西尾維新『偽物語(上)』講談社 2008年の感想・レビュー

厨二系ハーレム伝奇風味小説『化物語』の後日談。図書館に転がったので読了。
厨二主人公:阿良々木暦の妹:阿良々木火憐のおはなし。
前半は主に阿良々木暦のハーレム生活、後半から暦と火憐の兄妹関係編に移る。
相変わらず会話の掛け合いのテキストはノリノリだ。

はなしの大まかな筋

有名私立進学校に入ったものの落ちこぼれ友達も出来ずにプラプラと過ごしていた厨二主人公の阿良々木暦は、『傷物語』、『化物語』を通して怪異と遭遇し伝奇風イベントをこなすうちに女友達もたくさんでき、もう一度大学受験を目ざすことに。前半部分の後日談編は、暦がこれまでフラグを立てたゲストキャラの女の子をとっかえひっかえしながら時間を過ごす。阿良々木ハーレムキャラ立ち個性強すぎなおにゃのこたちとの会話テキストのノリは馬鹿馬鹿しくてテンションが上がります。ハーレム生活編でざっと登場人物たちの立ち位置とキャラ設定を想起させ、後半部分からは阿良々木兄妹編へと突入。



暦の妹;火憐と月火の二人は、正義と称して子どもたちの事件を解決して回る英雄。暦からしてみれば危なっかしいことに首を突っこんで回る二人に気が気じゃない。火憐は肉体戦闘系、月火は腹黒参謀長頭脳担当。上巻は肉体戦闘系火憐と兄妹喧嘩するはなしといっても差し支えないだろうよ。で、阿良々木姉妹はいつもは大抵なんとかなるあくまでも子どもの遊びとしての範疇を出なかったけど、今回は暦の親友委員長の力添えがあったせいで、本物の事件と対峙することに。そしてあっさり怪異を貰った火憐ちゃん大ピンチ。発熱しちゃって動けないの、暦がちゅーして熱移しとか近親相姦も満載。で、その件の怪異というのは、実際にあったものではなく人の噂が人口に膾炙して力を持ったのだとか云々。つまりはニセモノプラシーボ効果であった。このニセモノというのがキーワードで嘘も百回つけば真実に成る?火憐は尊敬してやまない暦に対して劣等感を抱いていたため正義の味方ごっこに走るようになっていて、こっちもニセモノだったの。しかし劣等感に向き合いニセモノであることを自覚しているのであればそれはもう本物なんじゃないかということで、壮大なバトルもの兄妹喧嘩も終止符で近親相姦好きだなオイとかツッコミ。



はなしのオチとしては火憐に怪異を与えた人物は暦の彼女スーパーツンドラ毒舌乙女戦場ヶ原さんの家庭崩壊の原因となった詐欺師だったの。この街で怪異に関わることを了承させ、追放することもあっけなく承諾。戦場ヶ原さんは恨みを晴らそうと息巻くが、しかしそれは逆恨みで、しかも戦場ヶ原さんが詐欺師に惚れていたことが判明する。つまりは、かつての自分の恥辱が相まって更に敵視が激しくなっていたのだと。心中穏やかならない戦場ヶ原さんは、これまでレイプされそうになったトラウマから阿良々木くんに肉体関係を許さなかったけど「今夜は私に、優しくしなさい」発言ですよ。朝チュン描写すらないけどな。で、最後は雨降って地固まった兄妹喧嘩の後を描いてエンド。下巻ってもうでてんの?