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  • 上原専禄『日本国民の世界史』岩波書店 1960年

    まえがき

    • 本書の目的
      • われわれ日本国民が明日への生活をどう生きるかという問題に面して、日々の行動を支える生活意識を確立したいという願いにもとづいて、世界史像の形成を試みた
      • 国民の課題として生活意識・歴史意識の確立と深化がある
      • 学校教科書として出版されていたが、教科書検定制度の弊害により不合格 →国民全般に共通する課題(生活意識・歴史意識の確立と深化)のために単行書の形で公刊
    • 内容構成
      • 日本国民の当面する危機の分析→世界史の塑像が形成。
      • 内容構成
        • 東アジア文明の歴史から叙述がはじまり、ついでインド文明・西アジア文明の歴史が、さらにヨーロッパ文明の歴史が叙述される。そしてこれらの諸文明が一つの舞台に登場する―すなわち世界史の一体化がはじまる―「近代」以降の歴史が叙述の後半を占める 
        • 内容構成の意図「われわれが主として意図したものは、われわれ日本国民自身の生活意識・歴史意識の形象化であり、世界の諸文明がいかにして日本文明の成長に寄与したか、また現在の日本の直面している歴史的な諸問題が、それら諸文明の動きによってう規定されているか、それらの点を特殊具体的なものとして主体的に追求すること」 
        • 東アジアの文明からまず叙述がはじまるこの書物の構成は、このような意図を具体化した試み
    • 教科書検定不合格
      • 1956年から高等学校社会科世界史の教科書として使用されるが、1959年学習指導要領の改訂により、1959年以降継続使用が出来なくなる
      • 「新しい政治動向」のもとでは、1957年不合格、1958年にも不合格 →これまでの通例では教科書検定の際に指摘されるのは、技術的事項であって歴史認識の方法や内容に関するものではなかった →決定的な不合格の理由が現代の認識方法に。
      • 具体的な不合格の理由
        • 「・・・内容において、不正確な記述が多く、全体にわたって信頼性を減じているばかりでなく、現代世界の諸問題を客観的に認識し、批判する能力と態度とを養ううえに妨げとなっている。たとえば、国際連盟、ウィルソンの十四ヵ条、ロカルノ体制、西欧連合成立など、重要な歴史的事項についての不正確な記述が少なくない…」
    • 不合格とされた現代認識に対する説明
      • 国際連盟」「ウィルソンの十四ヵ条」「ロカルノ体制」についての記述は、いずれも第一次世界大戦後の「平和」の体制について、普通説かれているところとは異なった側面―反社会主義的、植民地主義的側面―を指摘している →「世界史」の常識にはなっていないが、現在日本人として「国連支持」「A・A諸国との提携」などという場合にはこの点を鋭く認識することが決定的に重要 →「国際連合」を歴史的にいかなる意味をもつものとして支持しようとするのかを考える場合には、「国際連盟」の狭さや限界についての反省を欠くことはできないし、アジア・アフリカとはどのような意味において協力するのかという点を厳しく認識することも必要 →現在の日本は、この点をどう認識するのかということを、全世界から問われているのであり、その点を不明確にして「国連支持」とか「A・A諸国との提携」などということは、実際にはなにごとも言わないのと同様で、他を迷わしめるのみ
    • 不合格の要因となった不正確とされる記述に対しての反駁
      • 315頁:「国際連盟も、諸民族の利益やソヴェト=ロシアの主張を無視し…」
      • 330頁:「このような西ヨーロッパ諸国の安定はソヴェトには孤立化の不安を与え、またこのころ植民地諸民族への圧力を強化することとなった。」
        • やや一般的な表現に過ぎるかもしれないが、315頁の場合は「はじめに」という概括の場所で、社会主義国や植民地地域に対する国際連盟の立場の認識を示している。
        • その認識に立てば、330頁の「植民地諸民族」の場合の記述については、ロカルノ条約の成立が直接ソ連や植民地への圧迫を目的としてはいなくとも、ソ連周辺諸国との不可侵条約締結、リトヴィノフの軍備全廃論に至る動きは明らかにこの「安定」の成立に脅威を感じたものであった
