集中講義:高校公民指導法1日目「公共性の欠如と生徒の実態」

私は国語科ですが、自分の専門の言語の勉強もせずに高校公民1種の集中講義に混じって出ています。
しかし、公民という科目は国語に密接に関わりがあるのですよ。
うちの大学は義務教育(小中)専門のため、高校指導法は外部の先生にお願いしています。
高校公民は上越教育大学の先生が光臨なさっております。

公共性の欠如と生徒の実態

現在の学習指導要領では、公民を含めどんな科目でも、実践的・能動的・日常的な現実社会の問題が重視されています。これは地域共同体の崩壊により、自分の世界とは関係ないものには関心を示さない社会構造になったことが影響しています。つまりは私生活と公共性がリンクしなくなってきているのです。具体的には電車の中で化粧をしたり、コンビニの前でたむろったり、お笑い芸人が「関係ない」と叫びながら踊る狂う様子。つまりは自分と関係のある者以外の他者は全て石ころであり、私的市民に陥ってしまっているのです。これは現代の子どもたちも例外ではなく、子どもの実態として「我慢できない」、「エサがないと動かない」という特性があります。このような私的市民になってしまった子どもに公的な関心を持たせるのが特に「公民」という科目の使命。

実践例

子どもたちの私生活と公共性を結びつける実践例としては「相互啓発」が重要視されています。これは公共性の欠如に陥ってしまった原因のひとつ「人との関わり」の喪失。桜庭一樹少女には向かない職業』に描かれている少女たちの姿が「人との関わり」を喪った現代っ子をよく捉えています。授業の中で「相互啓発」がなければビデオ講義を一人で聴いてた方が圧倒的に能率が上がります。みんなで授業を受けるのは人との関わりがあるから。
そんな生徒たちに与えるのが「up to date 」の問題。特に社会問題と生徒たちの間に関係があるのだと気づかせる内容を提起するのがポイント。現在流行りの問題の中で特に気を引かれたのが外国人労働者の問題。現在、フィリピンと看護師・介護福祉士の受け入れ協定を結びましたので話題的にもホット(cf.フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて)。福祉、経済、国際、環境、労働、倫理、モラルと幅広く実生活に結びつけることが可能。「病院で外人の看護師に見てもらうのどうよ?」という投げかけから始まり、外交人労働者の受け入れによって企業は低賃金で利益を上げようと目論んだぜ?と経済につなげ、2030年問題でも提起してやれば社会問題と私生活が関係していることに気づくというような設定。
私生活と公共性のリンクをどのように結びつけるかが、公民の鍵となってきます。