学習指導要領における世界史主題学習の変遷

  • 主題学習は1960年版学習指導要領においてはじめて登場した。

1.昭和35(1960)年版 社会科世界史B

  • 目標:「特に政治、経済、社会、文化などの関連について総合的に考察することによって、総合的に考察させることによって、歴史的思考力を深め…」
  • 内容:「…「世界史B」では適当な主題を設けていろいろな観点から総合的に学習させることにした。その主題を選ぶ基準としては、さらに研究を要するが、一応次のようなものが考えられるであろう。」
    • 「倫理・社会」や「政治・経済」の学習と関連の深いもの。たとえば、「(2)人生観・世界観」の学習に関係のあるものや、現代の諸問題を考える際に参考となるもの。
    • 政治的、経済的、社会的な観点から総合的に学習できるもの。
    • できるだけ世界の地域相互のことがらに関係のあるもの。
  • 主題の具体例(特定の地域や時代に片寄らない)

2.昭和45(1970)年版 社会科世界史

  • 位置づけ
    • 系統的な学習→主題学習→系統的な学習
    • 系統的な学習が中心
    • 「内容の取扱い(2)」
      • 「「世界史」の目標を達成し、生徒の歴史的思考力をいっそう深めるため、歴史的な流れの学習の中で、適切な主題を設けて指導することが望ましい。」
  • 主題選定の観点
    • a.政治的、経済的、社会的、文化的、国際的な諸点から、多角的、総合的に学習できるもの
    • b.世界の歴史上の事象について、地域ごとの比較考察的な、あるいは地域相互の関連的な学習のできるもの(←文化圏学習導入の影響)
    • c.世界の歴史上の事象の発展を、時代別、地域別にある程度、大きくまとめて学習できるもの

3.昭和53(1978)年版 社会科世界史

  • (2)主題学習の展開
    • ア主題学習の趣旨
    • イ主題選定の観点
      • 観点a:地域ごとの比較考察又は地域相互の関連的な学習のできるもの(……文化圏学習との関連)
      • 観点b:時代別、地域別又は国別に、ある程度大きくまとめて学習できるもの(……多様な主題が選定可能との趣旨から。系統的な学習の後で有効)
      • 観点c:現代の諸地域の社会と文化について、文化人類学などの成果を活用しながら学習できるもの
      • 観点d:世界の歴史上の事象と日本の歴史上の事象とを、比較させたり、関連させたりするなどして、世界の歴史における我が国の位置について学習できるもの
      • 観点e:世界の歴史上の人物について、時代背景や地域の特質との関連などにおいて学習できるもの
    • ウ主題の配当
      • 歴史を構造的にとらえる
      • 文化人類学への関心の喚起
      • 一つの歴史事象を総合的に把握→歴史意識の高揚など
    • エ主題学習展開上の留意点
      • 魅力ある主題→歴史意識の高揚など

4.平成元(1989)年版 地歴科世界史B

  • (3)主題学習の観点
    • ア主題学習の趣旨
    • イ主題設定の観点
      • 1比較文化または比較文明の視点を導入して歴史を学習できるもの
      • 2社会史的な観点を導入し学習できるもの
      • 3同時代史としての世界の歴史を学習できるもの(→人々の事物の移動や交流)
      • 4人間の生活や文明を支えた技術についてまとまった学習ができるもの
    • ウ主題学習展開上の配慮事項
      • 特定の時代や地域に偏らない
      • 観点の異なる主題

5.平成11(1999)年版 地歴科世界史B

  • 主題学習の充実(←自ら学び自ら考える力の育成を重視)→「内容」への位置づけ、学習への関心・意欲の喚起(※主題の観点が「内容」に明記)
  • 主題選定の観点
    • (1)ア世界史における時間と空間
    • (1)イ日常世界に見る世界史
    • (1)ウ世界史と日本史のつながり
    • (5)エ国際対立と国際協調
    • (5)オ科学技術の発展と現代文明
    • (5)カこれからの世界と日本

6.平成21(2009)年版 地歴科世界史B

  • (1)ア自然環境と人類のかかわり
  • (1)イ日本の歴史と世界の歴史のつながり
  • (1)ウ日常世界にみる世界の歴史
  • (2)エ時間軸から見る諸地域世界
  • (3)エ空間軸から見る諸地域世界
  • (4)オ資料からよみとく世界の歴史
  • (5)オ資料を活用して探究する地球世界の課題