        • この「安定」に平行してあらわれる中国の5.30事件その他の情勢はこの「安定」がいかに局限された範囲のものであるかを物語っている。
      • 319頁:「ウィルソンの十四ヵ条」
        • 1918年1月の客観的な情勢としては、ロシア革命のもたらした事情が最も直接の契機をなしている
      • 352-353頁:「西欧連合」の成立における、一方の西ヨーロッパと他方の東ヨーロッパとを対比して列挙しただけであったが、「時間的順序に従って、チェコスロヴァキアの政変の方を西ヨーロッパ軍事同盟よりも先に叙述すべきである」というような指摘を受けたことに関して
        • この場合は、東西の対立の諸状況を、総括的に述べたものであり、個々の事件は当然時間的に前後しているのであるが、数多くの事実の中でこの軍事体制の成立を特に正当づけるおそれのある記述の仕方は避けるべき。
      • 322頁:東ヨーロッパ新興国の従属的側面において「独立」の意義を重視すべきであるとの指摘を受けたことに関して
        • 新国家の独立の意義は十分認めているが、現在の民族の独立の問題は「何が真の独立であるか」ということをいっそう厳密に考えさせていることに改めて注意を払わざるをえない
      • 349頁:「ソ連と中国が拒否権を与えられていることは、国際連盟社会主義勢力や従属的諸民族の立場を全く無視していたのに比べて、大きな相違点である」という文に対する「国際連合成立当時は中国はまだ社会主義国ではなく、また従属的諸民族とはいえない」という指摘に関して
        • この文面は前後のあらゆる関連からして、ソ連社会主義勢力を代表するものと読まれることはもちろんであるが、中国が歴史的に抑圧された民族の一つであったことは、もとよりのことと考えている
      • 350頁の「バルト三国・・・フィンランドの一部・・・モルダヴィアなどがソ連に加えられた」等の表現について、ヒトラーチェコスロヴァキア占領が併合ならば、これも「併合」ではないかとの注意。
        • ソ連の政策のなかに一定のパワーポリティクスが働いていることを認めるものである(344頁)が、ヒトラーの侵略と同じ意味のものとして表現することはできない。それは第二次世界大戦の反ファシズム的意義についての歴史的認識に関係するから。
        • ヒトラーの占領とソ連の進出を同質のものとする考え方を前提としては、第二次世界大戦における連合軍形成はありえなかった。またカイロ・テヘラン・ヤルタからポツダムに至る諸会談の意味も異なった説明を必要とすることとなり、ひいては国際連合の意義の評価にも関係してくる。そして、日本の憲法の成立の意義の理解にも響いてくる。
        • むしろ終戦直後の数年間ならば恐らく自明と認められた、第二次世界大戦の意義が、このように異なって理解されはじめていること自体に注目せざるを得ない。
    • 教科書検定を諦めた理由
      • 上記にあげた要因が不合格の決定的な理由であったとすれば、それはこの「世界史」の本質的な性格と存在理由に触れている。
      • ここでは「国際連合」や「社会主義国」や「東洋の諸民族」の扱い方が問題にされたが、それは決して単に「現代」の部分だけに関係する問題であるとは考えられず、この書物全体の構造と内容に関連する。
      • 従って、指摘に応じて本書の内容を変改することは不可能であると認めた
    • 「世界史」に対する主体性
      • 現在の日本人としての切実な生活意識の上に立って、叙述を試み、その叙述を通じて、日本人にとって「世界史の学習」がいかに重要な意義を持つものであるかを明らかにしようとした
      • 世界の全ての民族は、新しい条件に対決しながら自己の生きる道を求めようとしており、それぞれの民族は「世界史」的認識に立ち「世界史」において主体的に生きようとしている
      • 特に日本の場合、日米安保条約への反対、アジア諸国との提携、なかんずく、日中関係打開の問題は、以上述べた世界史的認識に立ってこそはじめて十分な理解がえられる。
      • いずれにしても、われわれ日本国民は、世界史の動きをただ客観的に認識するだけでなく、それに積極的に対処する主体性を持つ必要がある

    世界史をまなぶために

