今野緒雪『マリア様がみてる 〜薔薇の花かんむり〜』(コバルト文庫) の感想

長かったマリみて妹問題もようやく解決。これで祥子さまが卒業式を迎えてENDかな。
当初は「お嬢さま学校の雰囲気を楽しむ」小説だったが、2週目に入りキャラクター小説にシフトチェンジ。瞳子を妹にするのしないのが、随分と話の原動力になっていたが、いざ妹になると感無量ですな。乃梨子瞳子をおもんばかって号泣した描写には、思わずこちらも涙が。瞳子初回登場時に比べて随分とその人物描写も化けたなぁと感慨深い。長く続いているシリーズものならではの物語の楽しみというべきではかろうか。文体も薔薇様編のころよりもかなりくだけた感じになっているし、時代のニーズに合わせて現代の女子高生らしくなるように作者さんも意識なさっているようなかんじ?


読者視点で振り回されていた祐巳も貫禄が出てきて、演劇部部長と瞳子争奪戦をしても余裕の勝利だし、すっかり最終回の予兆。後はキャラクターの惹き付けでどのように物語を落とすかに注目です。どうでもいいけど乃梨子は可愛いなぁ。
志摩子さんはうなずいた。きっと聖さまの気持ちを、受け取りたいと思ったのだ。胃袋で。」とかいう今野さんの文体はわりと好きです。