桜庭一樹『私の男』(文芸春秋)の感想

スーパー近親相姦タイム。
ちょっとこれって桜庭一樹さんネームで購入したラノベ若年層にインパクト与えるじゃないですか?

作品としては『少女七竈』に近い感じ。『少女七竈』においては桜庭作品によく描かれる男(働かなくてオンナにもてる)が種を撒き散らし、異母姉弟の少年少女がその事実をしらないまま惹かれていき、最後には別れて青春に墓標を立てるという展開でした。しかし『私の男』では血の連なりが、とうとう一線を越えてしまいます。近親相姦であることこの上ない。
作品の軸になるのは淳悟と花の二人。物語の構成が現在から過去に遡っていくように仕立ててあるので、二人の異様ともいうべき関係性を描き出すことがテーマになるでしょう。ラノベ出身だけあって、良くも悪くもキャラクター小説の表現が生きています。

以下、話の内容。

花はとうとう結婚するの。身内はお父さんである淳悟ただ独り。あれあれ、だけど年齢計算すると淳悟が16歳の時に生まれたことになっちゃうの。それは花が地震で家族を喪ったから。唯一生き残った花を親戚である淳悟が引き取ったみたい。だけど、二人は親子の間柄を越えた関係みたい。でも遠い親戚なら源氏物語よろしく若い燕の若紫もありなんじゃない。


と、推測していたら予想を斜め上に行く展開に・・・


淳悟と花は肉体関係を持っていた。そこを田舎を取り仕切る有力な老人に見られてしまう。引き離されそうになった花は老人を殺害。犯人は外国人ということになり事件は沈静化。二人は東京に逃げてくるも地元の頑固刑事が一人追跡してくる。その刑事を淳悟が殺害。そして老人が死ぬ間際、淳悟と花は本当の親子だと告げていた。だが、それも承知の事実。実は淳悟が親戚に引き取られていたときに種付けした子供。そのせいで花は家族と打ち解けられないでいたのだ。淳悟に引き取られて本当の家族を得た花は当初から歪んでいたのだ。さらに淳悟は母の面影を娘に映し、エディプスコンプレックスな近親相姦へとひた走る。花もその歪んだ関係性を受け入れ、父と娘であり、母と息子でありと異様な家族関係が形成されるのであった。