恋がさくころ桜どき(体験版)の感想・レビュー

死神の命と引き換えに蘇生され、代償として他者の役に立つという自縛を背負った物語。
体験版ではみんなの幸せのためには自分も幸せになる必要があると悟る所までプレイできる。
幸せの為には誰かを好きになる必要があるということで生徒会の勧誘に乗ろうとするが・・・
なんと生徒会は生徒会-将棋部-風紀委員として合併新生し恋愛禁止となるのであった!!
作風としては死神モノ系列として『死神のバラッド』や『星空のメモリア』に近い。
攻略ヒロイン以外が真ヒロインで、蘇生してくれた死神のお姉さんがグランドエンドだと予想。

主人公くんのキャラクター表現

  • 家族構成について
    • 主人公くんの家族構成は義母と妹。実母は主人公くんの妹;こなみを生んで間もなく死亡。現代国語の教師をしていた父親も過労死で亡くしています。現在、主人公くんを支えている義母は父の元・教え子の体育教師。かつての恩義を返すため主人公くんたちを引き取ってくれたのです。そのため、まだ歳も若く攻略ヒロインとしても十分に通用するほど。おはようの接吻とか抱擁とかは当たり前!コンフィグのvoice設定では主人公くんと結ばれることを夢見ている程です!!!同じ元・教え子であった養護教諭と一緒に主人公くんのことを何かと気にかけてくれるというわけですね。他人を幸福にするためには自分が幸せでなければならず、そのためには恋をすることが必要だとする世論に対してもアドバイスをしてくれます。「恋をしたくて好きな人を作っちゃダメ。本当に好きになった人と恋をして欲しいの。ちゃんと過程があって、その結果が恋に繋がるの。したくてするんじゃないんだよ?」

  • 小さい頃に一度死んで蘇生されている
    • 主人公くんは「他者の役に立ちたい」という自縛を負っており、「他人の幸せ」を見ることが自分の幸せでもあるかのような人間です。なぜ主人公くんはそのような自縛を背負っているのでしょうか。それは主人公くんは一度死んでいるからなのです。幼少時に事故にあった主人公くんは、死神に出会います。その時に魂を狩られそうになるのですが、なんとその死神は自分の命と引き換えに主人公くんを蘇生してくれたではありませんか。主人公くんはこのことを契機に自分の命は自分だけのものではなく、貰った命を誰かの為に使おうとの呪いをかけることになったのです。「これはお前に貰った命だ。無駄になんかしない。誰かのためにこの命を使う。最後のその時まで俺は全力で生きていかないと行けない。そうだろう?」

目の前で怪我してる子がいて、それを見て見ぬふりをすることが俺にはできない。そう。それは確かに俺の生い立ちに関わることだ。もしその子の傷が残っている姿を見たら、後になって俺は後悔してしまうに違いないから。誰かの悲しい顔はもう見たくない。それが身近な人であろうと、例え見ず知らずの人であろうとも変わることがない。それだけだ。嫌なんですよ。万が一にも誰かが泣くようなことになってしまうのは。だから出来ることはやっておきたい。要約すると自己満足になるでしょう?

  • 恋愛に興味がないという思想からの転向
    • 主人公くんは他人の幸せを心から願っているわけですが恋愛否定者です。なぜなら自分のことは「二の次」と考えているからですね。しかし主人公くんはそのことにより、感情表現が豊かではなく無愛想となってしまいます。そして無理矢理笑おうとする笑顔がキモイと周囲の人々から指摘されるのです。自分が笑えないのは不幸だと感じているからか?と内省する主人公くん。「俺の生き方は、どこか間違っていたのか?貰った命のためにも全力で生きるのが俺のやるべき事だと思っている」。
    • 主人公くんが自然と笑うことが出来るのは周囲の人々が幸せそうな笑みを浮かべている時でした。みんなの幸せが主人公くんにとっての幸せだったのです。そのため、自然な笑顔はどこか客観的で一歩引いたものでした。これに対してヒロインズには不満なわけです。ヒロインズにとっては主人公くんの笑顔を見ることが自分の幸せなのです。そのため、主人公くんに笑って欲しいなぁと思うのですね。これに気づいた主人公くんは、自分が誰かを幸せにするためには、まず自分が幸せにならなければならないと悟るのですね!!

昔さ。俺は死んだことがあるんだよ。そして名前すら知らない死神から命をもらった。つまりな、俺のこの命は自分のものじゃない。だから俺は…。この命をくれたあの人に恥じないように精一杯、みんなのために生きるつもりだった。別に良かったんだ。今までは。みんなの幸せが俺の幸せでもあるんだからな。でもな、そんな風に感じていたのは俺だけじゃなかったらしい。だからみんなを幸せにするためには、俺自身も幸せでなくちゃいけないらしいんだ。俺自身と預かりモノのこの命に幸せってやつを味わわせてやるべきなのだ。俺が笑えないことで本来生きているはずの幸せをせき止めてしまっているのかもしれない。

ヒロインたちの感想

  • 月嶋夕莉さん。
    • 一番ヒロインしている生真面目な風紀委員長。学食で和装のコスプレをしてバイトをしている。女子寮住まいで主人公くんと一緒に洗濯機を回すイベントがステキ。ルールに従い正論を吐くが、人間の感情は法や規制を超越することをひしひしと感じておりコンプレックスを感じていることがヒロインのテーマになりそうです。法やルールは人々が暮らしやすくするために結んだ社会契約としての手段にすぎないのに、法やルールを守ることが自己目的化してしまっていることを月嶋夕莉というキャラを使ってどのように描くのかが期待されます。主人公くんに垣間見せる風紀委員長としての夕莉さん、クラスメイトしての夕莉さん、バイトでの夕莉さんと役割によるキャラ変化がすごく可愛らしいなぁと思う。

  • 真・ヒロインは死神のお姉さんでグランドエンド
    • この業界、パッケージにすら書かれていないヒロインが真ヒロインだということも良くあるわけで、真ヒロインは死神のお姉さんだろうと予想。恋の妖精とは名目的なもので、文中でも死神であることは判明しています。そのため、恋の妖精であるティナは死神であるわけで、その死神が仕事をするということは主人公くんを殺すということに繋がるのですね、分かります。主人公くんの恋を応援するというおぼこなティナに、恋愛感情を教えていくいちにティナ自身が恋心を抱いてしまい、自分の存在意義に葛藤するという展開だと安直すぎますかね?そして好きになった人を殺さなければならないという煩悶を抱き、真ヒロインの死神お姉さんの登場で幼少期編に突入!という流れかなぁと書いてみる。そして死神お姉さんのことを知っているかのようなそぶりを見せる一応のメインを張る神鳳杏さんがどう絡んでくるか(多分神鳳杏さんも赤目変化するので死神フラグが張られている)。シナリオが体験版まで結構面白いのでキャラゲーにならないことを祈ります。