雑録

フェアリーテイル・レクイエムの感想・レビュー

トラウマを抱えた少年少女を囲い込み性的欲求の捌け口とする施設から脱出するはなし。
施設の犠牲者となった思念体の少女に導かれて謎が解き明かされていく。
精神セカイ編は患者の思念を繋げたこれからあり得るであろう「可能性世界」が語られる。
精神世界で記憶の欠片を掴んだ主人公は現実世界で施設サイドと闘争していくことになる。
ちなみに「つみびと」はオデットあり、解答編でそれ以外を選ぶとバットエンドになる。

精神世界編


  • ゲルダ
    • お伽噺のヒロインになりきることで精神的トラウマを抑圧している少女たちの中で、唯一疑念を感じている少女がゲルダゲルダはヒロインになりきることを良しとせず施設の謎を暴いていこうとするが、それは諸刃の剣。彼女たちヒロインズは現実に耐えきれない負の遺産を背負ったからこそ、お伽噺のヒロインになりきっていたのだから。アリスを自殺させてしまったゲルダは、真相を知るためには自分がそのヒロインになりきることの必要性を知る。この後が超展開になり、主人公くんの過去が判明していない状態ではさっぱり・・・(現実セカイ編で主人公くんの人となりが描かれるとゲルダ√の中身が判明する)。突如主人公くんは粗暴な性格になり、最終的に凍り付いてしまう。グッドエンドでは凍り付いた主人公くんをゲルダが物語の展開を受けいれることで溶かす。バッドエンドではゲルダ雪の女王と化し、主人公くんを独占することに喜びを見出すのであった。



  • アリス√
    • 家族とドライブ中が事故にあい一人生き残ったトラウマを背負った少女のはなし。アリスが覚醒して本当のことを思い出してしまうと死亡。ちなみにゲルダ√においては、真実と向き合うことになり自殺してしまう。グッドエンドでは永遠にお伽噺世界に浸ることを選択する。そこでは不思議の国のアリスの原典のエピソードが触れられ、即興で作られた物語であることが指摘される。こうしてアリスは物語の結末をむしり取り、自分で即興の物語を書き足していくことで、精神の自我を保つのであった。



  • オデット&オディール√
    • 双子姉妹のイモウトはガチレズお姉ちゃん大好きっ子な話。妹のオディールはお伽噺症候群に罹患していない。オディールはお姉ちゃんのオデットを独占したいがために言い寄る男たちを排除していく。しかしその思いは報われることもなく、妹は姉から男を遠ざけ、わざと罵倒することで満足していた。しかし自分が愛した男が次々と妹に寝取られることに姉は耐えきれなくなっていく。オディールエンドでは主人公くんがオディールに愛を誓ってしまいオデットは死亡。主人公くんは心中すらせずオディールの肉慾に溺れる。オデットエンドではオディールの呪縛から逃れるものの、現実と向き合うことをせず、睡眠と情事に耽ることで辛いことから目を背けるのであった。



  • グレーテル√
    • お伽噺症候群に感染した子どもたちが入院する施設の謎についてがテーマ。金満家たちから施設維持のための資本金を引き出すために、患者達を性的実験動物として提供する環境であることが判明する。他のルートでヒロイン達が慰みの物とされてしまう背景がこれなのである。グレーテルは幼児性愛者に狙われることになり、主人公くんはグレーテルを救うためヘンゼルになることを決意する。金満家達からヘンゼルとグレーテルの行動に沿うように誘導されるうち、近親相姦を行うか否かの賭の対象にさせられる。しかしながらここで幼児性愛者が暴走し、グレーテルを強姦しようと先走る。幼児性愛者は焼き殺されたが、主人公くんとグレーテルは媚薬を盛られ性行為に突入。男女の関係になった二人は『ヘンゼルとグレーテル』を演じられなくなってしまったが、新たに『幸せの青い鳥』のチルチルとミチルを演じることになり、童話の世界へ埋没するのであった。



  • ラプンツェル
    • 物語症候群を隔離する施設の院長の娘。情婦として扱われ性欲の捌け口とされる。ラプンツェル自身もまた、自分の肉体を提供することで罪の意識を逃れようとしていた。ラプンツェルはグレーテルから母親として慕われていたが、そのグレーテルが強姦されるところを見せつけられ精神崩壊。封印した過去の記憶がフラッシュバックしてしまう。そんなラプンツェルに対し、現実を突きつけるとバッドエンド。ラプンツェルは嬰児を略奪し殺してしまっていたことが判明する。ラプンツェルと幸せになるためには、現実から目をそらし、物語世界に埋没することが必要だ。懐胎したまま一向に出産する傾向のないラプンツェル、書き終わらない絵画、編み終わらない編み物などが象徴する永遠の世界を繰り返すのであった。

現実世界編


  • 主人公
    • 双子の兄に対するコンプレックスがテーマ。天才肌な兄に比べて凡庸な主人公くん。成長とともに兄は暴君となっていくが両親は天才な兄がそのような人物だと認めたくなかった。故に弟である主人公くんに全ての罪をなすりつけ、兄を持て囃すようになった。妹が生まれると双子の兄の悪意は妹にも向くようになり、主人公くんはそれを阻止することを生きる目的としていく。だがそんなある日、ピクニックに出かけたときのこと、妹のお守りを命ぜられた主人公くんであったが、兄の悪行を宥めるために妹から目を話した瞬間、妹は転落して意識不明の重体となってしまった。妹を守るという自分の存在理由を自らが打ち砕いてしまったのである。こうして主人公くんは罪の意識を苛まされるようになり、疎んじた両親により施設に入れられたのであった。



