キミのとなりで恋してる!「小松莉奈」シナリオの感想・レビュー

周囲の人々が目標を定めて努力をしている姿を見て置いてけぼり感がはんぱないシナリオ。
あれこれ悩んで迷った方が人間としての資質に味が出ることを肯定してくれる。
咲くまでに十年以上かかる「オオバナノエンレイソウ」を具体例として取り上げる。
いや、仮初めかもしれないけれど、自分の境遇的に本当に救われる内容だなぁと。

莉奈√概要

  • 周囲と比較して焦って悩む
    • 小松莉奈は周囲の人々と自分の目的意識にギャップを感じている少女です。なぎさや主人公くんを始め、みんなやりたいことがあり、それにむけて努力しているのに・・・。無為に時間を過ごす自分が置いてけぼり感はんぱない。いや莉奈だって頑張ってないわけじゃないんです。共働きの両親に代わって家庭を切り盛りし、家事や炊事にも長け、幼少の妹の面倒を見るなど日々の生活を暮らしています。ですが莉奈にとってはその「努力」は既に当然のものであり、何もなしえない自分に焦りを感じることもしばしば。そんな莉奈の境遇はとても共感できる。莉奈が苦悩する状況をとても理解できて生きるのが辛い。頑張れ莉奈、負けるな莉奈、さすが公式ブログで莉奈(オススメ!)とされていただけのことはあるぜ。あと現状に悩む莉奈に対してする千代さんの過去話も結構好き。戦前貧しかった日本で学校にも行かず家の手伝いの農作業をして生計を立て青春という言葉もしらず指も肉体労働で曲がってしまったことを語り、悩める莉奈を受け入れたあげるのですね。婆ちゃんの話には弱いなぁ。


  • 遅咲きであることの肯定
    • 周囲と自分を比べちゃって焦燥感はんぱない莉奈を肯定してくれるのが、先輩が似合うといってくれた「オオバナノエンレイソウ」。エンレイソウは咲くまでに十年以上かかる花だそうな。莉奈√は本当に遅咲きであることを肯定してくれるな!共通√での莉奈イベントでも「大学に入ってから才能が開花する野球選手」の話とかを引用してくれますし。また莉奈が主人公くんに水泳を教えてくれる時も、できない人の立場にたって分かりやすく、という面が強調されています。挫折や苦労を知っているからこそ分かることもあるのだと。
    • そんなわけで莉奈が色々と悩んでる姿を見るのも面白かったし、遅咲きである自分を受け入れるのも良かったし、色々と考えさせられもしましたとさ。このライターさんは短いシナリオの中でネタに走りつつも救済系のエピソードを入れてくるからじわじわきます。