月に寄りそう乙女の作法「花之宮瑞穂」シナリオの感想・レビュー

男嫌いの百合系少女に女装がバレてさぁ大変、というおはなし。
ここでもルナ様の存在は圧倒的で、ウジウジする朝日を叱咤し、服飾への情熱を呼び覚まさす。
瑞穂もまた男女という性別ではなく朝日という個人が好きだと言うことに思い至る。
クリスマスコンテストにおいて朝日の作った衣装を身に纏い和解が成立。
瑞穂は男嫌い故に諦めていた日舞の後継者となる道をもう一度目指すのであった。

花之宮瑞穂のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • アイドル好きな男嫌いの百合系大和撫子
    • 花之宮瑞穂は京都出身の旧爵位を持つ日舞の家元。幼少の頃、同級生の悪ガキ男子たちにからかいを受けていたためすっかり男嫌いに育ってしまった。そんな瑞穂は高貴な育ちもあってか、心を許せる友人が多いとは言えず、友情を求めるようになっていく。上京してすぐ知り合いも少ない中で出会ったのが、遊星が女装化した朝日。瑞穂は朝日に一目惚れし、さらに交流を重ねることで友情の念を高めていく。瑞穂はその見かけに反してジャパニーズポップカルチャーに明るく、朝日をアイドルにしようと画策していた。どうして瑞穂はアイドルに興味があるのだろうか?それは瑞穂が日舞の跡取り候補であったことに起因している。瑞穂の家系はもともと呉服を扱う商人の家系であり、血統を求めて花之宮家と婚姻を結んだのだが、花之宮家は日舞を家業としていたのである。瑞穂もまた日舞を仕込まれて育ち本人もやる気マンマンだったのだが、どうしても家の継承のためには子種を残さねばならず、男嫌いの瑞穂にとっては受け居られないものであったのだ。こうして芸事に強烈な未練を残していたが故に、芸能界に興味関心があり、アイドルに嵌っていたのである。朝日をさらに可愛くしたい瑞穂は、ポージングを研究したり化粧を教えたりと好感度を罪化させていく。遊星は男嫌いの瑞穂の為に、自分の淡い恋心を封印して、卒業するまでは小倉朝日として過ごすことを誓うのであった。ちなみに他√で男バレすると襲いかかってくる瑞穂の従者の北斗さんは実は実家から男嫌いを克服させて連れ帰るように密命を帯びており、遊星に協力してくれることになる。



  • 女装バレから和解までの道のり
    • 「つりおつ」で遊星の前に立ち塞がるのが圧倒的な兄;衣遠の存在。「おとりろ」で判明することだが、衣遠は生前の遊星の母に会っており、その儚さが脳裏に焼き付けられているのである。そのため母と瓜二つの遊星の姿は衣遠の態度を硬化させるのだ。瑞穂√もまた然りであり、衣遠は遊星にちょっかいを仕掛けてくる。遊星が女装化を解き妹のりそなにイモウトサービスしている場面を、瑞穂の眼前に叩き付けるのである。男嫌いの瑞穂は朝日が遊星だったことに衝撃を受けるのであった。瑞穂に正体を知られた遊星は、屋敷においてルナ様一同に謝罪タイム。ルナ様一同もショックであったのだが、これまでどんなに朝日が屋敷のために貢献してきたかが評価規準であり、割と許される。むしろウジウジする遊星に対してルナ様は叱咤激励して応援までしてくれるのだ。女装をしてまで夢を叶えたかったんだからお前の情熱はそんなものかと(意訳)。ルナ様一同に励まされた遊星は自分の誠意を見せるため、クリスマスコンテストにおいて瑞穂の衣装を作ることにする。瑞穂もまた遊星の女装化を受け入れていたのであるが、瑞穂が許せなかったのは遊星が街で他の女(※りそな)と手を繋いでデートしていたことだった。故に瑞穂は遊星に直接指示をしないものの、衣装を良い物にするための密書を使用人に届けさせていく。そしてショーの当日、瑞穂は京都に強制送還されていたものの、何とか抜け出し、遊星の衣装を身に纏ってステージを歩く。その姿は審査委員の心を打ち、最優秀賞を獲得するのであった。余談だが、ルナ様√でもユーシェ√でも衣遠に承認されるのに、瑞穂ルートではスルーされて残念である。ショーの後、二人はお互いの想いを伝えあい、フラグ成立。瑞穂の実家問題も、遊星が日舞女形として活躍することが求められるなどの優遇っぷりでエンドを迎える。