西川真音『零と羊飼い』(一迅社文庫)の感想・レビュー

全世界を救うための生贄として、犠牲になる人物を決める過程をたのしむおはなし。

なんか地球に隕石が衝突しそうなんだって。あらゆる方法を試したけど回避不可能。地球を救うための方法はもうあと一つしかない。それは、超能力者をスペースシャトルに乗せて隕石めがけて突っ込ませること。超能力者たちは身の危険を感じるととてつもないパワーを発揮するとかそんなかんじ。犠牲になる人物は既に一人は確定している。あと一人を3人の少年の中から選ぶというわけさ。超能力に目覚めるということは、何らかのマイナス要素や社会不適合であるということ。彼らの人生の表現描写を楽しめ。ついでにつがいとなるメス(ヒロイン)との情交も楽しめ。


結局、3人の少年たちはそれぞれに女のために、スペースシャトルに乗り込むの。女のために犠牲となるというその精神。まぁ結局は女もそれぞれついてきてしまい六人全員で突っ込むのですがね。これはこれで綺麗にまとまったなぁ、しみじみ。とか思っているとまだ十数ページ残ってますよ?なんととんでもギミック。今まで読者が読んでいたのは未来視が可能な少女が書いた予言の物語。ありうるはずだった並行世界。そこへ存在を消せる別の超能力者も現れ、隕石衝突の事実自体をなかったことにしてしまうわけさ。そうするとどうなる?今まで読んできた物語そのものが構築されなくなるわけさっということでエンド。・・・という解釈でいいんだよ・・・な?