戦後のサクセスストーリー史観を、総力戦体制と無条件降伏モデルによって相対化する。
総力戦体制:総力戦体制は私有財産と家族制度を解体した
- 1920年代(自由主義体制)から40年代(翼賛体制・総力戦体制)への移行
- 1950年代:総力戦体制から戦後体制への移行
⇒現実に富を生み出し、労働する者の地位向上(反資本家・反地主)
-
- 労働者の福祉や保険の向上
- 地主の持ち前を大きく削る食糧管理制度
無条件降伏モデル
- 開戦過程:開戦せざるを得ない状況を作る(基本的な自主性の放棄もしくは戦争)
- 戦闘過程:徹底的な殲滅戦(無差別爆撃・原爆投下)
- 終結過程:「講和」ではなく「無条件降伏」
- 占領過程:被占領側の生き方・考え方を全面的に改造する。
戦後イメージの打破
主体的な改革の可能性
総力戦体制による私有財産制と家族制度の解体は、労働者や女性の地位向上を促し農地改革や男女平等普通選挙などの改革が、占領がなくとも進行する可能性を示していた。GHQはその可能性を潰して「民主化」政策を強制したが、それは占領という軍事的支配という側面が強くアメリカではなく連合国との関係に規定された面が強い。しかし、それがいつしか現地民に民主化の意志も能力もないから「民主化」の啓蒙により偉大な成功をしたという妄想を生み出し、アメリカの対外政策のモデルとなった。
作られた言説空間
占領期の専制・封建主義対自由主義というに二項対立は、連合国と枢軸国の共通性(総力戦による国家犯罪などの罪)を隠蔽化し、占領軍=正義という観念を植え付ける。
- 「協同主義=ファシズム」という言説空間の打破
- 無制限の資本蓄積という市場支配になりがちな自由主義を社会的にコントロールする社会的連帯と冷え理的社会関係。
- 「保守・革新」という言説空間の打破
- 反米・非軍事としての反吉田連合の可能性⇒鳩山一郎と平和原則を主張する社会党などの連合の可能性。