積みゲー消化。金剛石・ルカ・詠クリア後に放置していた雛桜を攻略。
雛桜シナリオは孤児育成物語。「家族の愛情」がテーマとなっている。
散々語り尽くされた家族モノだが、少女の成長と関係性変化が丁寧に描かれていて結構面白かった。
また幼馴染みたちや神父が二人を支えてくれるシーンは「故郷」が感じられてグッときた。
- 「親子」になるまでの道のり
- 野々原雛桜は孤児の少女。母親に捨てられて教会へとやってくる。捨てた母親は主人公くんの養母でもあった。雛桜と主人公くんは遠縁の親戚だったことが判明。主人公くんはかつて養母に良くして貰っていたので、雛桜を捨てることが到底信じられない。そのため、上京し会いに行くも、本当に捨てたことが判明する。主人公くんは養母の連れの男にボコボコにされながらも、雛桜に愛情を注いで育てると叫び続けるのであった。大学卒業後、主人公くんは漁協の事務員に就職し、雛桜を引き取るのであった。
- 10年後、雛桜は16〜18になり、主人公くんは28〜32くらいになっていた。二人の関係は良好で、主人公くんは親としての愛情をたっぷりかけて育て上げ、周囲の人たちも温かく見守っていた。目下の所主人公くんが気になるのは、雛桜が養子縁組を拒絶すること。父になりたい主人公くんにとって、雛桜が認めてくれないのは自分に父としての資格がないからだと思い、痛恨の極み。しかし雛桜が養子縁組を拒否するのは、主人公くんを異性として見ているからであって、主人公くんに養父になって欲しいのではなく、夫になって欲しいのだった。
- そんな雛桜に主人公くんの心情吐露タイムが炸裂。主人公くんが養子縁組を望むのは、雛桜に対する哀れみや同情ではなく、主人公くん自身のエゴだった。雛桜のママンが娘を捨てたとき、捨てられたのは雛桜だけではなかった。養母として主人公くんを慈しんでくれていたので、主人公くんもまた捨てられたのだ。主人公くん自身も孤児だったので、主人公くんは母親と二重の別れを強いられたのだ。衝撃を受け、ボロボロになった主人公くんが「故郷」に辿り着いた先で待ってくれ居たのは雛桜だった。この時の雛桜の存在は主人公くんにとっては天使のように感じられ、「帰る場所;故郷」があることを思い出させてくれた特別な存在になったのだ。以上の理由で主人公くんが雛桜を結びつけていたいからこそ、養子縁組を望んだと説明される。これを受けて雛桜は、養子縁組を受け入れ、主人公くんの娘となり「お父さん」と呼ぶようになるのだった。
- 家庭問題の真相
- 雛桜ママンは良いところのお嬢様。政略結婚により製薬会社の社長夫人となるも別に好きなカレがいた。そのため夫にも馴染めずストレスを抱えるばかり。このストレスによりカレとの子どもは流産。雛桜ママンは一族を滅ぼすことを決意。嫁ぎ先の製薬会社の大切な書類を持ち去った。だが、好いた男は事故死。悲嘆に暮れるママンを救ったのは嫁いだ先の社長さんだった。社長さんは寡黙ではあるものの人間としての人格は成熟しており、望まぬ政略結婚をさせられた妻に配慮し優しく接していく。ココロが弱っていたママンは社長さんの本当の人間性を知って惹かれていく。ここで社長さんは孤児の主人公くんを引き取ることになる。主人公くんを媒介とした疑似家族が社長さんとママンを本当の夫婦にしていった。こうして愛が育まれた結果、雛桜が出産される。しかしここで事件が発生。事故死していたカレの遺品から製薬会社の書類が流出してしまう。会社は経営難に陥り、社長さんは過労死し、結果的に倒産。一族や社員から総スカンをくらったママンは逃亡生活を余儀なくされる。ママンは自分の人生を呪いと感じ、雛桜を教会に預けるのであった。
- 「男女」になるまでの道のり
- 主人公くんの念願が叶って、雛桜に父親として認められる。「お父さん」と呼ばれるようになるが、『遙かに仰ぎ、麗しの』の殿子からも「お父さん」と呼ばれるようになるんだったなぁとか。そんなわけで、親子関係から男女関係へともう1回関係性変化を描く後半戦がスタート。雛桜が主人公くんとの恋愛感情を押し殺して親子関係になったのはそう望まれてしまったから。孤児であった雛桜は、孤児スキル「周囲の空気を読む」をマスターしており自分が在るべき姿が主人公くんの娘であることに気づいてしまったのだ。こうして雛桜は自分の恋愛感情に苛まされていく。一方で主人公くんもまた雛桜に娘としての感情だけでなく、女性に対する感情をも抱いてしまう。
- 向かい合わせの青信号である二人の均衡を崩すのが雛桜の家族問題の真相。自分は「入らない子」だと思っていた雛桜に対して、「ママンとダディは本当に愛し合った結果として子どもを孕んだ」という真相が明かされる。さらに孤児スキル「周囲の空気を読む」→「いい子でなければならないので娘であろうとする」のコンボという呪縛に対しては、主人公くんの幼馴染みーズが二人の人間関係を許容し積極的に応援することで解決。こうして二人の関係性は親子から恋人へと変化し「父娘であり、夫婦であり、恋人」である三重属性になる。
- 最終的に、二人は結婚式を挙げることになり、紆余曲折を経て雛桜ママンも出席。二人は和解する。以上により、孤児を題材とした家族愛を描く物語はハッピーエンドに終わる。エンド後は「雛ちゃんの新妻だいあり〜編」がプレイできるが蛇足感もある。