閣下と学ぶ帝国主義原因論 第4話「ウォーラーステインの世界システム論」

前回までのあらすじ
IM@S架空戦記に触発されて帝国主義原因論について調べています。
これまで古典的帝国主義・独占資本主義以外での側面・新マルクス主義帝国主義を見てきました。
今回はウォーラーステイン世界システム論における帝国主義の位置づけを見ていきます。

世界システム


ウォーラーステインを理解するためには世界システム論について理解しなければならないわ。



うっう〜。
世界システム論って一体なんれすか?美味しいんですか?



彼は近代経済を一国史的にでなく、ひとつのシステムとしてとらえたの。
「世界経済」の生産様式は資本主義的であり、それは単一の分業で結ばれているが、政治的には多中心、文化的にも多様であるとしたのよ。



れぅ〜。
せかいは一つなんれすけど多様なんですねぇ。どっちだかよくわかりませんれすぅ。



そして近代「世界経済」の変動として、「循環運動」と「長期変動」の2種があると唱えたのよ。
この二つの相互作用があるから世界経済は発生・成長・衰退・死滅の経過をたどるの。

  • 循環運動

資本主義はもともと無政府性を持っているものでしょ?それに加えて有効需要に限界があるじゃない?だから拡張と好況・停滞と不況の二つの局面はほぼ40〜50年周期で繰り返されるの

  • 長期変動
    • 利益増大のための絶えざる生産諸要素(財貨・土地・労働力)の商品化
    • 生産の機械化
    • 世界経済の地域的拡大
    • 反体制運動(社会・労働運動や民族運動)


それで上部構造としての国際システムが、循環運動と対応して「覇権国家」と「勢力均衡」が周期的に現れるっていったのよ



うっう〜。
その考え方だと17世紀のオランダ、19世紀のイギリス、20世紀のアメリカが覇権国家にあたりますね。

世界システム論における帝国主義の位置づけ


世界システム論において、帝国主義は近代世界を通じて現れる循環現象の一つだとされたの。



れぅ〜。
じゃあ彼の考え方だと、どの時代においても起こりうるものなんれすね。



そう、帝国主義は、資本家は国籍に縛られているにも関わらず、資本の利潤追求にも資本主義経済の分業にも国境なんて存在しない近代資本主義固有の矛盾が原因、とされたの。


孫引きしておきましょうか。「帝国主義と発展」(1980年)

世界経済での特定の覇権 ―1870年であればイギリスの覇権― が挑戦を受ける時、二つのことが同時に起こる。一方で挑戦する国々は覇権国の貿易・金融での優位を崩すため重商主義保護貿易政策をとって自己の勢力圏を囲い込もうとするが、こうした試みは当然覇権国の反発を招いて「周辺」諸地域で植民地の分割競争を激化させる。他方、このような旧覇権国への挑戦が可能になる理由の一つは、覇権国の生産能率が設備の老朽化や実質賃金の上昇のため相対的に低下したことにあった。その結果、覇権国の資本家はますます国外に有利な投資先を求めて資本輸出をおこなうが、その増減はじつは国内生産コストの変動のバロメーターに他ならない。


れぅ〜。
えーっと、当時のイギリス経済は多角的貿易決済機構が成立し、貿易赤字を貿易外収支(海運料、貿易商社手数料、保険、利子・配当など)により相殺していた国際収支構造だったとするのもその点から説明できそうれすね。