CLANNAD 「何故渚が演劇部にこだわるか」について

※この記事は第15回「困った問題」の感想の後に書いたので読んでくれると一層楽しめます?


各地で渚の演劇部問題の解消方法として「ミュージカル部」にすれば良いのではないかという感想が見受けられた。
だが、渚は「演劇部」にこだわるのである。
合唱部の事情を聞き、直ぐに諦めてしまった渚がどうして演劇部にこだわっているのかという反論もあるかもしれない。
もし、渚が「高校生活の生き甲斐を作る」を目標に部活動を目指していれば、合唱部に入部すればいいだけである。
今回は何故渚が演劇部にこだわるかについて書きたいと思う。


渚は暖かい家族に包まれていたが、その分負い目を感じていた。ただでさえ病弱で迷惑をかけているのに、その病弱さは幼少の頃の渚の駄々っ子から生じたものだったからだ。しかも、それだけではなく、その病弱さゆえに両親の夢を断ち切ってしまったのだ。
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当時、秋生は劇団員で早苗さんは私立中学の教師だった。二人とも共働きであったため、いつも渚は独りぼっち。そんな渚は二人の帰りをいつも外で待っていた。二人がいくら家の中で待つように言っても渚は聞かず外で待つ。そんな中、事件は起こった。寒さで凍える冬空の下、ついに渚は風邪をこじらせ倒れてしまう。それでも二人を待ち続けた渚は、何時間も外に放置され続け生死の境をさまよい続ける。一命を取りとめたものの、その身体は強弱体質となってしまっていた。
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そのとき秋生と早苗は悔やんだ。自分たちは子供を犠牲にしてまで夢を追いかけるのだろうかと。以来、今までの分を取り戻すべく、二人は自分たちの夢をすっぱり諦めた。アッキーは演劇を捨て去り、早苗さんは教鞭を棄てた。早苗さんの案でパン屋を始めたが、一から始めたアッキーは多大なる苦労を背負う。だが愛する妻子のため、身を粉にして働くその姿。その姿を見ていた渚は、自分のワガママで二人の夢を断ち切ってしまったことを知り、負い目を追う宿命に立たされる。
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まだ早苗さんは古河塾を開き子供たちに勉強を教えることができた。だが、秋生は自分の演劇生命のそのもの全てを捨て去ってしまったのだ。渚は自分を支えてくれたお父さんとお母さんの為、いつしか演劇をやることが目標になっていった。だから渚にとって演劇は人一倍思い入れの深いものであり、そうやすやすと諦めずにはいられないのだ。一見すると合唱部を立てたものの、心の奥底では悔しさでたまらない。他の人の前では決してその弱さを見せないところが渚の強さ。しかし、今まで渚を支えてくれた朋也の前でだけ、その演劇への拘りを晒すことができる。だから朋也の前では泣き顔を晒し、選択肢「渚を抱きしめる」がでたのであろう。杏に邪魔されたけど・・・


以上により、渚は「演劇」そのものに対して思い入れを持っており、演劇部にこだわるのである。