花咲ワークスプリング!「不知火飛鳥√(グランドエンド)」の感想・レビュー

主人公くんが「現在の仲間との絆」によって「過去の絆」を乗り越える強さを得るという話。
全ヒロイン攻略後、After√に飛鳥の遺品を受け取る選択肢が追加されるので、チョイスしましょう。
死んでしまった兄貴分に囚われている主人公くんへ悪友アクターのパンチが炸裂!
過去ではなく、現在の、主人公くんに救済された仲間たちの絆を想起せよ!と
全体のシナリオを通しても言えるのですが、アクター良い奴やなぁと。
あと現実世界で、停滞したまま進めないプレイヤの場合、結構鬱ゲー気分も味わえること請け合い。

グランドエンドの概要


  • 飛鳥の遺品のキーホルダーで想い出トリガー発動
    • グランドエンドには祈から飛鳥の遺品を受け取ることで√に入れるのですが、この遺品がシナリオの重要な根幹となっています。一体、この遺品のキーホルダーにはどんないわくがあるのでしょうか?かつて主人公くんがアクターと一緒に何でもお助け団をやっていた頃、義兄弟の契りを交わす事件が起こります。それは秘密基地にしていた小屋の所有者が現れ大激怒されたことがきっかけでした。飛鳥は主人公くんとアクターを庇い、自分の責任だと土下座を決めます。大人がマジギレする様子に完全にびびっていた主人公くんとアクターですが、自分たちが尊敬していた飛鳥が土下座を決めたこともまた衝撃でした。この時、飛鳥が「こいつらは弟で兄貴の俺が全部悪い」と叫んだことにより、義兄弟の絆が生まれたのです。主人公くんはこの恩義に報いるため、飛鳥の趣味に合いそうな格好いいキーホルダーを探してプレゼント。飛鳥も喜び、主人公くんも満足したのですが、このキーホルダーが死因の一つになってしまったのです。
    • 飛鳥は玖音先輩のサプライズ誕生日パーティーをするためにバイトのシフトを増やしていたのですが、そこで偶々火災が発生。なんと飛鳥はいったんは助かったものの、主人公くんがプレゼントしたキーホルダーを取りに戻るため、火の海に飛び込んだということです。いつものように飛鳥のバイト先に遊びに行った主人公くんは火災を目撃し、飛鳥が死んだのは自分があげたキーホルダーのせいだとショックを受けます。火災現場で飛鳥を兄と叫び続ける主人公くん。以来、主人公くんは飛鳥の幻影に囚われ続けることになり、前に進めなくなってしまったのです。主人公くんは言います。「俺はとっくに、生きていなかったんだよ」と。



  • 「現在の絆」で「過去の絆」を乗り越えろ
    • 主人公くんが囚われ続ける飛鳥の幻影。主人公くんは高3になり、とうとう飛鳥の年齢を追い越してしまったことに戸惑いが隠せません。今までは惰性でも何とか生きてこられた主人公くんでしたが、飛鳥の年齢以降は進めなくなってしまったのです。こうして主人公くんは「桜の木の下で立ち止まる」ことになります。桜を見上げながら自問自答する主人公くんの煩悶は個人的にかなりグッときた場面でしたね。
    • 桜の木の下で立ち止まってしまった主人公くんはこれ以上前へは進めない。そこでちょうど、過去の飛鳥と同じ事態に陥ることになります。それは火事の中に遺品のキーホルダーが取り残されるという状況です。かつての飛鳥と同じように主人公くんもまた火事の中を突き進んでいきますが、このままでは飛鳥と同じように死んでしまいます。自暴自棄になる主人公くんのもとへアクター率いる攻略ヒロインズが勢揃い。俺はもうとっくに生きていなかったんだよ!と叫ぶ主人公くんに対し、アクターは応えます。お前の仲間は飛鳥だけなのか?お前が生きていたから、こんなに新しい仲間が出来たんじゃないのか!?と。こうして悪友の顔面パンチと救済した攻略ヒロインズからの赦しによって、主人公くんは過去の絆を現在の絆によって乗り越えることが出来たのでした。そして七年後。父親と飛鳥の意志を継ぎ、貿易商として活躍する主人公くんの姿が!!過去を乗り越えた現在の絆が未来への絆に繋がっていたという展開になり、ハッピーエンドを迎えます。

あり得ないことだって、わかっていても
俺は子供のように期待していたのに。
立ち止まったら、お前が天国から降りてきて。
悩んで、迷ってる俺を……叱ってくれるんじゃないかって。
そんなありえない奇跡を、俺は。
きっと、もう何年も何年も――。

もっと俺達は一緒にいて。
もっと笑ったり、起こったりしながら。
いっしょに大人になれるって。
そう、信じてた。
「信じてたのに……!俺、これからどうすりゃいいんだよ?お前がいなくなった後、色んなことがあったよ!」
ただ、怠惰に毎日を過ごして。
何事にも打ち込めずに。
「嬉しいことも、楽しいことも、数え切れないくらい思い出せるけど!」
不安な心を押し隠して。
寂しさも悲しさも押し殺して。
「でも、それでも……俺はっ……!」
胸の奥から絞り出すように、告げる。
「仲間は……ずっと一緒なんじゃなかったのかよっ……!」
風と桜の花びらに、俺の叫びはかき消される。
応えてくれる声は……どこからも聞こえない。
「くそ、どうして、どうして、俺は……」
――今、一人で生きているんだよ?

余談

  • バッドエンドになると先生√に入れるぞ!!
    • 特定のヒロインとフラグを立てない場合、先生エンドとなります。具体的には先生と飯を食いに行くことになり、居酒屋で教員の愚痴を聞かされるわけですね。