こんな娘がいたら僕はもう……! 鈴原志乃シナリオの感想・レビュー

こんぼくの志乃シナリオは、純朴貧乏少女が一躍成金になり心を無くすというおはなし。
金に目が眩み驕り高ぶるようになる鬱描写は杜子春も真っ青だが、あっさりと猫に説教され情欲に打ち克つ。
最後は貧困時に母親がくれた服をゴミの山から発掘し、資本蓄積に対するオルタナティブを見出すの。
シナリオは短めだけど、志乃の小動物っぷりに和んだり傲慢化にぞっとしたりするキャラ性はかなり上手いですな。

鈴原志乃のキャラクター表現とフラグ生成過程


鈴原志乃は小動物系で貧乏に良く耐え家庭を支える頑張り屋さん。主人公;透の安アパートの隣の部屋に住んでいるのだが、ご近所の噂を信じて透を避けていた。だが、ある日鍵を忘れた志乃は締め出されて豪雨が降りしきるなか部屋の前で体育座り。所謂エロゲパターン「Pity is akin to love.」が発動です。部屋に上がらせ食事を共にしたことから情交が芽生えはじめ、家事に忙殺されておべんきょ出来ない志乃を助けることになる。志乃は真面目に勉強してるものの成果が発揮できなくて四苦八苦。「勉強が出来ない」理由とかでもう少しシナリオの発展の仕方もあったかなと思うが、そちらの方向へはいかず何も語られないので不完全燃焼。シナリオはお隣さん生活が展開されて行き、共働きで孤独の寂しさに苛む志乃に夜な夜な勉強を教えることで好感度を高めていく。志乃は家事全般だけは得意で、勉強の御礼にとご飯を作ってくれたり身の回りの世話をしてくれたりする。しかしそんな幸せ生活も長くは続きませんよと試練勃発。余談だけど、このゲームはフラグ管理を司ってるのが街の守り神の猫のススムなので「神に頼ってフラグ立ててもらう⇒フラグ構築イベント⇒神によって試練・問題⇒問題乗り越えハッピーエンド」という構造を与えられており「やらされている感」が否めませんな。



で、神様試練イベント「貧乏少女、成金になる」が発動。最初は、志乃にとって万札一枚でも手にしたことのない莫大なカネ。おっかなびっくり普通の女子中学生のようなささやかな浪費に喜びを見出すの。だがそれが次第にエスカレート、志乃が浪費にいそしみ驕り高ぶり傲慢になるのは時間の問題であった。突如、一年後に時間は跳んで、志乃は透と同じ学園に入学していた。オイオイ、フラグ構築手段イベントが「勉強おしえるタイム」だったのにあっさり無視ですか?ここでフラグに起因する設定を無視すると違和感ありまくり、裏口入学かよ!?と突っこみたくもなる。学園では志乃はお嬢様と化していたが、透への情念はまだ忘れてはおらず学園内の噂ももろともしない。「志乃は変わっていない」、そう思い込もうとする透であったが、かつて惚れた心優しき少女は何処にもいなかった。金銭感覚の狂った少女は貧しかった思い出を捨て去ると言い出し、最早透には受け入れられないものであった。そしてついに別れを切り出す。志乃にしてみれば突然の、しかも理不尽な別れであり、泣き崩れてしまう。ここで説教するのが我らが猫神:ススム。志乃に自分で気づかせて欲しいところだが、カネで驕り高ぶる現状を指摘され、愛する男のために改心する。いくら変わってしまっても、過去の自分を消却してはいけないことに気づいた志乃はその象徴である「お母さんが買ってくれた服」を取り戻そうとするも哀れゴミ収集車の中。清掃のオッサンに頼み込みゴミの山に突入する姿はなかなか魅せる展開だがあくまでも予定調和でタイムリミットギリギリになって見つかるという演出。思い出を取り戻した少女は愛する男への愛情も取り戻し、お金で買えない価値があるとハッピーエンド。