星織ユメミライ「逢坂そら」シナリオの感想・レビュー

逢坂そらシナリオは天文がテーマ。
学生編は「文化祭でプラネタリウムをつくろうぜ!」というおはなし。
星空のメモリアとカルマルカサークルでプラネタリウムは作ったものよ。
社会人編は「主人公くん建築士で大出世」の巻き。
ひたすら主人公くんが成功をおさめる様子を見せつけられる。冗長っぽい。

逢坂そらのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 学生編
    • 逢坂そらは無表情系キャラ系統を引き継ぐの素直クール。そんなヒロインが主人公くんにだけ見せてくれ宇特別な表情というキャラクター消費でシナリオを牽引していきます。星を見られればそれでいいと独りで天体望遠鏡をのぞいていた逢坂さん。主人公くんはそんな逢坂さんに対して文化祭へ出展してくれるように働きかけていくことになります。二人で星の観察会をしながら好感度を蓄積し、「独りで星を見るのもいいけど学生時代にみんなで一つのことを成し遂げるのは素晴らしいよね」と心情変化させ、プラネタリウムを開くことになりました。・・・今更セカイ系がいいとは言いませんが、こういう無条件で「学生時代の協力は素晴らしいよ史観」を展開されると、複雑な心境です。社会的に肯定されている価値観の押しつけなら違うプラットフォームでもいくらでも転がってるからそれ読めばいいと思ってしまうのですよ。しかしプラネタリウム作りが一度目に失敗したときに主人公くんが建築士志望スキルを発動させて設計し直すという流れは読んでいてナカナカ良かったです。孤独でも構わなかった少女が寂しさの感情を知り他人と交わることの大切さを悟ったと書くとありがちな道徳の教科書みたい。



  • 社会人編
    • 社会人編では主人公くんは建築士に、逢坂さんは学芸員になっています。主人公くんが独立し建築事務所を設けるところからおはなしは進んでいきます。ここからは主人公くんが苦労を重ねながらも、ひたすら成功していく様子が描かれていくので、惰性と冗長っぽさが拭いきれません。唯一面白かったのが師匠との対立との場面でしょうか?独立する前に師事していた設計事務所と共同開発をおこなったものの師匠からダメだしをされまくり対立しかけるところ。けれどもこの対立も師匠から自分のオリジナリティを出せという生暖かい温情の念から来るものであり、主人公くんもそれに気づいてあっさりと解決。なんか小出しの問題を起こしては煩悶や葛藤などを描かずサクッと数クリックで解決させてしまう場面がとても多いです。そして地域共同体に根ざした仲間たちとの絆の力により次々と再開発の設計に成功しハッピーエンドを迎えます。「学生時代における仲間たちとの想い出が現在の自分を形成させているんだ」という美談が前面に押し出されすぎている感があり、鼻白んでしまいます。これはあくまでも学生時代が碌なもんじゃなかった個人的な背景から来ているものなので、学生時代が楽しかった人たちは共感できるんじゃないでしょうか?