ひまわりのチャペルできみと「円澤小雪シナリオ」の感想・レビュー

心が離れた元気っ子男勝り幼馴染と真の愛情を得るというおはなし。

世界観と主人公のキャラクター表現


ほんわか学園コメディかと思いきや、背景設定がいい味出してる。特に世界観と主人公のキャラクター表現の二つについて。前者としては世界大戦後。総力戦体制により人口が急激に不足、学徒出陣も余儀なくされ、主人公の海上貴宏も出征していた。その後、救世主が現れ世界の危機は収拾、ほんわか学園コメディを送れるほど平和になる。後者については、貴宏は肉体的・精神的において「欠陥」人間だったということ。すなわち、貴宏は肉体維持が困難な状態で生まれ、その後も感情が欠落していたのだ。肉体については、貴宏と同様の病気であった「いっちゃん」の肉体実験のお陰で克服。精神については幼馴染である小雪とナノ子の尽力により感情が宿る。こうして、貴宏はいっぱしの人間になれたのであった。そんな貴宏は、戦時下の婚姻奨励による結婚年齢引き下げで幼くしていっちゃんと結ばれる。だが、いっちゃんは自らを肉体実験の道具とした組織に復讐、帰らぬヒトとなる。貴宏も志願兵として出征することになり、先方に頼まれて小雪を娶ることに。だが「幼馴染」の関係が崩れることを恐れた小雪により離婚の憂き目にあうのであった。

小雪のキャラクター表現とフラグ生成過程


小雪はサバサバとして男勝りなスポーツ少女。貴宏とは幼馴染で楽しく馬鹿をやっている関係。しかし、上述のようにかつては離婚している。そのような状態から如何にして再び結婚という関係に至るかを楽しむというシナリオ。主に、学生生活編、新婚バカップル編、問題発生⇒愛と友情で解決編の3つに分かれる。学生生活では、幼馴染として毎日の日常を積み重ねていく中で、ヒロインたちとの情交を高めていく。小雪との関係も親密になるが、幼馴染シナリオではよくあるように「関係が崩れるのが怖い」が発生。特に小雪は一度離婚しているため、関係が進むのに臆病になってしまっている。貴宏は自分に感情を与えてくれた幼馴染を幸せに出来る自信がなく欠陥品だと思われるのが怖かったのだ。それを年月はそれを克服できる力を貴宏に与えていた。


幼馴染やいっちゃんの後押しによる愛情パワーで結ばれてからは、もう一人の幼馴染ナノ子との関係に落とし前をつけなくてはなるまいて。独占欲高めの小雪はナノ子と衝突するも友情を取り戻す。だが蜜月も束の間、貴宏の感情がまたもや喪失していったのでさぁ大変。取り戻そうと奮闘するも、成果は上がらず。精神的に磨耗していく小雪は愛するが故に誰よりも早く貴宏を見捨てようとする。そこへ叱咤激励するのがナノ子なの。貴宏に必要なのは感情を取り戻させようと奮闘することより、日常生活を楽しむことだった。小雪が悲しそうな顔をしていればそんなことは出来ないよ。泥んこプロレスで大切なことは些細な毎日の細やかな積み重ねであると気づき、感情戻ってハッピーエンド。