駿台の研修に派遣されたのでまとめ。講師は築地寛崇氏
入試情報編
教科別問題分析編(世界史)
講師が述べた早慶に有効な勉強方法・学習指導のアドバイスまとめ
- 過去問研究
- 結論から言うと「過去問研究をしろ」の繰り返しであった。具体的に今年の入試問題を引き合いに出しながら、これこれの問題は知識として細かくて教科書には載っていないが、過去問では繰り返し出題されていると以前の問題を紹介していくという流れ。また学部ごとの過去問をやるだけでなく、他学部にも同じようなテーマで類題が出されているので、他学部の問題も解けとのこと。ならば頻出テーマを一覧にして過去に出題された年と学部の表をくれてもいいのにとか思った。
- 東京書籍の教科書のはなし
- 慶応商学部は商業をテーマにした問題が出題される。特に交易関係の問題が多い。これに対応できるのが東京書籍の教科書。普通受験生は山川の『詳説世界史B』を使用するが、東京書籍の教科書は経済・商業についての記述が豊富で役に立つとのこと。
- 説明する力
- 受験生に一問一答をやらせても効果は薄い。条件反射で一問一答に応えられても、その用語がどのような意味を持つのかを理解している生徒は少ない。そこで生徒にやらせるのが一問一答の逆。その用語を説明させるのである。授業でも単発知識を質問するのではなく、説明する力を養わせておくと、正誤問題や時系列整序などで効果的であるとのこと。
- 初見殺しについて
- 過去問研究の重要性とも重複するのだが、慶応経済は初見ではほぼ解けない。しかし、同じような問題が過去に繰り返し出題されている。だが受験生が全てを自分でやるのは無理がある。教員の指導としては過去に出題されたテーマをピックアップして生徒に対策を行うことである。独学の場合は重要度の濃淡が分からないまま闇雲に勉強してしまうことになる。授業では複雑怪奇な受験知識の中から、何が重要で何が重要ではないのかのをはっきりさせ、どのような知識がどのように問われるのかを重視する必要がある。
- リード文について
- 早慶のリード文は難しい。リード文を作るのは問題作成者にとってとても大変な作業。受験生たちはこのリード文に翻弄されてしまう傾向がある。過去問研究の際には、リード文を読みこなす練習も必要であり、リード文からもさまざまなことが学べる。また、リード文は難しくても、正答の判断のポイントは教科書レベルの易しいところが判断基準となる。習ったこともないような難解な文に惑わされずに基礎基本の知識を如何に使えるかが合否の分かれ目となる。
- 生徒に世界地図を書かせると良い
- 外れ選択肢の検討
- 正誤問題で生徒たちは正答の方にばかり目が向いてしまうが、外れ選択肢を検討して知識を増やすことが重要。早慶では外れ選択肢の知識が別の年に出題されたり、他学部で出題されたりする。教員はそれをデータで蓄積しておき、外れ選択肢の検討の際に過去や他学部で出題されたことをきちんと話しておく必要がある。生徒たちがスルーしがちなところ、自分たちでできないところをピックアップしてあげる。
- 年代整序・時系列整序は年号の丸暗記では対処できない
- 年代整序や時系列整序、年表の問題がでると生徒たちは年号を覚えようとするが、それは効果的な学習法法とは言えない。流れのなかで理解する必要があり、一つ一つの歴史的事象が全体の流れの中でどのような因果関係に位置づけられるのかを意識する必要がある。そのため、単発的な知識ではなく、いかに知識に関連性を持たせるかが重要。たとえば今年の早稲田の政経の大問?A7の時系列整序で「モンテーニュの死去」を「ユグノー戦争」や「ナントの勅令」と整序させる問題が出題されている。普通の受験生は泣きたくなるような問題だが、モンテーニュがボルドー市長でユグノー戦争の解決に奔走したという関連知識を抑えておけば、ユグノー戦争、ナントの勅令よりも時系列が後だと整序できる。