ef - a tale of memories. 第9話「forget me not」 の感想

今回のお話はヒロインの再生と周辺人物の発狂。
宮子パートでは、オトコに存在を認知され他者関係の中で自分を見出す。が、その具体的行為を目撃した妹が精神的ショック。
蓮治パートでは、記憶退行した千尋が頽廃した日常を異性の存在により輝かす。が、蓮治くんは千尋の重荷に耐えられない。


◆宮子パート
自分の存在意義を誰からも見出してもらえなかった宮子。その存在を初めて認識してくれたヒロに見捨てられたと思い込み精神崩壊を起こしていたが、ヒロが傍に居てくれればそれだけで復活。「全てのことを投げ出して二人で逃げちゃおうよ」と宮子は提案するも、責任感溢れるヒロっちは関わったことから投げ出せるかと息巻く。その言葉を訊いた宮子は「もしかしたらわたしのことも逃げ出さずに最後まで責任とってくれるのかも」と思い「あたしは?」と尋ねる。そんな宮子に対してヒロは「一番なかったことにしたい事実だな」とツンデレ婉曲的に「宮子は捨てないで最後まで責任とるぜ」と宣言する。


現実の瑣末な出来事から逃げ出さず責任を取ろうするヒロには一緒に歩んでくれる人物が必要だった。妹的存在である景から励まされたり応援されたりすることは結局は重荷にしかすぎない。そんなヒロの重荷を一緒に背負ってくれるのが宮子という存在。ふたりは相互依存関係で傷を舐めあう仲なのさ。自分を認めてくれたヒロに接吻をする宮子。またヒロもそんな宮子に言葉ではなくキスで応える。ヒロからの口付けは宮子にとって「自分を必要としてくれた」ことを意味していた・・・


オトコとオンナの関係ってのは一晩寝てみてホントウのことだと分かるらしいんですよ?その晩、宮子はヒロにより破瓜の痛みを感じる。痛みを感じて自分のエクスタシーを感じるなんて自傷行為と通じるところがあるよな。ベッドの中で、「私だけをみててくれる?」「もう人の心から消えたくない」と心情吐露をかますのもお約束。そこへヒロのためにお料理を特訓しサンドイッチを手土産に景が乱入。二人の痴態を目撃してしまい逃走。ヤル気のサンドイッチが零れ落ちる・・・



◆蓮治パート
細々と紡いできた淡い記憶。蓮治との情交を全て留めておきたいと願うが、代償は大きく、その反動で蓮治との関係は全て忘れてしまう。幼子に戻った千尋を受け入れられるほど今の蓮治は強くない。楽しいから悲しく、不幸を知るから幸せを知るのだと神父さんに揺さぶられ、千尋から逃げ出すか、覚悟をするかとの決断を迫られる。結局、蓮治が取ったのは千尋と居るということ。


千尋にとって記憶障害を起こした後の日々は、ただ同じ毎日を繰り返すだけの頽廃したものであった。だが、そんな日常に光をもたらしたのが異性であり物好きな蓮治の存在。彼女は、蓮治に生きる希望を見出し、彼の存在から腐った日常は輝かしいものに変わる。記憶を失ってしまった千尋にとって自分の頽廃した日常を読み返すのはあまりにも過酷。だが、蓮治とすごした日々の日記だけはとても救いがあり、蓮治のやってきたことは無駄ではなかったのだ。


だがしかし、記憶を失ってしまった千尋は、記憶を失う前の千尋とは別人で、前の記憶を持った千尋は死んでしまったのではないか。そんな千尋の問いに愕然とする蓮治。千尋を傷つけないように、千尋千尋だよと述べるがその瞳には一筋の涙が流れる。そう、蓮治はただ千尋の傍にいたいだけで、まだ覚悟も何もできちゃいなかったのだ。彼が出来ることといえば叫ぶことだけ。



◆おまけの予告絵