駿台予備学校「大学入試センター試験対策研究会 世界史分科会」講演メモ

2012年6月18日、駿台予備校御茶の水校で開かれた教員向けセンター講座のメモです。
講師は天谷進さん。理系のセンター世界史で12人の浪人生を指導している人気講師(?)とのことでした。
内容は、前半が2012年度センター世界史Bの分析、後半がセンター対策指導方法でした。

2012年度センター世界史Bの分析

センター試験世界史概略
  • 地歴・公民の平均点の推移
    • 倫政設置のため、現社、倫理、政経の受験者数が大幅に減り、地理が増加。
  • 過去問の再利用
    • センターもネタが尽きてきたので、同じ様な図版やリード文の再利用が見られる。
  • 2008年に難化
    • 時代・地域とともに広い雑問集合的な寄せ集め問題が増えたため。
  • 世界史ビギナーについて
    • 平均点50点以下の受験生が日本史・地理に比べて多いが、これは初めて世界史を受験科目にした人が多いことと関連がある。
      • ※世界史ビギナー;高校3年で入試世界史に取り組まなかった人々。
出題内容の分析
  • 出題分布
    • 設問単位より、選択肢単位での分析の必要性。
    • 過去に出題されていない時代はない。
    • 作問者に熱心なインド研究者がいる。
  • 設問タイプについて
    • 選択肢単位で分析すると、時代と地域の観点で広いか狭いかの4パターンに分けられる。
      • (1)限定型…同一地域・同一時代を限定して「狭く問う」設問
      • (2)通史型…同一地域の歴史をタテに見渡す設問
      • (3)寄せ集め型…世界史の広範囲からデータを集めて設問を構成
      • (4)同時代史型…同時代の出来事を広い地域からデータを集めた問題
    • 2008年に平均が急激に下がったのは、(3)寄せ集め型が増えたことが要因
  • 分野別カテゴリ
    • 政治史・社会経済史・文化史の分野に分けられるが、同一設問の中で、選択肢の中に混ざる可能性がでてきた
  • 形式別
    • 二文正誤
      • 一文一文の正しい歴史的知識が必要
    • 年代整序
      • 歴史の学習で年号に強いことは良いこと→センターで年号は不要というのは間違っている
    • 地図
      • 地図を使わない地理的な問題→地名など
      • 地名から歴史事象を語れるようになる訓練

センター世界史対策指導法

目標について
  • 目標点
    • 100点狙って9割、8割狙って7割
    • 解けない問題は無い
  • 通史はさっさと終わらせろ
  • 頑張っても伸びない
    • 自分で頑張っているというやつは頑張っていないし、やり方が悪い
基礎の徹底について
  • センター世界史=超バランス重視=出題されていない時代・地域はない
    • 山川用語集出題教科書?以上
  • 教科書を使いこなせ
    • 教員の教科書への軽視→教科書「で」授業する罪
    • 教科書を通読させろ
      • 浪人だったら黙読2週間で1回、音読3週間で1回
      • ラインマーカーもメモもノートもいらない。400ページを1周読んでしまえ。
      • 生徒が教科書を読めない。「読む力」が弱い。
  • まとめノートは作るな。時間の無駄。終わらない。挫折。
過去問について
  • 何がどのように問われるかを分析することが大事。
  • 問題演習と平行して、関連する範囲の「復習・チェック」
  • リード文や外れ選択肢も検討しで「何かを獲得する」精神
  • 過去問は「通史」が終わったら。10月からは最低でも過去問始めろ
世界史の3つのルート

まず必要なのが情報の読み解き能力。
次にセンター試験は共通ルート。
ここで終わる人もいるが、さらに私大ルートと国立二次試験ルートに分岐する。

  • センター試験ルート
    • 私大・国立二次ともに必要な基本的知識・データ。
  • 私大ルート
    • 「基礎」の上に「応用」データを積み重ねていく。早K的な知識。
    • 用語集を「調べ」につかうのではなく「総チェック」に使う
  • 国立二次試験ルート
    • 歴史の踏み込んだ思考力や知識が必要

実際の予備校の講義について

  • 駿台のセンター世界史=60コマで通史を終わらせる!?→ムリ
    • 当初は60コマで通史を語ったが、生徒の理解を置いてけぼりにした自己満足授業
  • 1週2コマ;1コマ講義で1コマ演習
    • 講義では世界史の考え方やよく出るテーマや理論的背景(世界システム論など)を講義しているらしい
  • コラム式まとめ演習データ板書
    • 問題演習をさせて、選択肢を検討させながら知識を網羅的に増やしていく
      • 誤答を作りやすいセット式知識;イギリスの中東三枚舌外交セットなど
      • ワード関連知識の総まとめ
      • 年号ピタっと
      • 地名から歴史を語らせる
    • データをどう関連付けるか。