雑録

花咲ワークスプリング!「花咲ののかシナリオ」の感想・レビュー

義妹関係性変化に逆『ナツユメナギサ』。
『ナツユメナギサ』では主人公くんがヒロインを甘やかして自立の道を阻んでいましたよね?
本作品では義妹がつながりを求めるために主人公くんを甘やかして堕落させたのです。
関係性を変化させるために主人公くんは自立を決意。曖昧にしていた進路を確定させます。
量産される妹モノは同工異曲の内容が多いですが自立への意志を扱っており工夫が見られました。

花咲ののかシナリオの概要


  • ダメ人間製造器
    • 花咲ののかは主人公くんの世話を焼きたがる義妹です。何故ののかはこんなにも主人公くんに尽くしたいのでしょうか?それはののかが「義兄との繋がり」を求めていたからです。ののかは幼少期に母親が再婚して花咲家にやってきたのですが、当初は義父にも主人公くん(義兄)にも馴染めませんでした。実父を亡くし、見知らぬ異性と暮らさねばならなかったののかは精神的不安定に陥ります。そんなののかに辛抱強く話しかけ優しく接してくれたのが主人公くんだったのです。それ以来主人公くんはののかの手を引き、良く面倒を見るようになったのです。寂しい時にはいつだって主人公くんがいてくれる。ののかは再婚後に大きな安心を得たのでした。こうして目覚めた「お兄ちゃんのこと好き好き大好き好き好き」な気持ちはブラコンをこじらせ、ついに恋心へと昇華したのです。ののかは主人公くんに尽くすことで絆を再確認するという作業を行うようになり、家政を切り盛りするようになります。ののかが何でもやってしまうので主人公くんは何もやることがなくなってしまい、堕落していったのですね。『ナツユメナギサ』のメインヒロインシナリオでは主人公くんが幼馴染みの世話を焼くことで自立への道を奪っていた二律背反がテーマとして描かれていましたが、逆に本作品ではイモウトヒロインにより主人公くんが自立できなかったのですね。


  • お兄ちゃんから男へ
    • 本作品では「過去に束縛されモラトリアムを享受する主人公くんが、愛する女のために実存を恢復させる」という構図が背景にあるわけです。勿論ののかシナリオも同様で、主人公くんは義妹との関係を進めるために進路を確定させます。義妹関係性変化モノの表現技法の一つとして「義兄妹関係の清算」がありますが、ののかシナリオではこれが発動するのです。主人公くんと義妹がいったんは別離することで、関係を清算し、その上で新たな関係を築くというパターン展開ですね。主人公くんはこれまで進路決定において、ののかを家に一人にしないということが念頭にありました。そのため進学先も家から通えるところを第一条件にしていたのです。ところが、ののかとフラグが構築されると、今度は逆にののかのお世話から自立するために、家を出ることに決めたのです。一人前になってののかを迎えに来ることを決意した主人公くん。ED後のエピローグではついにののかを迎えに来てハッピーエンドを迎えました。

進路ねぇ…
俺は特に将来こうしたいというものはなくて
できればずっと、グータラしたいだけで
…そういうわけにもいかないんだよなぁ…
今日、思い知った。
俺がどれだけののかに寄りかかってきたのか
ののかがどれだけ俺を想ってくれているか
この家で送っていた日常が……どれだけ掛け替えのないものだったかを…