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  • 豊島宏「歴史教育論攷 ― 歴史教育における「主題学習」について ―」松山大学論集 第15巻 第1号  69-127頁

    Ⅰ はじめに

    • この論考のねらい;「今回の(平成11年)改訂での充実した「主題学習」を歴史教育の目標達成の要として位置づけ、歴史教育の本質を希求する現場の教師としてこれを定着させることを切望して研究の一端を提示する」
      • 今回の指導要領の改訂で「主題学習」の充実が具体的にどのように示されているかを検証し、その特色を考察して明らかにする
      • 「主題学習」が従前からどのように取扱われてきたか、学習指導要領改訂の面からと現場の教師、大学教官、行政や教育機関の関係者による理論と実践の研究活動の状況、論議等の面からもその変遷を取り上げる。

    Ⅱ 平成11年版高等学校学習指導要領地理歴史科(歴史関係)での「主題学習」の取扱いとその特質

    ここでは、平成11年版高等学校学習指導要領において、主題学習における「内容」「内容の取扱い」がまず羅列され、趣旨と位置づけ、内容構成、学習指導方法についての分析がなされている。

    • 趣旨に関しては、教育課程審議会答申を踏まえた改善点を引用し、問題解決的能力の育成を図る学習方法が重要視されたことを指摘している。さらに「内容の取扱い」から「内容」に組み込まれたことに対して、「一層重視されていることは明らかである」と断定している。
    • 内容構成上の特質としては「従前は「系統学習」を展開する中で、適切な主題を適切な時期に補充的に組み入れて実施することが一般的な取り上げ方であった」と指摘し、今回から導入部と終結部で主題学習が行なわれるようになった意義について強調している。
      • 導入部では、生徒の歴史に対する興味関心意欲を喚起することがねらいであると指摘し、終結部では現代の課題解決を図る知恵(=歴史的思考力)を身に付けさせることがねらいであると指摘している。
      • 従前の主題学習は系統学習の補完的位置付けであったとみなし、「歴史的思考力を一層深める」ことがねらいであったため、現場に定着しなかったと指摘している。それらと比べ平成11年版のものは、興味意欲関心喚起と現代の課題解決による「生きる力」の培養を取り上げることが出来ると高い評価を与えている。
    • 学習指導方法上の特質については、指導上のねらいについて触れ、「現代」の視座からの指導視点を指摘し、学習形態の特質について述べている。特に現代の視座については世界史のA科目とB科目における主題学習で終結部としての役割を果たしていることを強調している。「世界史の科目において、「現代」を生き抜くため生徒たちが「現代」の様々な話題に直面し、それらの解決へ向けてたゆまず追究する力を育てることに重点が置かれている」と述べ、現代の課題解決学習としての学習指導法上の特質について強調している。

    Ⅲ 平成14年4月検定済地理歴史科(歴史関係)教科書における「主題学習」の取扱い

    「世界史A」教科書6種の取扱い

    ここでは3つの観点で教科書の特徴が述べられている。すなわち①の観点が、平成11年版学習指導要領に示されている主題であるかどうか。②の観点が、主題学習の学習方法が記載されているか。③の観点が、系統学習との関連である。他にも「コラム」など生徒の興味関心を惹くものについても述べられている。

    • ①については、学習指導要領で主題学習を行なうことが述べられている内容(3)の「オ 地域紛争と国際社会」「カ 科学技術と現代文明」と同じ主題を取り上げているか否かである。別の主題を取り上げているのが2つあり、ひとつが実教出版の『世界史A』における「日本国憲法第9条の世界史的地位」であり、もうひとつが三省堂『世界史A』における「21世紀の課題」である。この2つの出版社が学習指導要領とは違う主題を設定していることに対して、ここでは分析はなされていない。
    • ②では、清水書院の『高等学校世界史A』において、学習方法の手順が取り上げられていることについて述べられている。すなわち「テーマのねらい →情報の収集・整理 →問題の設定、紛争の前提、第1〜第3の段階 →問題の追究・まとめ →テーマを追究して考えたこと」である。このことに対し「参考にして生徒の創造的追究を豊かにしていくことが可能であると考えられる」と分析している。
    • ③では、「系統学習」の中で有機的に「主題学習」が取り上げられているものとして、実教出版『世界史A』と第一学習者社『高等学校世界史A』の存在を紹介している。しかし、ここでは存在があるとの指摘だけで、どうしてその主題が有機的なのかや、学習指導要領で扱われない主題をどうして記載させているのかについての分析はなされていない。
    「世界史B」教科書7種の取扱い

    ここでは2つの観点で教科書の特徴が述べられており、いずれも学習指導要領における主題に適するか否かである。平成11年版「世界史B」では指導計画の導入と終結に主題学習を行なうよう述べられているので、観点①が導入部の主題、観点②が巻末の主題という観点になっている。

    • ①では、内容「(1) 世界史への扉」における「世界史における時間」「日常生活に見る世界史」「世界史と日本史のつながり」に沿った主題が取り上げられているか否かである。これは「世界史B」教科書全7種全部で取り上げられている。この状態に対し、論者は「教科書執筆者の「主題学習」に対する「指導要領」の趣旨を充分汲み取った取り組みが見られる」と一定の評価を与えている。
    • ②では学習指導要領の「内容の取扱い」(2)エ(イ)において主題学習を行なうように記載されている内容の(5)のエ、オ、カにおける主題が取り上げられているか否かである。これも各教科書において取り上げられているが、「全体的に「一応扱った」といった感じを受け」ると論者は述べている。特に東京書籍『新選世界史B』と実教出版『世界史B』は追究する課題を記載するにとどまっていると指摘している。これらの教科書の取扱いは、「「主題学習」が目指す「ねらい」の追究には程遠い」としながら逆に教師の役割の重要性を説いている。
    • その他の特徴として生徒に身近な歴史的題材を取り上げたものや世界遺産を通して生徒の歴史意識を高めようとするものが紹介されている。また帝国書院の『新編高等世界史B』が特に取り上げられている。その特徴は多面的内容構成であるとし、コラムにおける「環境・南北・民族各問題の歴史的背景」といった地球的課題を考えさせる観点を、「系統学習」のなかで併行的に扱い、巻末の主題学習での追究の成果が歴史認識まで高められることをねらいとしているのだとの指摘をしている。

    Ⅳ 高等学校歴史教育における「主題学習」の誕生と変遷

    ここでは論者が主題学習の展開について述べており、その段階を4つの時期に区分している。即ち、第1期が昭和35(1960)-昭和45年(1970)、第2期が昭和45年(1970)-昭和58年(1973)、第3期が昭和58年(1978)-平成元年(1989)、第4期が平成元年(1989)-平成11年(1999)である。論者は何を根拠にこの区分にしたか明確にしていないが、年号から推測するに学習指導要領の改訂を根拠に時期区分を行なっているようである。

    「主題学習」第1期 昭和35(1960)-昭和45年(1970)