雑録

ノラと皇女と野良猫ハート「明日原ユウキ」シナリオの感想・レビュー

社会不適合者たちの社会的連帯に関する話。私はこういう話に弱くてじんわりきてしまうんだなぁ。
貧困母子家庭で登校拒否になり不良に転落した後、這い上がって更生しても、黒歴史がにじりよる。
かつての不良集団が主人公くんをリンチし、バイト先の猫喫茶を潰し猫を虐殺するのである。
そんな明日原さんを救うのは、社会不適合者たちの仲間パワーによる連帯。
苦しいとき辛いときに助け合って乗り越えた仲間ってのはいいもんだなぁエンドを迎えます。
いやホントに「社会不適合者連帯」をテーマにした作品にはホイホイ釣られてしまいますね。

明日原ユウキ√概要


  • 学歴と階層編
    • 明日原ユウキはグレて不良と化した中卒ビッチ系少女。上京したものの3週間で出戻り、地元でプラプラしていたところを主人公くんたちに保護されます。ガッコー行けと言う主人公くんをウッゼーと思う明日原さん。しかし、粘り強く主人公くん家の個人塾に招いてくれるしつこさにほだされていくのでした。こうして主人公くんたちの応援のもと高校受験をし合格を果たすのです。明日原さんは小学校時代に早々に勉強についていけなくなり九九もおぼつかなかったため、この成功体験は何とも尊いものとなったのです。
    • 明日原さんの脳裏に刻まれた主人公くんママの言葉は名言→「勉強が出来ないんじゃなくて、やる機会がなかっただけでしょ」。いや、これは実に現代日本の学歴と階層の問題を象徴していると思うんですよ。勉強というものは(ある程度までは)金と時間をかけてやれば成績は伸びます。経済的に裕福な家庭の方が子どもに対して金と時間をかけてやれるので、学歴が高くなり、裕福な家庭が支配層を再生産するというわけですね。中国史で例えれば科挙。能力が高い人間を人材登用する狙いがあったものの、莫大な受験勉強をさせることができるのは結局のところ富裕層だけであるというジレンマが生まれたというわけです。しかしこの状況が続くと、潜在的に能力のある人材が、結局は育たずに終わることになり、社会全体は徐々に衰退と停滞に向かうことになるのです。家庭環境がその人の能力を決めてしまっていいものだろうか。いや決していいものではない(反語)。ひとたび社会不適合者となったらもうべんきょーできねぇのか!?違うだろ?良い家庭環境にいるやつが良い人格になるなんてなんとも唯物論的じゃねーか。この唯物主義者め。立ち上がれ。勉強しようと思った時に勉強すりゃーいいんだよ。学問への道はいつでも開かれているのだ!!
    • 主人公くんのママンがやってた個人塾には結構感化されるところがありました。教員の中には授業準備や教材研究をせずスッゲーツマンネー授業する人たちがいます。こういう教員たちは本当に生徒に理解させようと授業をしているのかしらん!?生活の糧のためだけに教室に入っているのではなくって?と思ってしまうほどです。学校は勉強だけするところではないといいますが、カリキュラムの大半は授業です。授業がツマラナく落ちこぼれてしまえばこれほど苦痛な場所というものはないでしょう(※部活は学習指導要領における教育課程には入っていない、ホントウ)。だから日々の授業こそが大事で、分かりやすく面白く生徒の価値観を広げてやれるような授業ができれば、間接的にではあれ、社会不適合者たちを救済できるのではないでしょうかね?そう思って私は教員になった理由の一つを思い起こしたのでした。改めて日々の教材研究と授業準備を頑張ろうと思った次第です。やっぱ分かりやすくて面白くて価値観が広がるような授業を目指さないとね。



  • フラグ構築編
    • 主人公くんは冥界の女王に眷属にされ、猫化する異能を保持していましたが、明日原さんのバイト先の猫喫茶が猫不足であるとして猫労働力として働くことになります。ここで主人公くんは明日原さんが捨てた猫の話を知ることになるのです。店には古株のマダム猫が存在していましたが、なんと高年齢ながら出産をまじかにしていたのです。このマダム猫との交流の中で、主人公くんはマダム猫に亡母を重ねたり、実はマダム猫を明日原さんが捨てていたことなどを知ったりします。「明日原さんは自分が大切にしているものを第三者の圧力によって奪われる経験を重ねている」という伏線が幾重にも張られていましたが、このマダム猫もかつての不良グループ集団によって虐待されたので、これ以上自分とかかわると不幸になると思って、捨てたのでした。マダム猫は明日原さんの優しさを説き、護ってやれと託されます。こうして主人公くんは明日原さんが好感度マックスであることを知っていたこともあり、告白するのですが、あっさりと拒絶されます。そうなんです、明日原さんは自分に大切なものができることを怖がっており、主人公くんをもまた拒否してしまうのでした。
    • 拒絶された主人公くんは何度もアタックを試みるのですが、明日原さんが他の男とイチャコラしているのを垣間見、また相手の男性もいい人だと知り、明日原さんが幸せならそれでいいと身を引こうとするのです。しかしここで突然繁華街でヤンキーとの喧嘩が発生。主人公くんは男性と明日原さんを逃がすために闘争し、停学をくらってしまうのでした。自分が大切にしているものが傷つけられてしまうという経験をまたもやするわけですが、主人公くんの熱意はようやっと心を打ち、フラグが成立するのでした。フラグ構築後の日常パートで運動会に来られない母親に代わって弁当を作って応援に行くところは思わずほっこりしてしまう展開となっております。


  • 社会不適合者連帯編
    • 主人公くんと恋仲になりよろしくやっていた明日原さんでしたが、「自分の大切にしているものが傷つけられる」という呪いからは逃れられません。不良時代に付き合っていたヤンキーグループにちょっかいを出され続けるのです。そしてとうとうバイト先の猫喫茶が襲撃にあいます。なんと店は滅茶苦茶にされ、猫たちもひどい虐待を受けるのでした。猫たちはかろうじて一命をとりとめたのですが、主人公くんは猫化していたときに絆をはぐくんだ猫たちの悲惨な姿を見てプッツンし、さらに大切な明日原さんが馬鹿にされて黙ってられるかとカチコミに行きます。オサナナジミーズたちを引き連れて大学へと殴り込みです。学校で教員から呼び出しを受けた明日原さんは、クラスメイトたちからしらばっくれろと言われるのですが、沸々と熱い血潮が滾ってきます。賢い対応としては、級友のいう通り、しらばっくれるのが正解だったのでしょう。しかし明日原さんは教員に噛み付き、自分の仲間たちを擁護するため、戦ってしまうのでした。その後明日原さんは自己嫌悪に陥り、自分のために仲間たちが犠牲になり、さらに自分がお利口な対応を取れなかったことで頭がグルグルしてしまいます。そんな明日原さんを主人公くん一派は暖かく迎えてあげるのでした。

俺たちはどっちも不器用だから。
これから先、足踏みしたり――
少し、歩みが人より遅れたりするかもしれないけれど
たくさんの人に支えられて、しっかりと前を見て、進んでいく