    一 「世界史を学ぶ」とはどういうことか
    • 世界史ということばの意味
      • 世界史には二つの意味がある。一つは「あった世界史」で、もう一つは「考えられた世界史」である。
        • 「あった世界史」:人類のはじまりから今日に至る、政治・経済・社会・文化の諸面にわたる多彩な変化をその中に含んでいるところの、人類生活の長い歩みそのもの、その全体か、または一部分を意味する場合。
        • 「考えられた世界史」:ヘロドトスやランケのように、歴史事象の考察やその記述を意味する場合。
    • 「世界史を学ぶ」ということの意味
      • 「世界史を学ぶ」ということの本来の意味
        • 「あった世界史」を学ぶ=自らの努力により人類生活の歩み、人類生活のあり方そのものを探り求めること
        • 学者や歴史家が人類生活の歩みやあり方がこうであると説いていることを、そのままうのみにしようとするのではなくて、それらをわれわれ自身の眼で見きわめようとしている=「世界史を学ぶ」ということの本来の意味
      • 「あった世界史」を主体的に構成すること
        • 人類の発生から今日に至るまでを細大漏らさず機械的に写し出すのではない。
        • 現代の日本国民として、われわれ自身の生活意識にがっしりと立脚し、過去の人類生活の歩みやあり方の中から、われわれの生活意識にとって意味があると考えられ、判断されただけの事件や状態を選び取り、意味があると考えられたその内容と関連に従って、一幅の歴史像へとそれらを創造的に組み上げていく
    • 世界史認識への要求
      • 生活意識
        • 複雑で多角的な生活経験を通じて、多くの実際問題を意識し、そうした問題を考える中で、現代日本国民の生活意識というものが形成される。そのような実際問題を背負いながら生きているという自覚、その自覚に伴う感情と意欲、それらのすべてが、現代日本国民の生活意識の構造と内容とを形づくっている。
        • 生活意識が問題意識を中心に形づくられるので世界史認識への要求を持たずにはいられなくなる。実際問題はことごとく世界史の問題であり、世界史の歩みとあり方のうちに生じ、解決されるものだからである。
    • 世界史認識の主体性と客観性
      • 記述された世界史像
        • 古今すべての世界史記述は、生活意識に立脚して、一幅の歴史像を主体的に構成していく →生活意識の構造や内容が違えば、記述された世界史にも違いが起きるのではないかという疑問がわく →まさにそのとおり。
      • 科学的観察に基づく歴史像の創造的構成
        • 記述された世界史には違いが起きるが、空想により勝手気ままな世界史物語を作るのではない。一つ一つの事件や状態の認定、それらのもの相互の間の関連についての認定は、すべて確実な証拠による科学的観察に基づいて行なわれなければならない。科学的観察を欠いて構成された歴史像は、学問的成果ではない。
        • 歴史像を描きあげるということは、同時に、確実な証拠による科学的観察に基づいて、客観的に世界史像をつくりあげるということであり、それがまた、「世界史を学ぶ」ということの意味でもある。
    • 「世界史を学ぶ」ことの効用
      • 新しい知識やはっきりした認識 →われわれ自身の問題意識や生活意識に、構造と内容の上で変化が生じる →人類の歩みやあり方に対する省察と吟味は、われわれの問題意識を掘り下げ、それを鋭くするし、生活意識の構成を堅固なものとし、その内容を豊かにする=「世界史を学ぶ」ことから生じる最大の効用。
    二 この「世界史」はどう書かれているか
    • この「世界史」の出発点と問題点
      • 現代の日本国民たるわれわれ自身の現実の問題意識と生活意識に基づいて、世界史像を実際に書き上げる努力の必要性 →初めて世界史を学ぼうとする者は、本書の構成を一つの見本として、自分自身の世界史像を描きあげるように努力すべき
      • この「世界史」はどう書かれているか
        • 現代の日本国民の切実な問題意識と生きた生活意識に基づき、出発点として書かれている。
        • 世界史記述の理論的問題(世界史記述はどの時点から書き始められ、どう書き続けられるべきかという問題・時代区分の問題)は、実際問題への意識と自覚に基づいて処理される。
