小学校における国語科の設置

国語科が設置されたのはいつであろうか。それは1900年(明治33)8月の小学校令改正の時である。これまで読書・作文・習字の3つの教科に分かれていたものが「国語科」の名の下に統一されたのである。ここで重要なのは、初めて小学校に「国語」という教科が出現したことと、「国語ノ模範」を教えるということがはっきりと明文化されたことである。(改正小学校令にもとづく小学校令施行規則に「読本ノ文章ハ平易ニシテ国語ノ模範ト為リ且児童ノ心情ヲ快活純正ナラシムルモノナルヲ要シ」とある。)

小学校での「国語科」の設置の意義は以下の2点である。

  • 単なる科目名の変更にとどまらず<国語>の理念の確立を求めたさまざまな社会的意志が、そこに集約して表明されている。
  • 小学校に<国語>の理念が浸透したことは<国語>がすべての国民によって意識されるべき規範的な価値となるための制度的基盤を意味する。
参考文献

イ・ヨンスク『「国語」という思想』(岩波書店)