働くオトナの恋愛事情(体験版)の感想・レビュー

のっけから「飲みにけーション」で上司から「ありがたい訓辞」を垂れられる説教ゲー。
「人生は楽しい」から「楽しまなければいけない」という価値観を、生活が安定したプチブルに押しつけられて辛い。
典型的な日本式経営方式で飼育された豚め。お前らは同じ会社で口を開けてりゃ年齢と共に昇給し年金がもらえるんだろ?
こちとら「生き残るだけじゃ駄目でも生き残るのに精一杯」だし、「何かを残したくても何も残せない」んだ!!!
だから混迷の世の中において身を焼かれ凍土に這っても汚泥を啜り必死になって生きてらぁ。
失われた30年に生きてきた、時代閉塞的な私たちは、人生をやり過ごす方法を身に着けている。
90年代以前の価値観を至上とするのは勝手だが、それの押しつけはやめれ、ホントに。

世代間の価値観の相違について

  • 90年代以前と以後の価値観
    • かつてたまたまコンビニで適当な漫画雑誌を手にしたところ、ぬーべーのスピンオフ作品が掲載されていた。そのときの話のテーマが世代間格差であり、90年代以前と以後の価値観の違いが浮き彫りにされていた。90年代以前の価値観を持つものは日本が順調に発展してきた時代であり、無意識的に社会が進歩するものだと思っている。そのため、カネを使うことに生き甲斐を感じたり、酒・女・賭博などの大衆娯楽を好み、その世俗に通じることが「世間を知る」ことであり「粋」であるとされるのだ。一方で、90年代後の日本を生きてきた世代は失われた30年を耐え抜いてきた人間達であり、世界は進歩していくだけのものではないと分かっている。社会は成熟しており既存のツールを用いて辛い人生をそれなりにやり過ごすことで満足しているのだ。


  • 典型的な日本的経営から新自由主義の時代へ
    • この90年代以前/以後の価値観の相違は「経済的に成長し続けてきた世代」と「成長は終わり既に成熟した世代」で区分することもできるのだが、典型的な日本的経営や雇用慣行の終焉も指摘できる。90年代以前の世代は新卒から正社員になり一生同じ会社で過ごし年齢を重ねるとともに昇給していき定年を迎えれば年金がもらえることが約束されていた。これが企業への忠誠心を生み日本の経済成長を支えてきたと説明されていた。しかし90年代を境に「新自由主義経済」により典型的な日本的経営は転換が図られ、一部の特権的な経済エリート、高度な専門技術を持つインテリゲンツィア、そして大多数の大衆労働者に分化した。個人の努力や頑張りでは社会は変えられず、また、90年代以前の価値観が是とされる社会的雰囲気の中で、ツライ思いを体験してきたのである。


  • 価値観の押しつけはツライものがあります
    • 上司のパワハラなんて日常茶飯事でありイチイチ取り合っても無駄。多かれ少なかれ上下関係があるのだからパワハラがない職場なんてないだろう。上司に煽られて感情を乱高下させてもエネルギーを損するだけ。反省する態度を見せながら適当にやり過ごすしてフラットに感情を保って仕事しろ。切り替えて感情を持ち直すのは難しくてもそれを引き摺ったままでいいから前に進んで仕事しろ。細く長くでかまわない。気が乗らないなら乗らないなりに低空飛行で仕事しろ。気分がダウナー気味の時のモチベーションの保ち方を学べ。主人公くんは部長からパワハラを受けるのだが、それを見た課長から帰りに飲み屋に誘われ有り難い訓辞を頂く。それはそれで結構であり、異なる価値観に触れることは才能の刺激にもつながるのだが、ドヤ顔で訓辞を垂れられ価値観を押しつけられるのはノーサンキューだ。