    • この「世界史」は何をどう明らかにしようと意図しているか
      • この「世界史」は、現代日本の政治・経済・社会・文化の諸面にわたる生活現実、それをつくりあげている諸問題、それらの発生経過と歴史的意味をとらえるのに必要であると判断されるだけの、時間的・空間的広がりにおける、東洋および西洋諸民族の歩みとあり方を明らかにする。
      • このような探究により獲得された世界史の知識は、実際問題の解決に欠くことのできない前提であるだけでなく、問題意識を鋭くし、生活意識を深めることにより、問題処理のための主体的条件を整えさせる。
    • この「世界史」はどの時点から書き始められているか
      • 東洋諸民族と西洋諸民族が発生し、その各々がそれぞれ独自の社会と文化とをつくり出したことを、いくらかでも明らかにしうる、その時点から書き始められている。
    • この「世界史」はどの文明圏から書き始められ、どう書き続けられてきたか
      • 第一部と第二部
        • この「世界史」は、最初に東洋文明件の歴史と西洋文明圏の歴史をそれぞれ独立させて平行的に書きあらわす。第一部が「東洋文明の形成とその発展」であり、第二部が「西洋文明の形成とその発展」。
        • 東洋文明圏は単一の世界ではないので、第一部を三編に分ける。第一編「中国文明の形成とそれを中心とする東アジア史の展開」、第二編「インド文明の形成とその展開」、第三編「西アジア文明の形成とその発展」。
        • 東洋文明圏の歴史から書き始め西洋文明圏の歴史へと書き続け、東洋文明圏の中では中国文明を最初に書き記したのは、世界史を学ぼうとし、世界史を書こうとしているわれわれ日本人の歴史というものが、ほかならぬ東洋文明圏における歴史であったから。
        • 数世紀前までは東洋文明圏の歴史と西洋文明圏の歴史とが、独立した形で平行して展開していた。東洋の歴史と西洋のそれとの間には、昔から接触もあり、交渉もあったが、両者は密接不可分にからみあっていたとはいいがたい。
      • 第三部「西洋の近代化と世界」
        • 世界史上の「新事態」:20〜30世紀以前から、独立に、そして平行して展開してきた東西の歴史が交わるようになったこと。その交わりの高まりのうちに、ヨーロッパ諸民族を中心とした一つの全地球的世界秩序が形成されたこと。この「新事態」の部分的現象として、日本の歴史も明治維新のような大変革を経験せざるを得なくなる。これが第三部。
        • 日本の生活現実や実際問題の発生条件や歴史的特性の多くのものも、第三部の「新事態」のもとでの探究を通じて解明される。
      • 第四部「現代の世界」
        • 世界史を学ぼうとするわれわれ自身の生きた生活意識に直接ふれ、またそれらの形成に直接あずかっている、世界の歴史的現実が書き記される。
    • 時代観念と時代区分
      • 「時代」とは、他の文明と区分される一つの文明が支配的に存在する、時間的なまとまり
      • 「時代区分」とは、普通、文明の連続的発展をもっている文明圏や民族の歴史を、文明の特徴的相違に着目して諸時代に分ける操作
      • 時代という観念や時代区分への要請が、同じ強さや同じ意味で存在するというものではない。歴史の歩みと、その歩みの中で作り出される文明とを、どの点でどう重視するかの違いに応じて、時代区分の様々な仕方が生じてくる。
      • 代表的な時代区分
    • この「世界史」の時代区分
      • この「世界史」では、現代日本の生活現実とそれを構成している実際問題―なかんずく社会の民主化の問題とともに、第二次世界大戦後特に重要になってきた、世界の平和とアジア・アフリカの独立という問題―を、その発生経過と歴史的意味との両面において明らかにしようとしている。
      • われわれ日本国民の問題意識に立って世界史を書く場合には、以下の動きに基づいて、世界史を大きく時代区分することが何より適当
        • (1)過去20-30世紀においては、東洋文明圏の歴史と西洋文明圏の歴史とが、独立して平行的に展開していた。
        • (2)ヨーロッパ世界の内部で、ヒューマニストたちが自覚したような近代化が行なわれ始めた時期に、ヨーロッパ諸民族を中心にした全地球的世界秩序を形成してきた
