罪ノ光ランデヴー「水園円来」シナリオの感想・レビュー

自分の意志が無く言いなり状態であった少女を覚醒させ村の将来へ目線を向けさせるはなし。
近代的自我を獲得した円来が逆に村の発展のために主体的に犠牲になる決意をする所は良かったが……
主人公くんが亡父の遺品から村長を糾弾しただけで許嫁問題が解決するのはご都合主義的展開かも。
円来が折角自分の意志を示したのに、その考えを改めるまでの流れもあっさりしすぎだと感じられます。
過疎化が進む村のために円来が政略結婚をするのなら、村を発展させる新たな産業復興を考えまーす。
その手段は保育園創設&孤児院の復興でーす☆ → 二人で村のために頑張るよエンド。

水園円来のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 近代的自我の確立編
    • 水園円来は村長の娘。村落共同体の因習に絡み取られ、自分の意志というものが存在せず、ただひたすら周囲と調和するだけの日々を送っていました。そんな円来√の題材として用意されている装置は許婚問題です。円来は村のために犠牲となることに甘んじ、政略結婚をすることに盲目的に従っていました。しかし政略結婚に納得しているわけではないらしく、相手の男性が会いに来ても逃げ回る状態だったのです。円来が自分の意志で政略結婚を受け入れていればいいのですが、現状はただ諦観し考えることを放棄しているだけだったのです。こんなことは良くないと周囲は立ち上がります。最初に特攻をしかけたのはレズ少女セリカであり円来に想いを告白することで恋愛感情を促す役割を果たします。これを受けて円来は恋愛に関する意識が芽生え主人公くんと限定期間偽装恋人タイムを過ごすことになるのです→シナリオパターン「第三者の出現による恋愛感情の想起」が発動!円来は主人公くんに対する恋愛感情を自覚したぞ!!という展開になります。こうしてただ村落共同体に依拠するだけであった少女が恋愛感情を通して近代的自我を確立したのでした。



  • 過疎化が進行する村落開発編
    • 近代的自我を確立した円来ちゃんでしたが、そこに過疎に苦しむ村の現状が襲いかかってきます。主人公くんたちの村はろくな産業もなく人口流出に苦しみ周辺地域への併合が提唱されていたのです。円来の政略結婚はこの併合を帳消しにするためのものであり、新たな産業への融資をも約束していたのでした。村長は主人公くんの父親が成し遂げられなかった事業に固執しており、孤児院経営による人口増加を目指していたのです。近代的自我に目覚めた円来ちゃんはこの状況を受けて、村のために自らの主体的な意志で犠牲になることを選び取ります。
    • 主人公くんから離れていく円来ちゃんを前にして、どのようにすれば考えを改めてもらえるのでしょうか?ここで主人公くんは自分の父親の事業を振り返ることになります。遺品を探す中で孤児院の経営難が明らかになり、この当時村長が主人公くんの父親に何も支援できなかったことが負い目になっていたことが判明します。だからこそ円来の政略結婚を成功させ孤児院を復興させることに固執していたのですね。これにより主人公くんは村の将来のために円来が犠牲になるのなら、新しく村の将来性を示すことが必要だと思いつくのでした。
    • そんなわけで唐突に保育園創設を目指します。主人公くんの将来を見据えた行動は円来の心を打ちます。ここら辺の流れがかなり急展開。「将来の村のため」を目標に掲げるのなら、その手段は政略結婚でなくてもよく、だったら主人公くんを選ぶわ!と円来は思想を転向させるのです。こうして二人で困難に立ち向かう決意をし、政略結婚もあっさりと解消されました。エンディング後には見事保育園を創設した二人の姿が!!保育園により共働きの家庭が働きやすくなり、都市への人口流出を防げるねというような感じでハッピーエンドを迎えます。

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