国語(現代文)の勉強方法についてまとめ

生徒に聞かれたのでメモ。マァこういう考えもあるよ、という風な感じでお読みくださいな。

  • 国語 勉強法 分からない
    • 国語の勉強方法が分からない。いつの時代の受験生も嘆き、試行錯誤する問題である。それは、文章がほぼ「初見」であり、文章の「内容」を学習してもしょうがない、ということに起因する。国語は「思考力」を身につけ、「言語能力」を用いて問題を解くという特性を持つ教科なのである。結論から言えば「言語能力」を身につけることが国語の勉強になるが、それを意識している生徒は少ない。つまり、「語彙力を鍛えて論理的思考により要旨・主題を把握する」ことをすればいいのである。
    • 具体的な作業としては、「模試や過去問を解く」→「読み直しをし、要旨・主題・評論用語・論理展開をノートにメモっておく(そんなに大層なものでなくて良い)」を繰り返すことになる。まぁそんな簡単にできるようにはならないよ・・・というと生徒は悲しそうな顔をして去っていき、怪しげな参考書を手にしている。方法論を学びたいなら『ちくま評論選』がおススメだし、即効性のあるものは語彙力強化なので『早わかり入試評論用語』が良いかと。
  • 要旨・主題把握能力
    • 筆者のイイタイコト
      • 文章を読む目的とは何か。それは筆者の「イイタイコト」を把握することである。評論文は書き手が読み手に伝えたいことはある程度明確である。筆者は自分の主張を読者に納得させるために、具体例を用いながら論理を展開し、結論付ける。評論には、結論を最初に提示する頭括型、結論を最後にする尾括型、あらかじめ結論を述べ最後にもう一度述べる両括型などあるが、論理展開を丁寧に追うという作業が求められる。ここでつまずく生徒は「具体例」と「抽象化」という概念そのものを理解していないことが多い。そんな受験生は文章全体における各段落の機能を考える練習をするとよい。
    • 出題者の意図
      • 現代文でやっかいなのが文学的文章の読解である。入試問題には、「文章の書き手」、「出題者」、「受験生という読み手」という3つのパワーバランスが存在する。評論文においては、「文章の書き手」の主張がある程度明確なので、「出題者」と「受験生という読み手」の思惑がズレることは比較的少ないし、ズレたとしてもある程度その原因が納得できるものであることが多い。だがしかし、文学的文章はその限りではない。「受験生という読み手」が読み取るのは「文章の書き手」の「イイタイコト」などではなく、それを「出題者」がどのように読み取っているかである。つまり、文学的文章においては「出題者の意図」が重要になってくるのだ。よく笑い話として存命の作者が自分が書いた文章の試験問題を解いたら全然できなかったという例えが引き合いにだされる。しかし、この笑い話をただ笑っている者は何も分かっていない証拠である。それは「出題者の意図」を読み取ることに気付いていないからである。
    • 知識の密輸
      • 国語は国語の勉強をしているだけでは解けるようにならないということを意味しているのがこの言葉である。現代文とは、文章を現代世界の諸問題を読み解くために読むものである。そのため扱われる評論文は「現代思想」を扱ったものが多い。また思想的な文章は哲学用語を含んでいることも多い。ゆえに、評論文を解くためには人文科学や社会科学の思考方法が必ず必要になるのだ。高校の科目でいえば「倫理」を学習して、様々な思想や用語に慣れていることが必要になる。最近では、評論用語集や高校生のための現代思想関連の書籍が売られているのはそのためである。
    • 現代世界の諸問題について
      • 上記の知識の密輸とも関係するが、現代世界の諸問題について扱うのが評論なので、様々なテーマを読みこなしている方が圧倒的な強者となれる。読書経験もない高校生や、読書をしていても興味がない分野の文章に全く触れていない高校生が、入試の時にいきなり初見で読んだこともないジャンルのテーマの文章を読めと言われても無理に等しい。専門用語には脚注がふられるので論理的思考である程度まで戦えるが、語彙力不足は否めまい。だから模試を受けたり、過去問を解いたら、丸付けして放置するのではなく、きちんとノートにまとめてくといい。せめてテーマの把握と用語の書き出しくらいしておこうね。
  • 論理的思考
    • クリティカルシンキング
      • 批判的思考と訳されるもの。ただ漠然と読むのではなく、客観的に読む必要性がある時に使われる。テレビやネットでの風説は正しいとは限らないので、きちんと原典を参照し、検証することが求められる。情報を鵜呑みにしてはいけない時にクリティカルシンキングをする。国語の問題では文学的文章の読解の時に良く使う。受験あるあるネタとして、文学的文章で主人公と憑依合体したというものである。模試で小説を読みながら登場人物に感情移入してしまい敗退するということは多々あることである。そして帰り際に図書館に行って、原作を借りて帰る。文学文章を読み解くためには、客観的な読解が必要ですねということ。
    • ロジカルシンキング 
      • 評論文は筆者が読者に自分の意見(結論)を納得させるために書かれる。だが結論を述べただけでは、読者は納得しない。そのため様々な論拠を提示したり、具体例を挙げて説得性を増そうとする。こうして「結論」を納得させるための「論証」を筋道を立てて追い、要旨を把握することがロジカルシンキング。そのため、受験生は文章全体から問題を解かなければ、その文章の部分が何を言っている部分なのか分からない。全体を把握しながら、個々の箇所がどのような機能を持つのかを分析する思考方法が必要となる。よく小手先の入試問題指導で、問題文を読んで傍線部の周囲を判断をすればよいとかいう参考書があるが、無理。日本の評論は「一箇の命題をめぐって異なる抽象化の水準において言い代えを繰り返しながら、核心的な命題の意味および命題を支える体験の質を明らかにしようとする」性質がある。そのため文章参照能力を問うものとして「イイカエ」問題も出されるが、やはり全体から部分を解くことが必要になる。
    • パラグラフリーディング
      • 全体における部分の機能的役割を理解させるために、パラグラフリーディングの練習をさせる場合がある。よく言われるのが、「形式段落ごとに小見出しを付ける」という練習方法である。中学校で良く行われていると思うが、一つの形式段落には一つの意味があるという言説である。高校受験のための国語の問題集などでは形式段落の番号をチャート化した構成を聞く問題があるが、これは「全体における部分の機能的役割」を理解させるものである。この形式段落チャート化の練習は大学受験でも日常生活でも結構便利に使える。レポートなどを書くときなど、自分の主張を他者に示す際に、具体例や権威づけ、反対意見の想定などをどのように構成するかを考える時に、パラグラフのチャート化をして論理展開の構成メモをまず作っておくことが重要になってくる。
  • 語彙:評論用語の強化
    • 現代文の学習に即効性を持つのが、語彙の強化。つまりは評論用語の学習である。知らない専門用語だらけの文章など最初から挫折しそうだが、ある程度言葉の意味を知っていれば解けるようになっていく。そして一つ一つの語句の意味を単純に丸暗記せず、語源まで深めて覚えていくことが近道となる。評論用語は現代思想ときってもきれないものなので、語源を理解する学習は遠回りのようでいて、物事の考え方まで深めることが出来るのである。語源をきちんと説明しているものとしては中山元ちくま新書で評論キーワードについての書物が出ている。また、中継の『早わかり入試評論用語』も個人的にはおススメ。