増田四郎・今井圭子「南アメリカ諸国の独立」増田義郎編『ラテン・アメリカ史Ⅱ南アメリカ』山川出版社 2000年 171-202頁

独立運動の背景

アメリカ大陸をめぐる抗争
  • スペイン、ポルトガルが独占するアメリカ大陸は、英仏蘭などのヨーロッパ諸国の攻撃の的
    • 理念的には1494年のトルデシリャス条約によって、理念的にはポルトガルがブラジルを、スペインがそれ以外の南北アメリカ大陸を領有
    • 後発諸国はこれを認めようとせず、領土獲得・権力進出を狙う⇒結局、足場を作れたのはカリブ海
      • オランダ:クラサオ、ボネール、アルーバの三つの小島を獲得しただけで、ポルトガルから奪った西アフリカの基地から奴隷を輸送して利益を得る→国力の大半はアジア経営に専念
      • イギリス:ジャマイカ島を奪う:17世紀半ば以降、砂糖生産で莫大な利益 →奴隷貿易にも参入し、イギリス・アフリカ・アメリ三角貿易ネットワークを形成
      • フランス:ハイティ島西部を奪う:砂糖生産で莫大な利益
英仏の抗争
  • フランス、ケベックから英領植民地を包み込むようにして南下⇒「フレンチ・インディアン戦争」⇒1763年パリ条約でフランス北アメリカから撤退⇒イギリス海外市場の拡大
    • ⇒国内の経済発展と連動
      • マニュファクチャ⇒商業貿易拡大⇒商品需要の拡大・原料供給地の確保・販売市場の開拓⇒大西洋と西インドであげた収益をアジアに投資して、世界市場支配の体制へ
イギリスの中南米進出