雑録

ノラと皇女と野良猫ハート「黒木未知」シナリオの感想・レビュー

母親に束縛されたハイパー面倒くさい少女を救済するはなし。黒木さんの面倒くささは折り紙付き。
シャチ√が短かったのに対し、黒木√は冗長であり精神にも重く圧し掛かりなかなか進みません。
最近「面倒くさい系」ヒロインのキャラクター表現がよく見られるようになったが屈指の面倒くささを誇る。
とてつもなく面倒くさい黒木さんを最後まで見捨てずに付き合ってあげる主人公くんは本当に尊敬する。
また最後まで「親への無条件信頼」が説かれまくっており、粘り強く読んでいく必要がある。心が折れそうだ。
結局は、黒木母が結婚詐欺にあい、全財産を巻き上げられ黒木さんが強姦されそうな所を救出してエンド。
黒木母が主人公くんの家を嫌うのは、主人公くんママが子ども達に好かれていたのを嫉妬したからであった。

黒木未知のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • ハイパー面倒くさい少女
    • 黒木未知は母親に強く束縛されて育った生真面目な風紀委員。黒木さんシナリオは、このヒロインの大変面倒くさいキャラクター表現を、プレイヤーが受け入れられるかどうかにかかっています。主人公くんにアレコレと注文を付け、自分の理想像を押し付けながらも、自分の弱いところ・都合の悪いところは無条件に肯定してくれという無茶ぶりをされます。特記しておきたいのは、黒木さんが平然と主人公くんを裏切りまくるところです。学校で盗難事件が発生したイベントでのこと。犯人は野良犬であり、主人公くんは見事盗難品を発見してくるのですが・・・。なんとそれを信じてもらえず犯人は盗難品を持ってきた主人公くんであるとの疑いがかかってしまうのです。これは明日原さん√との対比となっていて、明日原さんが主人公くんのために教員に食ってかかったのに対し、黒木さんの対応は冷ややかで平然と自分の保身に専念します。野良犬が事件の原因であることを直接見て知っているにも関わらず、主人公くんをかばおうともせず、無関係を装うのでした。黒木さんの背景には厳しすぎる母親の束縛があるとはいえ、これはちょっと酷すぎないかと思いました。これは一例にすぎず、黒木さん√ではヒロインの自分可愛さっぷりが際立っており、ライターさんはよくもまぁこのようなキャラクター造詣を書けるものだと素直に感心しました。結構プレイしていて辛いものがあります。主人公くんに自分の誕生日を知っていることを当然のように要求しながら、自分は主人公くんの誕生日を平然と間違え2.26事件で誤魔化すところとか、コイツはヤヴェぜと思いました。
    • こんな黒木さんを最後まで主人公くんが見捨てないのは、幼き頃の悔恨と猫化した時に命を救ってもらった恩情によるものでした。幼少期、黒木さんが主人公くんの家に近づくことを禁止され、母親に連れ帰られた際、主人公くんはそれをただ黙って受け入れ、手を差し伸べることができなかったのです。このことが頭をよぎるため、何度裏切られても主人公くんは黒木さんを無条件肯定せざるを得ないのでした。また主人公くんは、猫化したときに一回死にそうになったところを黒木さんに救われているため、黒木さんの危機には必ず立ち上がるのです。

  • 黒木母との関係性改善
    • 黒木さんシナリオでは、黒木さんの面倒くささに加えて、黒木さんの母親に承認されることがテーマの一つになっています。しかし黒木母が主人公くんを嫌っているのは、主人公くんそのものにあるのではないため、どんなに努力しても解決できないという矛盾が最終局面で暴露されるのです。黒木母はもうすでに亡き主人公くんの母に対して嫉妬していたのです。主人公くんの母親が経営していた個人塾は、共働きや片親、不登校学習障害となった児童たちの受け皿となっていました。そこにはたくさんの子供たちが集まり楽しそうに過ごしていたのです。黒木母は富裕階層であったもののシングルマザーであり、娘との関係もうまくいっていませんでした。そんな娘が自分の前とはうって違い何とも楽しそうに主人公くん母に懐いているではありませんか!?そして主人公くんの母に娘との接し方についてアドバイスをもらってしまうのです。こうして黒木母は怒り狂うことになり、その怨念は消えることなく主人公くんの家に向かうのでした。主人公くんの家がどんなに悪いかを奥様ネットワークを使って吹聴しまくる黒木母とそれを見ても何もできない黒木さんの様子をご堪能ください。
    • 結局、黒木母との関係改善をもたらすのは突発的に起こった結婚詐欺事件を主人公くんが解決したからでした。主人公くんの真摯な努力や誠実さが実ったりはしません。主人公くんが身だしなみに気を付け礼儀作法に乗っ取り誕生日を祝う手作りケーキを差し出したのに、グシャっと投げ捨てる黒木ママンの描写は戦慄しますね。そんな黒木母は簡単に詐欺師に引っかかります。母親の都合に左右される黒木さんが描かれていきますが、ここで親への無条件信頼が語られ、「子供は親を選べず、親の愛情の形も千差万別であるため、親を受け入れるところから始めなければならない」という思想が展開されていきます。しかしその思想すら叶うことなく、母親が再婚するという詐欺師によって黒木さんは強姦されかけてしまうのです。これを救う主人公くんの巻き。主人公くんの活躍により黒木家の財産は守られ、黒木さんも強姦されずにすみました。ここへきて初めて黒木さんの母親は自分の過ちを認め、主人公くんにではなく、主人公くんの母と家に怨念を抱いていたことを告白するのです。最後の部分で黒木さんが死にかけた主人公くんを救うため冥界でマジカル大作戦とかが数クリックほど挿入されています。故に黒木さんも主人公くんのために頑張ってんじゃんと言えなくもないのですが、それすら数クリックで終わるので何ともはや。黒木さんの面倒くささが凄まじく際立つシナリオに仕上がっています。