雑録

ICT教育におけるeポートフォリオの効果について(in学芸大学)

学力観の転換

現在必要とされているのは自己調整学習。子どもが自分の能力を数値化・データ化し、その「数値」を元手としてメニューを組み、自己の「能力」を「自己管理」していくようなやり方が求められている。ただ勉強して知識を収集するのではなく、「自分がどのような思考を経て答えを導き出したのかを思考する」というメタ認知的な能力が求められる。現在、インターネットの発達によって知識そのものを有しているだけでの優位性は衰え、知識を用いて新たな価値を創造することが求められている。その自己調整学習を身につけさせるための手段となるのがポートフォリオ型評価である。

ポートフォリオ型評価

  • ポートフォリオとは…学習、スキル、実績を実証するための成果を、ある目的のもと、組織化/構造化しまとめた収集物。このポートフォリオを作ることによって、自分が今まで何をどのように学んだかを振り返り反省することができ、自分の思考回路を辿ることになるので、メタ認知的な能力が養われる。
  • 例えば、社会科の授業で使用した定期テスト、小テスト、授業プリント、レポートなどがあるとする。これらをただ溜めておけばポートフォリオになるのではない。仮に「歴史的思考力」を授業で身につけるという目的を設定したとすると、これらの収集物を見直し、振り返りながら、どのようなが学習が歴史的思考力の育成につながったのかを考え、構造化してまとめなおすことでポートフォリオとなる。

eポートフォリオ

  • 紙媒体との相違
    • 紙ベースポートフォリオは情報の参照性・検索性が低く、情報にアクセスしにくい。内容の再配列や統合もしにくい。それがネット上のポートフォリオならばユビキタス社会となった今日では克服できる。情報通信ネットワークを通してあらゆる場所、時間においてアクセスが可能である。また、学校内でなく遠隔地の人々との相互作用が期待できる。
  • 学習を促進させるツールとしての役割
    • 社会的な営みを通して、自身の活動などを振り返ることでリフレクションが誘発され、学習が生起し、やがて成長につながる。eポートフォリオの場合、中高生はスマホタブレットなどの情報端末を常に所持しているので、情報のアクセスがしやすい。これは、リフレクションの機会が増えると言うことで、自分の活動を振り返る中で、思考過程の整理が行われメタ認知的な能力の獲得に結びつく。つまり、自身で勉強の方法を勉強することができる。
  • 学習成果を引証づけるエビデンスとしての役割
    • またeポートフォリオは誰からでも見てもらえるという他者評価の側面を持っている。つまり、生徒自身が自分の振り返りにのみ使うのではなく、保護者に対する成果の提示や、就職や進学の時に企業や大学に提示するための「教育の質保証」につながっていく。

webサイトによるリフレクション

中等教育学校の弊害として高校受験がないため中だるみが起こり、家庭学習時間がゼロになる生徒が多い。そのため受験を学習の動機づけにするのではなく、自然と息をするかのように勉強することが求められる。ここでは情報の参照性と検索性の効率をあげることが必要だ。家庭学習時間がゼロの生徒たちは授業のノートやプリントを見返すということをしない。授業は聞いたら聞きっぱなしでノートを開いて読み直さないのである。授業でのみ完結してしまうので、知識が定着もせず、受け身になってしまうのである。この状況を打破するのが、webサイトの利用である。現在、学校のwebサイトで授業の要旨や学校行事のまとめをUPしているが、生徒は思いの他記事を読んでおり、それが復習になると言っている。つまり学校webサイトが24時間学習環境を提示する効果を生み出しているのである。生徒の多くはスマホを所持しており、情報のアクセス性も高い。そのため、学校webサイトにおいて授業や行事のまとめ記事だけでなく、生徒の学習に組み込むことで効果が期待できる。具体的には、web記事にコメントを書きこませて次回の授業の導入で取り上げたり、授業のレジュメのpdfや参考文献のリンクを貼っておき自由にdlできるようにしておいたりする。そうするだけでも生徒に情報を参照するだけでなく、授業の流れや全体での位置付けを視覚化する効果を生み出すことができよう。授業と授業の合間に生徒にリフレクションさせる機会を設けることで、学習効果があると思われる。