日本人が中国に対して思う疑問点を大澤真幸が質問し、橋爪大三郎が答える対話方式。
中国は、「主権」国家ではないと断じたり、主権概念と冊封体制の対立を指摘したりと面白い。
特に歴史認識の相違に関する日本人の傾向についての話が印象深かったのでまとめておく。
日中の歴史問題まとめ
- 過去との連続性
- 謝罪は「ごめんなさい」とだけ言えばすむわけでない。…「こういうことをして、こういう間違いをしたから、ごめんなさい」しなきゃいけない。でも、肝心の何をやったか、何を間違えたかという部分を、日本人自身がよく理解していない。…日本は、戦前の中国を侵略した世代と、現代の世代とのあいだの、連続性を設定することに、失敗しているわけ。失敗しているから、過去について謝れない。
- 戦争責任と国際関係
- 日中関係がぎくしゃくする原因
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- そうすうると、歴史に対する態度は二つの極端に分かれるしかない。ひとつは、過去のひどい愚かな過ちを犯した人たちと現在の自分たちとのつながりを否定する態度です。あれは、自分の生まれる前の蛮行であって、自分とは関係ない、と考える。もうひとつは、過去と現在の自分たちとのつながりを引き受ける代わりに、過去の倫理的な過ちを割り引く。戦時の日本人や日本軍のやったことも全面的には悪いとはいえない、善い面、肯定的な面もあったとみなすわけです。
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- どちらをとったとしても、謝罪ができない。前者の場合には、謝罪は不可能です。何しろ、過去の過ちを「自分たちのもの」として引き受けられないのですから。後者の場合には、謝罪は不要になる。過去の自分たちがやったことは、必ずしも、全面的には悪くはない、ということになるからです。ここに、戦後の日本の困難、日中関係をぎくしゃくさせてしまった原因のひとつがあるのではないでしょうか。
- 「過去の構え」と「未来への構え」