夏ノ雨 伊東ひなこシナリオの感想・レビュー

夏ノ雨のひなこシナリオは、恋するお姉ちゃん頑張るのおはなし。
ひとつ上の幼なじみは一足早く第二次成長、性的欲求をぶつけちゃう。
初めての体験に怖くなった主人公くんは自由からの逃走。
そのことがきっかけに疎遠となった二人は、再会し仲良くなっても、一線が引かれていた。

お姉ちゃんを性的欲求の対象として見れるか?


ひなこはひとつ上の幼なじみのお姉ちゃん。田舎育ちでほわほわしているマイペースだけど、弟くんを想う気持ちは人一倍。それは幼少期の体験に裏付けられていた。主人公くんが子どもの頃の家庭環境は最悪。離婚にショックを受けたママンが育児放棄。インフルエンザにかかってもまるで誰もいないかのように扱われた。右往左往する主人公くんら兄妹に救いをもたらしたのが母の実家で田舎へ引き取られることに。母親の愛情が欠落し都会育ちで田舎生活に馴染めなかった主人公くんの心の傷を埋めてくれたのがひな姉の存在だった。慈母のように全てを受け入れ愛情を注いでくれたひな姉のお陰で、主人公くんと妹は人間の温かみを知ったのだ。だがそんな少年期にも終わりが訪れる。いつものごとく、野原を駆けずり回り川で水遊びをする主人公くんを尻目に、ひな姉は初潮を迎えていた。弟のような存在だったのにいつの間にか性的欲求及び恋愛感情の対象として主人公くんを眺めるようになっていたのだ。そのパトスは抑えきれなくなりいきなり主人公くんに接吻を交わす。何のことか分からない主人公くんはいつものお姉ちゃんが妖艶な女になっていることに恐怖し逃走。そして田舎を二度と訪れることは無かった・・・。高校進学を期に大学入学を目指してひな姉は都会へとやってくる。幼なじみとしての関係上、仲良くやってはいるものの、どうしても乗り越えられない溝が横たわる。ひな姉を異性として性的欲求の対象や恋愛相手として意識出来ないまま、ひな姉を好いている友人を応援して気持ちを踏みにじり苦悩する描写は一読の価値ありです。ひな姉への想いが昇華され想いが繋がったと思いきや、突如田舎に帰ってしまうひな姉。失って初めて大切さを知る・・・ということで、主人公くんは全てを投げ出してもひな姉を選ぶ道を選び田舎へ迎えに行きフラグ成立。

恋するお姉ちゃんは弟くんのことを思うとついストーキングしちゃうの


もともと数十年来の想いをひな姉は、主人公くんに対して好感度MAX!!主人公くんに甘えてもらうことに至上の喜びを感じ恍惚としちゃったり濡れてきちゃったりするダダ甘生活。まぁ、この後のシナリオがかなりグダグダなんですがね。ひな姉の家庭も離婚寸前だったり恋愛にかまけて受験勉強さぼったりと危機イベントフラグを立てまくっておきながらイベントスルー。唯一発生するのがストーキングイベント。ダダ甘生活に風紀引き締めの必要性を感じた主人公くんは、それとなく告げるがひな姉にとっては多大なるショックだった。勿論禁欲生活は無理。主人公くんに会えずに寂しい思いをするならとストーカーと化す。ここで一悶着あるのかと思いきや、あっさり和解で再びダダ甘生活へ。何のためにこのイベントいれたんじゃい?と思いつつ和解濡れ場の後、トウトツにエンディングを思わせるテーマが流れ出す。えーこれで終わりですか?と想わなくもない。ただシナリオの収束間を補うくらいひな姉のキャラクター表現は破壊力高いね。誘い受けから命令しねてとねだってくるテキストから主人公くんを甘やかすことでヘブン状態となり、貪り始めちゃうところなんか良いね。キャラゲーとしては十分及第点でハッピーエンド。