夏の色のノスタルジア「真鶴みさき」シナリオの感想・レビュー

夏の色のノスタルジアは現実世界に居場所がないヒロインが迷い込んだ閉鎖空間ループモノ。
みさきシナリオでは父親からの虐待と兄への可能性がテーマとなる。
父親への恐れを乗り越え兄との対立を決意したとき、閉鎖空間から解放される。
主人公くんは閉鎖空間でみさきの生きる居場所となることを決意し現実でも支えていく。
少女救済の典型ですが、主人公くんも動いており、わりと面白かったです。

みさきシナリオ概要


  • 入水自殺未遂は何のため?
    • 真鶴みさきは黒髪ロングの剣道少女で凛とした振る舞い。幼少期において主人公くんはみさきに惹かれたのも、毅然とした態度に惚れたからでした。そんな主人公くんとみさきが知り合う契機となったのがみさき入水自殺未遂問題。母の変わりに家事をする主人公くんがスーパーからの帰り道に眼前にしたのは、みさきが川に入っていく姿。気になった主人公くんが見ていると、突如みさきは溺れて沈み始めます。考えるより先に行動していた主人公くんはみさきを救い出すことに成功したのでした。こうしてただのクラスメイトから徐々に関係を深めていくことになり、お互いに居場所のない二人と同様のメンバーで幼馴染みグループを結成したのでした。ではなぜ当時のみさきは入水自殺をはかったのでしょうか?それはみさきが父親から虐待を受けていたからでした。みさきにとっては自殺のつもりはなく穢された身体を水で清めようと考えていたのだとか。そのため、命を救ってくれた主人公くんに想いを寄せるようになっていったのです。


  • 父親との過去を乗り越えろ!
    • またみさきを虐待から救ってくれたのも主人公くんでした(間接的な意味で)。父親からの虐待の反動で気高く振る舞う様になったみさきは町内でおこった児童暴行事件を解決しようといきり立ちます。そしてちょうど幼馴染みグループの一員であった摩庭祥子が襲われているところに遭遇してしまうのです。主人公くんは吶喊した結果返り討ちに遭うのですが、それでも主人公くんの手は届いていたのです。犯人の顔には大きなひっかき傷が残ります。そしてみさきが家に帰り父親に会うと、父親の顔には傷跡の形跡が・・・。そうなんです、祥子を襲っていたのはみさきの父親。これにより、犯人がほぼ確定し、みさきの父親は出奔します。みさきが閉鎖空間に囚われていた理由の一つが、この父親問題と向き合うことでした。主人公くんによって肯定されたみさきは過去を吐露し受け入れます。そして虐待問題を乗り越える強さを示すため、鍛えた剣道で父親の幻影を打つのでした。


  • 現実での戦い
    • みさきが乗り越えるべき問題の二つ目は兄との問題です。みさきは自分が虐待されていたこと件について兄に対してわずかな希望を持っていました。その兄に希望を見出すのは全くもって期待できなかったのですが、観測してしまうと事象が確定されてしまうため、確かめることをしよとせず、後のばしにしていたのです。このためみさきは閉鎖空間から出られなかったのでした。そして、みさきにはもしかしたら兄にも虐待をされていたのではないかという危惧もありました。それは兄嫁と温泉に行った際、兄嫁の身体に虐待されたかのような痣があったからなのです。みさきはそれをスルーしてしまいましたが、確かめようと思いつつもズルズルと先延ばしにしてしまっていたのです。主人公くんの支えで現実を受け入れられるようになったみさきは、閉鎖空間から舞い戻ると、兄と対決することになります。虐待の件を詰問すると、兄は当初否定するのですが様々な証拠を突きつけると、それを認めて逆に襲いかかってきます。勢いに呑まれそうになるみさきですが、そこは主人公くんがすかさずフォロー!意志の力で恐怖を制し、見事兄を打ち払います。こうして過去を乗り越え現実を受け入れ居場所を作ったみさきは救済され、主人公くんと共に歩むことになったのでした。