クロノクロック「安藤美咲シナリオ」の感想・レビュー

アホの子かわいい努力系挫折系少女のヴァイオリンコンクール物語。
努力はすれども報われない展開は大好きです。
弱音を吐かれたら無条件の肯定を与え、才能の前に砕け散ったら支えてあげましょう。
しかしまぁ最後はご都合主義展開に陥り、家の権力で無理矢理ハッピーエンド。
美咲が怪我により舞台で演奏を続けられなくなった所はタイムリープさせちゃ駄目かと。

美咲√概要


  • 例え報われないとしても努力をし続けられるか?
    • 安藤美咲はアホの子可愛い新興系企業のお嬢様。家の言い付けで様々な習い事をさせられているけれども親の期待に何とか応えたいと頑張る努力家でもあります。そんな中で唯一美咲が自らの意志で習い続けているのがヴァイオリン。忙しい合間を縫ってヴァイオリンの稽古に時間を割いているのです。美咲にとってヴァイオリンはアイデンティティの一部であり、心の支えでもあり、生きる理由でもあったのですね。しかしながら美咲は壁にぶち当たっていたのです。基礎的な技術は習得し、そこそこの演奏は出来るのですが、人を感動させる程の腕前かと言われればそうではなかったのです。そのため、美咲は自己同一性の危機にあり、もどかしさを抱えていたのです。努力してもナカナカ芽が出ず自分で自分を信じられなくなった時にこのまま続けててもいいのかなーという絶望にはとてもよく共感できる部分ですね。そんな弱っている状態の美咲を支えてあげればフラグは成立。弱音を吐く美咲に膝枕をしてあげて、無条件の肯定を与えてあげましょう。こうして美咲は好きだから演奏をしていた心を取り戻したのでした。



  • 演奏に想いを込めるということについて
    • 弱気になっても主人公くんからの肯定により立ち直った美咲だったのですが、直後に心を折るイベントが発生。それは才能の前に努力が砕け散る描写です。美咲は主人公くんのイモウトにヴァイオリンを披露しようとするのですが、イモウトが数年のブランクにも関わらず美咲を上回るほどの腕前を発揮するのです。イモウトに演奏を聞かせようと意気揚々としていた美咲は衝撃を受けます。ここでも精神崩壊しかける美咲を立て直すのは主人公くんの存在。「今までしてきた努力なんてしないも同然だったのかな?」と独りごちる美咲を支えてあげましょう。「先輩がいてくれるから、私は大丈夫だって信じられるの。ひとりじゃないから、妬まずにいられるのよ……たくさん練習するのも、苦しくても努力するのも、もっともっと上手に弾けるようになりたいからよ」と復活を果たします。
    • この辺までは結構面白かったですが、残念ながら後半は失速。美咲はヴァイオリンのコンクールの直前に怪我をしてしまいます。その怪我があったからこそ「演奏に想いを込めることはどんなことか」に気づけるのですが、終局部がご都合主義展開。コンクールに出場するも演奏を途中で断念せざるを得なくなった美咲を見かねた主人公くんはタイムリープ。それでも演奏するという美咲の決意を知った主人公くんは、イモウトにお願いして美咲が弾けなくなったら飛び入りで弾奏をするように頼みます。そしてコンクールの運営者と観客については家の名前を出し権力で抱き込みをはかりました。こうして最後まで演奏できる機会を得た美咲は、イモウトと2人で弾奏を成功させたのでした。