  • ゲルダ
    • 主人公くんの正妻幼馴染み。主人公くんが施設に収容されてしまったことを聞きつけ抗議をしに来たところ、収容施設に捕まってしまった。そのためゲルダだけその他ヒロインよりも洗脳が薄い。物語におけるゲルダの機能は主人公くんの諦念を打ち砕くこと。主人公くんは現実に帰った所でしょうがないという諦めの気持ちを持っているのだが、へたれかける主人公くんを叱咤激励し現実へ結びつける舫となる。妹を除くとゲルダこそ現実世界における主人公くんの唯一の理解者だったのである。主人公くんが双子の兄に自殺ごっこを強要されていた時にも救いとなり、家庭に苦しむ主人公くんを受け入れてくれた。またゲルダも「しっかり者」でいなければならない鬱屈を主人公くんに愚痴ることで平穏を保っていたのだ。このゲルダの活躍により主人公くんは現実と戦う決意をし、諦念に打ち克つのであった。



  • アリス
    • 可能性世界では現実と向き合うと死亡してしまう。アリスの過去とはドライブにおける事故死を自分の責任と思い込んでいること。そんなアリスに対しては、アリスの家族がアリスを犯人として糾弾するだろうかと?類推させてあげれば罪の意識を乗り越えることが出来る。シナリオの進行役としてはアリスは「生き霊」を垣間見ることができる特性を持っており、お伽噺と現実を繋ぐ梯子役を担うことになる。主人公くんが諦念に束縛された際にはイモウトの生き霊と会話を行うことで現実と向き合わせる強さを与えることになる。



  • グレーテル
    • 兄を殺したと洗脳された少女。父親の再婚により継母と義兄ができたが、継母は悪女であった。借金を抱え込み浮気を繰り返しグレーテルの父親を欺き続けたのである。偶然知ったグレーテルがこのことを糾弾すると、父親も義兄も継母を信じたため、グレーテルは窮地にたたされる。傷心なグレーテルであったが、義兄もまた母が浮気をしている場面を目撃し、問いただそうとした際に事故に巻き込まれる。義兄は意識不明となったが、両親に罪をなすりつけられ、兄を突き飛ばして殺したとすり込まれてしまうのであった。実際グレーテルがしたことは継母を突き飛ばそうとしただけであり、力不足もあって突き飛ばせすらできず、逆にビンタを食らっている。


  • ラプンツェル
    • 娼婦の娘。母が自宅に連れ込んだ客がラプンツェルに興味を示し始めたことにより疎んじられることになる。その結果、施設の院長の愛人として売られ、囲われることになる。愛人はラプンツェルの他にもおり、その愛人Aが懐胎したのだが、出産の願いは叶わなかった。そのこともあり愛人Aは嬰児を誘拐してしまうのだが、その際にラプンツェルに協力を求めたのであった。結局すぐばれたのだが、ラプンツェルは赤子のことが忘れられず絵に描き残していた。だが事件の罪をなすりつけられそうになった時、冤罪の証拠とされてしまうことを恐れ、ラプンツェルは赤子を描いた絵画を破り捨てることになる。この絵画を破り捨てたことが赤ん坊を殺したという罪の意識にすげかえられて苦悩することになったのである。



  • オデット&オディール
    • つみびとはオデット。双子姉妹のオディールはオデットのことをガチシスコンであった。ゆえにオデットが男を作ると次から次に寝取ってしまい姉を独占したかった。その度にオデットは自分が愛した男がイモウトに寝取られ悲しみに暮れることになる。ある時ついにオデットに限界が訪れ、自分を裏切りオディールになびいた男を殺してしまうのであった。オディールはそんなオデットの罪を自分が1人で被ろうとし、施設の秘密を探っていた。オディールは主人公くんと同様に現実に戻ることを躊躇する勢であったが、現実を受け入れたオデットを見て意識を取り戻す。



  • ドロシー
    • 施設の被害者であり死霊。院長の息子であるイケノさんのおもいびと。イケノさんは施設では異端であり、真っ正面から医療に取り組む人物であった。しかし治療の際ドロシーを現実と戦わせたため殺してしまう結果になった。それ以来イケノさんはお伽噺症候群を治療するのではなく、その中に患者を埋没させることにより、現実世界から目を背けさせようとするようになった。しかしイケノさんは施設が実験場かつ娼館であることを知らされておらず、患者の実態を知ったことにより打ちひしがれる結果になる。死んだドロシーに囚われながらドロシーとの記憶を封じようとするイケノさんに対し、主人公くんたちは必死に呼びかける。結果、イケノさんはドロシーとの辛い記憶を受け入れ、具現化したドロシーの死霊とともに施設の後始末を担うのであった。

バッドエンド回収編


  • ピーターパンエンド
    • 闘争ることを放棄し、洗脳を受け入れるとピーターパンエンドとなる。ピーターパンはある意味主人公くんにとって忌避すべき存在。なぜならピーターパンは主人公くんが受け入れられない双子の兄の存在そのものだから。故にピーターパンとなった主人公くんの姿を見て、主人公くんを元に戻そうとしていたゲルダは絶望する。そしてゲルダは自分の存在は主人公くんに寄り添うことだと思い直し、彼を救済するべく、自分を捨ててウェンディの役割を全うすることを決意するのであった。ピーターとなった主人公くんはオトナの世界である施設をぶっ壊しネバーランドを取り戻すため立ち上がる。当初はごっこ遊びだと思い込んでいたイケノさんを殺害すると、腐敗した施設を見切ろうとしていたオトナたちは次々と施設から出て行くのであった。こうして施設をネバーランドと見なしたピーターたちは子どもたちの国を謳歌するのであった。