タバコの歴史

はじめに

主題学習「世界史への扉」でなぜタバコを扱うのか

現代において外食産業を扱う店に行くと必ずといっていいほど、喫煙の有無を聞かれる。また高校生らは、学校教育における保健指導で毎年ニコチンの害や受動喫煙についての啓発を受けている。また、昨今タバコの増税に関する議論も活発であり話題は尽きない。このように高校生にとってタバコは様々な意味で日常生活に密接な社会問題であるといっても過言ではないだろう。

このようなタバコだが、日本に伝来した歴史は新しく16世紀以降である。そもそもタバコがアメリカ大陸から所謂旧大陸へもたらされたのが15世紀末のことであったので、その伝播は同時代的なものであったといえよう。では、なぜこのような15世紀後半まで新大陸に留まっていた作物が、1世紀と立たないうちに世界各地へ広がり日常生活へ浸透していったのであろうか。このような問題設定は高校生の興味関心を高めるものだろ思われる。また、世界と日本の接触・交流についても考えることができるであろう。このことは、平成11年版学習指導要領世界史B内容(1)「世界史への扉」の目標である「歴史に対する関心と世界史学習への意欲を高める」といった趣旨に答えるものであると考えることができる。以上により、主題学習においてタバコを扱うことには教育的な意義があり、学習指導要領の目標とも適合するため、ここで取り上げてみたいと思われる。


ここでは、まず第1節で、日本においてどうしてタバコが栽培されるようになったかを概観した後、2節で旧大陸の産物であったタバコがどうして世界各地に広まったのかについて考え、3節で中国におけるタバコ生産と明清時代の社会背景の関係に迫り、4節で19世紀以降の世界の一体化をタバコプランテーションの広まりという視点からとらえていく。このような視点でタバコの広まりを考える事で、16世紀からの大きな枠組みという縦の歴史と接触交流という全体史的な横のつながりを提示できるかと思われる。