星織ユメミライ「鳴沢律佳」シナリオの感想・レビュー

リア充成功譚その3。挫折系少女なのに今ひとつ鬱屈しておらずライトなノリ。
親と対立しているわけでもないし、コンプレックスの原因でもある妹もいいやつ。
心を閉ざしていた少女が主人公くんの活躍でみごと立ち直ったというお決まりパターン。
社会人編も主人公くんとヒロインたちが出世していく様子を見せられ淡々としていた。

鳴沢律佳のキャラクター表現とフラグ生成過程


鳴沢律佳は周囲との人間関係を構築せず、周りに壁を作って放課後にピアノを弾いている黒髪ロング。主人公くんは熱いノリで律佳の壁を破壊し、グイグイとATフィールドを突破していきます。どうして律佳は周囲と交わろうとしないのでしょうか?それはプロピアニストを目指して挫折したという経験からでした。指揮者の父とピアニストの母を持ち、妹もピアニストの音楽家一家。しかしそんな境遇が律佳を次第に追い詰めていきます。・・・まぁ自滅に近いのですが。そんな律佳を支えてあげればフラグは成立。ぼっち系少女に友達を与え、妹へのコンプレックスも解消させて、再びプロピアニストへの道を決意させます。は〜い、あとはリア充成功譚でござい。鬱屈成分が足りないと思うのは私だけでしょうか?基本的にシナリオが性善説であんまり苦悩とか煩悶とかが描かれないのが物足りない気がします。シナリオの流れとしては「一般的な社会人としてのステレオタイプ」が表面的になぞられていくのを眺めます。上っ面だけのように感じてしまうのは、「音楽ネタが掘り下げて描写されていない」からだと思います。『天に響き』とか『シンフォニック=レイン』ではないですが、音楽を扱うなら相応に音楽系の専門知識とか苦悩とか音楽系あるあるを入れてくれないとー。例えば律佳はモスクワにピアノの発表にいったりするのですが、全くモスクワに関する描写が書かれません。それで1位を取りましたとか言われましても、フィクションだとしても深まらない。