?のクサイ、ヤルート、ポナペ、トラック、ロタ、サイパンでの出来事を書いている。 向こうの気候や自然、島民の文化と日本人の関係などが面白い。 特に、ヘルメットを権威の象徴としパナマ帽では従わぬのにヘルメットを被った途…

    E.コールドウェル『タバコ・ロード』(岩波文庫)

    第一次世界大戦後、急速に近代工業に転換を強いられた南部の農業問題が題材。 ジョージア州の荒廃した一地方における「プア・ホワイト」が近代産業主義の圧迫に悲惨な敗北を舐めながら、しかも見込みのない異常な、それ故に悲劇的な希望をもって土地に執着す…

    武田泰淳『ひかりごけ』(新潮文庫)

    ◆流人島にて 舞台設定は日本の太平洋側の諸島。罪人が奉仕のために流されるある島があった。そこは本州から遠く離れ、一種の島独特の共同体を形成していた。主人公はかつてその罪人であり、島の労働力として酷使されてきた。だが、あるとき偶然雇い主から殺…

    遠藤周作『留学』(新潮文庫)

    『ルーアンの夏』『留学生』『爾も、また』の三部構成。いずれも留学時における文明の衝突がテーマ。 『ルーアンの夏』は戦後直後が舞台で功名心のためにキリスト教留学というカタチをとった若者:工藤が、実際にフランスに留学してみて感じる違和感に惹きつ…

    坂口安吾『母の上京』『外套と青空』『私は海をだきしめていたい』『戦争と一人の女』『青鬼の褌を洗う女』(新潮文庫『白痴』内収録)

    ◆『母の上京』 舞台は戦後。終戦後のどさくさに紛れ商品を横流し、闇で一財産きづいた男が主人公。だが、取り締まりが厳しくなり、闇での商売が立ち行かなくなる。大衆的屋台で働く母娘と女形崩れのオカマと一緒に暮らしていたが、男が隆盛だったときは娘と…

    徳田秋声『新世帯』(岩波文庫)

    文学史的な位置付けは自然主義で、高浜虚子の推で国民新聞で連載を始めた。 これまでの硯友社の趣から一変し、秋声の自然主義としての作品の土台となった。舞台設定は明治末年の商人の家庭。 主な登場人物は3人で、小さい店の主人;新吉とその新妻;お作、そ…

    徳田秋声『黴』(岩波文庫)

    ◆徳田秋声とは? 〜文学史的上の位置付け〜 ・およそ形を成した思想を持たず、逆にそれが人生に対して提出する「解決」に絶えず意識的に反発して独自の表現を築き上げた。 ・硯友社時代に『雲のゆくへ』で作家として認められる。 ・自然主義の時代が来ると『…

    徳田秋声『あらくれ』(岩波文庫)

    この作品は、お島という、全てを自分の力で解決しようとする勝気だが結局は周りの状況に引きずられてしまうという女性を描いたものである。お島は「人に対する反抗と敵愾心のために絶えず弾力付けられていなければならないような」女性で自分の人生を主体的…