遠藤周作『土埃』(新潮社『遠藤周作文学全集第五巻』)

東京の郊外(おそらく多摩?)に家を買ったはなし。都心に比べて空気も良くそれなりに気に入っているのだが、開発の為巻き起こる塵芥が家の中に入ってきてほこりが溜まってしまう点が不快だった。だが、その土地の歴史や地理を調べていくにしたがって、縄文時代の古代人や中古・近世の城跡に思いをはせるようになっていく。つまり、この土埃はかつての時代の積み重ねを孕んでおり、自分より以前に積み重なってきた時代の流れということに思い至る。すると、家の中に入ってくるほこりも決して前の様に嫌なものではなくなるのである。