true tears  第12話「何も見てない私の瞳から…」 の感想・レビュー

今回はそれぞれが現実と向き合うというお話。
じべたが空を飛ぼうとしないのは、飛ばないことを選択していたから。地べたに這いずり回って現実を直視し、のたうちまわりながらもその状況を受け入れる強さを示していた。…と乃絵ちんは解釈。その一方で眞一郎と乃絵はどうだ?二人の心情描写が今回のみどころである。

眞一郎の場合


「全部ちゃんとするから」と言ってチャリで比呂美を追いかけたわりには、何もしていないことに気づいた眞一郎。絵本も踊りも比呂美も乃絵も、自分で決めたことは何一つなく、周りにただ流されて漠然と流されていただけだった。怪しい目つきになりながら、押入れに篭って過去の自分と向き合い、それを受け入れる覚悟を示す!!踊りを踊りたくなかったのは上手下手の問題ではなく父親と比べられたくなかったから。絵本を描かなかったのは気分が乗らないからではなく自分の限界を知るのが怖かったから。じゃあ比呂美と乃絵に対してはどうだ!?比呂美は幼少の頃の淡い記憶が恋愛感情の未練になっているに過ぎないのではないか!?眞一郎が絵本と向き合うことが出来たのは、乃絵に見せたいという初期衝動。踊りと向き合うことが出来たのも乃絵が見たいといったから。虚栄心や自尊心のためではなく、ただ乃絵の期待にこたえたいという純粋な気持ち。麦端踊りを踊りながら「本当に飛びたい」と願った眞一郎は踊りの切れも増し、乃絵のためだけに踊る。

乃絵の場合


「真心の想像力」とか吐きながら、結局は何も見ていなかったことに気づいた乃絵。比呂美がホントウは眞一郎らぶらぶふぉーえばーだったことにも気づかず、本人から直接放っておいてと宣言されるに至る。お兄ちゃんが乃絵自身をかまってくれるのは、兄妹の純粋な感情からではなく、性的な意味で近親相姦だから。比呂美からの宣告と兄からの性的な要求によって、今まで自分が何も現実を直視せず、上ばかり見て現実逃避をしていたことを教えられたのでした。「何も見てない私の瞳からホントウに涙なんて流れるのかしらん」と自問自答、眞一郎が華麗に舞い踊る様を眼前にして、自分も空からの視点を得れば見渡せるのではないかと高い高い木によじ登る!!「麦端踊りで空を飛んだ眞一郎の気持ちを知るには、自分も空へと飛ばなければならない」と思い込んだ乃絵ちんは、そのまま木からダイブしちゃうの。