いろとりどりのヒカリ消化試合!捨て駒ヒロインズの感想・レビュー

『いろとりどりのヒカリ』は真紅ゲーであり、その他ヒロインは後付設定で創出された存在。
そんな存在たちが「作られた世界」後に、他世界解釈として自立していくという展開。
あと本編で伏線回収されなかった話が、捨て駒ヒロインズ√で語られています。
各シナリオの概要は以下の通りです。

澪シナリオ

澪シナリオでは主人公くん何もしません。なんだかんだ言って甘えさせてくれる系のヒロインの場合は主人公はダメになりますね。世話をしてあげる系の方が能動的で良いのは私だけでしょうか。そんなわけで澪シナリオの感想。本編では、二人の澪が登場することから生じるパラドクスが主軸とされていましたよね。つまりは幼馴染と思っていた澪Aは、並行世界の別の澪Bと入れ替わりをしており、主人公くんとフラグ成立させた澪Bは、幼馴染の澪Aではなかったという話です。本編のエンドでは、並行世界から入れ替わった澪Bは、主人公くん側の世界で実体を保てなくなってしまっていました。それを解決するのがファンディスクの澪シナリオというわけです。主人公くんは澪に感情の刺激を与えることが、実体化の鍵となると確信します。しかし、主人公くんと澪の二人だけのセカイ系的感覚では穏やかな時間は過ごせるものの、感情の発露が減少していたのでした。ここで現れるのが本編で敵役となっていた少女。敵役が仲間になるのは少年マンガのお約束ということで、敵役少女が贖罪?をしながら澪に感情の回復を図らせるのでした。そしてこの少女が、バラバラになってしまっていたヒロインたちを寮に呼び戻させます。懐かしき面子と再開した喜びにより、澪Bは実体化に成功しましたよっとハッピーエンド。主人公くん何もしていない。

鏡シナリオ

鏡シナリオは主に前半と後半に分かれます。結構な容量のように感じます。前半はキャラゲーの『放課後エロゲー部』。鏡は部活動をしたいとのたまいエロゲを製作することになるメタ的展開です。しかも作る作品が真紅ヒロインの『いろとりどりのセカイ』です。そして後半は、作中劇であるケモノ耳娘たちの設定回収。寮の管理人である時雨さんが狐娘を孕ませて、その子供がハクさんになったわけでした。そしてハクさんと結ばれたのが鏡の兄で、その娘が蓮というわけです。三世代展開。このケモノ一族悲喜劇の設定を回収していきましょう。鏡と鏡の兄は、不老の祖母から修行という名の虐待を受けておりました。特に鏡の兄は、祖母の性的欲求を満たすために祖母との近親相姦の相手をさせられていたのです。そんな鏡の兄の心のオアシスだったのが鏡とケモノ娘だったわけですが、そんなことは祖母には筒抜けでありました。ケモノ娘は悲劇へ追いやられ、鏡には惚れた男である主人公くんを殺させようとします。泣く泣く鏡の兄は自分の心を機械と化して、主人公くんのもとへとやってくるわけですね。ですが真紅の力を借りた主人公くんは最強で、兄を返り討ちにし、ついでに十数クリックで鏡の祖母も捕まえました、やったね。あっけない。兄はハクと蓮と再会でき、主人公くんと鏡はこれまで性格を歪めてきた祖母をアガペーにより再教育しようとハッピーエンドで終わります。

つかさシナリオ

つかさシナリオはベーシック・インカムが失敗に終わるおはなし。つかさの所属する国家では、国民に最低限の賃金を支給し、福祉国家として社会保障の形態を極めていました。ですが実態は知識エリート以外は働いてはいけない管理社会なディストピアだったわけです。つかさはそんなセカイから主人公くんのセカイへと、祖母に高額医療を受けさせるための出稼ぎ労働者としてやってきていたのでした。本編では商店街のみなさんから寄付をつのり賃金を満たしたのでしたが、ファンディスクではこの商店街がシャッター街になってしまうことと絡んで話が進んでいきます。まぁ高校地理でも習いますが集落の形態として商店街というものは自然発生的なものではないので、ヒト・モノ・カネの流れが先に存在するわけですのよ。そのため、いくら活性化を叫んだとしても、時代の潮流としてヒト・モノ・カネの流れが該当地域から逸れてしまっているのに、小手先の対応をしても無駄なわけです。故にただ「仕事を頑張る」だけでは擦り切れてしまうので自殺者三万人状態。将来の不安がなく国民が心穏やかに過ごせる場所はないかしら?ということで、つかさセカイのディストピアが紹介されます。ですが、なんと管理社会への暴動が起こりつかさの国家は崩壊してしまいました。資本主義だの社会主義だのディストピアだの福祉国家だの新自由主義だの社会形態の決定を、プレイヤァに色々と考えさせるわけですね。一方、つかさたちは商店街の組合をコミューンに再組織化し、あらたな事業により地方を復活させようとしてハッピーエンドとなります。まぁゲームだから。