フランス二月革命の社会的・政治的原因及び革命の成果と限界


世界史において細かな年号暗記は推奨しないタイプです。
まぁ覚えるにこしたことはないですが年号だけ覚えても意味ないかと。
それよりもなぜ起こったのかとかどうして重要なのかとか世界史的意義は何かとかが大事。
それでも世界史を勉強していれば重要な年号は自然と覚えるもので1848年もその一つ。


そうね。受験世界史をやってる人間で1848年革命について語れない人はいないでしょ?
フランス二月革命が欧州各国に影響を与えてナショナリズム自由主義を昂揚させ、
ウィーン体制を崩壊させたという流れね。


ではフランス各二月革命はなぜ起こったのですか?
また二月革命は何をもたらし、どこまでが限界だったのでしょう?
今回は二月革命の社会的・政治的原因、革命の成果と限界についてのおはなしです。

社会的原因


「選挙権が欲しければ金持ちになることだ」(byギゾー)
七月王政有権者って全人口の何%ぐらいだったと思う?
それが聞いて驚きなのよ。
下院の選挙資格はもともと30歳以上かつ年額300フランの納税者。
それが25歳以上かつ年額200フラン納税者に引き下げられたのだけど・・・
これでも全人口の0.6%にしかあたらなかったのよ!


銀行家などの大ブルジョワジーによる議会の支配というものです。
そのような社会的状況に対して、国民はどのように反応したのでしょうか?
ちょうどこのころフランスにおいても産業革命が始まっていました。
中小資本家の人々や労働者が力をつけはじめ、金融資本家への不満が高まってきました。


これが社会的原因ね。
労働者階級が新しい勢力として台頭してきたことが見逃せないわ。

政治的原因


ブルジョワジーに対して中小資本家と労働者が立ち上がるわ。
彼らは改革宴会という方法をとるの。
政府は政治集会を弾圧したので、宴会(パーティー)という名目で集まったのね。
こうして選挙法改正運動が展開していくの。


改革宴会は各地に広まっていき、とうとうパリで全国大会が開かれます。
全国から運動家達が集まって、選挙法改正要求を政府につきつけたのです。
しかしこれに対してギゾーは要求を拒否してしまうのですね。


ギゾーの武力を伴う対応は、暴動を発生させる結果になったのね。
市街戦が繰り広げられた結果、ルイ=フィリップは退位し、臨時政府が作られたのよ。
選挙法改正問題が政治的原因ね。

革命の成果


革命の成果といえば何と言っても労働者階級の政治参加ね。
ルイ=ブランが臨時政府に参加したことは教員が口を酸っぱくして教えられるわね。
その結果、男子普通選挙制、言論・出版の自由、10時間労働制などが実現したわ。
さらに、労働者の保障のためにリュクサンブール委員会が設置されるのね。


そしてここで問題になってくるのが国立作業場なんですね。
失業者を救済するために作られたのですが・・・
なんと!仕事がなくても登録すれば日給が支払われた!


こうした事態が革命の限界に向かっていくのね・・・。

革命の限界


革命の限界もまた労働者階級にありました。
急進的な社会主義政策は中小資本家へ不安を与えたのですね。
そしてさらに農民もまた中小資本家サイドへつくことになります。
なぜなら農民にとって大事なのは土地です。
農民は社会主義化によって土地を喪失することを恐れたのです。


農民が中小資本家サイドに立ったことにより、1848年の選挙では社会主義勢力が惨敗するわ。
勝利をおさめたブルジョワ共和派は例の国立作業場を当然閉鎖するのだけど・・・。
パリの労働者は反発して六月暴動を起こすのね。
結局この蜂起はカヴェニヤック率いる政府軍に鎮圧されるのね。


こうして労働者階級は衰退し、産業資本家たちは保守化していきます。
革命は反動化に向かっていくのですね。
12月には大統領選挙が行われます。
有産市民層のラマルティーヌ、六月暴動鎮圧で活躍したカヴェニヤックが争うのですが・・・
ここにルイ=ナポレオンが登場!!
資本家と労働者の階級対立を巧みに利用し、保守的な農民の支持を取り付け当選します。
ルイ=ナポレオンは1851年クーデタを起こし、国民投票による圧倒的な賛成で第二帝政を始めます。


二月革命産業革命と資本主義の発展によりウィーン体制を崩壊させる要因になったわ。
だけど、史上初めて政権に参加した労働者階級が急進的な政策を実施してしまったのね。
これに脅威を抱いた産業資本家や農民は反発して革命は反動化。
結局は第二帝政の成立に繋がっていくのね。