安田敏朗『国語審議会』(講談社現代新書) のメモ

現在の「国語」が精神主義的偏向を帯びていることを指摘し、それを批判する内容が書かれている。
簡略に要旨を述べるならば以下の通り。

近代日本における国語政策の在り方を、「簡易的なものを目指す」現在派と「伝統を重視する」歴史派の二派に分類。現在派優勢の中で、ふたつの流れの対立が国語審議会を動かしてきた。その傾向は戦後も続いていくが、両者の対立を調和させるため「国語愛」によって止揚した。この方向転換がおこったのが1960年代。以降「国語」は精神主義的なものになり、格差社会・階層社会・多文化社会・多言語社会において分裂傾向を見せる国民を統合するためのイデオロギー的なものになった。文化審議会国語分科会になった現在、国家による言語政策は社会に介入し、政策的に管理されるようになっていく。


大体は以上のような論調だが、本文ではもっとラディカルな感じで書かれている。確かに学習指導要領改定案を見ても「精神主義的偏向」の匂いがプンプンする。