雑録

蛸壷屋『レクイエム 5 ドリーム』(同人誌 2009年)の感想・レビュー

原作を読んだことないのでモトネタを全然しらないのですが、すごく面白かったので感想を書きます。
主に焦点が当てられるのは澪という黒髪ロングの少女。
彼女は生半可に音楽の才能があったためお山の大将を気取っていたが、天才少女の出現により自信を打ち砕かれる。
テーマとしては、嫉妬心と猜疑心と虚栄心と自尊心に苛まされる澪が挫折、煩悶した後自己受容することが出来るという筋書き。
その表現力がすごい。(※モトネタは「けいおん」という有名な作品で、原作レイプものらしい)

本作のみどころを紹介

嫉妬・猜疑・自尊・虚栄に狂う澪


澪は天才少女である唯が同じクラブに入ってしまったため、今までのヒロインの位置を掠め取られ、嫉妬に駆られる。同じクラブ仲間であるにも関わらず、その猜疑心は募っていきプライドはズタズタ。仲間にも暴言を吐いてしまう。唯がその才能を活かし芸能界入りを果たす姿を見せ付けられながら、澪はもっと高次元のものに自分が関わっているのだと思い込むことでその自尊心を保とうとする。大企業に就職し、自分の能力が優れているということのみで虚栄心を満たすが、そんな人生は長くは続かない。上司との不倫にうつつを抜かし、肉便器としてM奴隷に調教されるが、結局は捨てられニートに堕ちていく。だがそれだけでは終わらない。


自尊心の崩壊と自己受容
  • ニートになりつつも他人を見下すことで自我を保っていた澪。自慰行為に耽り、お菓子を貪り続けることで、怠惰な生活を送る。少なくって行く貯金に脅えながら現実逃避に駄菓子を食いちらかしブヨブヨなお腹になっている絵は筆舌に尽くしがたいほどきゅんきゅんします。




  • ここで一番感情が揺さぶられるのが、そのような堕落した生活をしながらもまだ自尊心を満たそうとする姿。書き込みの出来る動画共有サイトに、水着で歌う動画をアップすることで、自尊心を満たそうとする澪。しかし、澪の前には容赦の無いコメントの嵐があった。自分を支えていた自尊心が崩れ去り、そのときはじめて自分と向き合うことになる。




  • 貧困な生活から来るプレッシャーに耐えかね自我が崩壊していくところはゾクゾク来ます。そうして、ついには救済を求め、自分が大したことの無い人間であることを受け容れていく。




  • まぁ、結局、現状の自分を受け容れることが出来た澪はニート卒業。単純ながらも仲間との労働に生きる糧を見出すのでした。