とらドラ!第11話「大橋高校文化祭【前編】」の感想・レビュー

今回のとらドラ!は大河の家庭事情編がスタート。
親からの愛情を受けず金とマンションをあてがわれただけの大河には一体どんな過去があったのか。
娘を見捨てたパパンに迎えに来てもらえたのに大河は泣いて拒絶する。


大河はADHD少女で自分の感情を言語で表現できない我がまま娘であり、その背景には親からカネだけ与えられて見捨てられたという家庭事情が横たわっていた。そして、そんな状況を、何があっても竜児が包摂してくれるという暖かさに救われた。良い感じに精神療法生活を送る大河であったが、そんな折父親から電話がかかってくる。ここから始まる大河の家庭事情編。2学期も始まり、クラスは学園祭の気分の中、アンニュイに浸る大河。そして父親からの電話をスルーし続けていたら、なんと生活費をとめられちゃった。竜児に促され父親と連絡をとる大河だが、遅かれ早かれ自分では生活能力の無い大河がそうせざるを得ないのは必定。竜児がまだ心配してくれるだけマシってもんさ。しかしここで問題発生。自分がきちんと父親に会いに行き、一緒に暮らすの嫌と自分の意思を伝えればいいものを、コトバで通じ合えたら苦労はしない。現実から逃避する大河は竜児をして父親に会いにいかしむ。竜児がホイホイ会ったのも、大河を追放した人物がどのようなものであったかを見定めようとしたかもしれん。



竜児が会ったその父親は人当たりの良い人物であった。曰く、再婚相手が若すぎて大河とそりが合わずどちらかが家をでなければならなかったと。そして再婚相手とは別れきちんと更生し大河と一緒に暮らしたいと。自分には父親のいない竜児にとって、表面だけしかみれないのはある意味しょうがない。竜児は母一人子一人の状況の中、貧しくても母親の仕事がどんなに賎しくても家族パワーを構築してきた家庭環境であった。それ故、自分の境遇を、「血を分けた家族なんだからどこかで通じ合ってる」という信仰を大河に押し付けたかったんだ。だってそうしないと自分のこれまでの生活を否定してしまうことになるから。娘に会いにきたパパンに大河は金的をかまし、ろくに話しすら聞こうとしないところを眼前にした竜児は、ついに自分の家族の肖像を持ち出しながら家族について諭してしまう。そう、それは大河のためとか素直になれとかいいつつも、結局は自分の父親は死んでおりどうあがいても会えないという事情であり、大河のためなど微塵も思っていないことだった。それに気づいてしまった竜児は、自分の考えを押し付けていただけだったと大ショック。大河はそんな狼狽する竜児を一瞥すると、逆に許してやり、父親の元へと下るのであった。