        • (3)第一次世界大戦以来、特に第二次世界大戦後、ヨーロッパを中心とした世界秩序が崩壊し、アジア・アフリカ諸民族が自己の主体性と自主性とを確立し始めた
      • この「世界史」を手がかりとして世界史を学ぼうとする者は、この「世界史」の時代区分を模範としてではなく、一つの見本として、各自の研究と思索によって、いっそう適切な時代区分を企てる必要があり、それが「世界史を学ぶ」最も正しい態度。

    第一部 東洋文明の形成とその発展

    • 日本の歴史と世界の歴史
      • 日本の歴史のより良い理解=世界の歴史を知ること。日本の歴史は世界の歴史、特に中国文明のなかで育まれてきた。故に、中国文明の発達の歴史をよく理解する必要がある。--中国は東洋の一部であり他にインドと西アジアがある。相互に融合はしないが、共通した性格が見られるので、ひとまとめにして東洋文明という。
      • 日本の成長の背景である中国は東洋文明であり、日本も東洋文明 →日本の歴史をより深く理解するための世界史の学び方として、東洋文明の歴史から始める。
    第一篇 中国文明の形成とそれを中心とする東アジア史の展開
    中国文明の特質と日本に及ぼした影響
    • 権威主義
      • 皇帝=天子=専制君主。官僚=特権意識で人民を支配。
      • 人民;自分たちの生活が満足される限り、このような権威に支配されることに無関心
      • 日本民族にも権威主義の影響が及んでいる。
    • 自由の精神の欠如
      • 人民は権威あるものに服従し、自由の精神は生まれなかった。
      • 日本民族も自由の精神を獲得せず。西洋文明の影響下でも、自ら努力して自由を獲得するのではなく、上から与えられた自由に満足するか、自由という言葉に権威を与えて人に強制することが多かった。
    • 儒教道教
      • 儒教は国家の政治思想として採用され、道教は民衆宗教として普及。
        • 儒教:家族道徳の上に社会の秩序を保ち、それによって専制政治を行なおうとするもの。
        • 道教:現世の利益や不老長寿などの個人生活の幸福を追求する、現世肯定の宗教。
    • 生活充足の精神
      • 現実世界に幸福を求めようとする「生活充足の精神」は専制支配に対し、自己主張を可能に。人民はどのようにしても自分たちの幸福がえられないと知ると、もはや権威に従順ではなくなる。多くの農民反乱がこれを示す。
      • 日本では規範意識の形成に寄与し、権威主義的な規範ばかりが重視され、「生活充足」を追求する側面はかえりみられなかった。
    • 革命思想
        • 国史上の王朝交代は、易姓革命であり、政権移譲であって階級間の革命ではない。
        • 易姓革命は天子が人民を幸福に出来なくなると新しい支配者に移るという革命思想で、個人生活の充足という現世肯定の意識が強く働いている。
        • 専制支配が行なわれながらも人民はつねに最後には農民反乱を起こして専制支配に対抗した。
    • 中国文明の発展的性格
        • 現実生活充足の意識を持つ民族は専制支配の下でも、文明を発展させる力を持っている →中国文明の内容・性格やその担当者が、それぞれの時代に変化発展している。
        • 中国を停滞視する学説もあるが、中国文明は進歩発展してきている。
    第二編 インド文明の形成とその展開
    • 中国文明に次いで、インド文明を学ぼうとする理由
      • インド文明は中国文明と深いつながりがあり、中国文明をよりよく理解するためにもインド文明を学ぶ必要。インド文明は中国文明を通じて、日本の歴史にも著しい影響。故に中国文明に次いでインド文明を学ぶ必要がある。
    インド文明の特質とその歴史的意義
    • きわめてゆるやかな社会構造の発展
      • 多言語、他民族の複雑な混在、貧困と無知、昔ながらの農耕・宗教・カースト制度、村落の共同組織・大家族制度などの伝統の上に立っている。
      • かつて17世紀頃から、イスラム教の影響もあり、一神論的傾向が強まり、民族・言語のうえでも、それぞれ統一への方向が見られ、南アジアの中心として、将来多くの民族を含んだ統一国家に成長する前途を予想させるものがあったが、イギリスのインド支配が発展を