IBDP「歴史」とはどのようなものか?

出典:http://www.ibo.org/globalassets/publications/history-guide-2017-jp.pdf

IBDPの特徴

  • ディプロマプログラムの履修方法
    • 通常3科目(最大4科目)→上級 レベル(HL)
    • その他を→標準レベル(SL)
  • 批判的な思考と分析を重視
  • 5つの「学習の方法」
    • 思考スキル
    • 社会性スキル
    • コミュニケーションスキル
    • 自己管理スキル
    • リサーチスキル
  • 6つの「指導の方法」
    • 探究を基盤とした指導
    • 概念に重点を置く指導
    • 文脈化された指導
    • コラボレーション協働に基づく指導
    • 生徒の多様性に応じてディファレンシエーション(差別化)した指導
    • 評価を取り入れた指導

IBDP「歴史」の学習

  • 歴史の学習
    • 歴史は、「過去との対話」という興味深いテーマ
    • 「変化」、「原因」、「重要性」といった主要概念に重点を置く
    • ディプロマプログラム(DP)の「歴史」は、多様な視点と比較を重視したアプローチに基づく世界史のコース。
    • 政治、経済、社会、文化の諸相の歴史を学習し、学問としての体系と柔軟さの両方を兼ね備えてる。
    • 史実を学習するだけでなく、歴史的背景を踏まえて物事を考え、歴史学的な研究のスキルを身につけるよう生徒に奨励することを、このコースでは重視しています。
    • 特に、批判的思考のスキルを養い、歴史に複数の解釈があることを理解することが重要です。この結果、高度で能動的な「過去の批判的研究」が行われます。
  • 「ものの見方」
    • コース全体にわたって織り込まれている主要概念のひとつが「ものの見方」であり、とりわけ多数のものの見方の価値を認めるよう生徒に奨励することが重視されています。
    • また、世界のさまざまな地域の状況や事例を研究することがすべての生徒に義務づけられていて、こうした事例の比較を通じて国という枠組みを超えたものの見方
  • 現在と過去の関係性
    • DPの「歴史」を学習する生徒は、現在の世界が形成される過程で重要な役割を果たした歴史上の出来事を探究し、過去と現在の出来事がいかに複雑かつ相互に絡み合っているかを理解する機会を得ます。
      • 例えば、紛争、権利、統治といった今日の世界が直面している多数のグローバルな問題について、その歴史的な事例を学習します。これにより、過去を考察することを通じて、自分自身そして現代の社会に対する理解を深める。
  • 「課題論文」の例
    • 1965年から1972年にかけてベトナムで展開されたアメリカのフェニックス作戦は、どの程度失敗だったと言えるか。
    • ゲティスバーグの戦いにおける北軍の勝利の要因として、地形はどの程度重要だったか。
    • キューバ革命中の都市部の抵抗は、革命の成功にどの程度寄与したか。

IBDP「歴史」のねらい

  • 「歴史」のねらい
    • 過去に対する理解と、過去への飽くなき興味を育む。
    • 多数のものの見方に触れて、歴史的な概念、問題、出来事、発展の複雑さに価値を認めるよう奨励する。
    • 複数の地域の歴史を学ぶことにより、国際的な視野を育てる。
    • 学問領域としての歴史に対する理解を育み、年代や前後関係の感覚をはじめとする歴史的な意識を育て、歴史に対する異なる視点の理解を育む。
    • 文献を的確に扱うスキルなど、歴史学の重要なスキルを習得する。
    • 過去を考察することにより、自分自身と現代の社会に対する理解を深める。

IBDP「歴史」の評価目標

  • 評価目標1:知識と理解
    • 詳細、適切、正確な歴史の知識がある。
    • 歴史的概念と歴史的文脈を理解している。
    • 歴史の文献に対する理解を示す。(内部評価と「試験問題1」)
  • 評価目標2:応用と分析
    • 明確で論理的な議論を組み立てる。
    • 関連性の高い歴史的な知識を使用して、分析を効果的に裏づける。
    • さまざまな文献を分析し、解釈する。(内部評価と「試験問題1」)
  • 評価目標3:知識の統合と評価
    • 証拠と分析を統合して、論理的な議論を構築する。
    • 歴史上の問題や出来事についての異なる視点を評価して、議論に有効に統合する。
    • 歴史的根拠として文献を評価し、その価値と限界を認識する。(内部評価と「試験問題1」)
    • 関連する文献から得た情報を統合する。(内部評価と「試験問題1」)
  • 評価目標4:適切なスキルの使用と応用
    • 設問の要求に的確に応える、的の絞れた小論文を構成し、作成する。
    • 歴史学者が用いる方法論と歴史学者が直面する課題について考察する。(内部評価)
    • 歴史の探究を導く適切かつ的の絞れた質問を組み立てる。(内部評価)
    • リサーチスキル、および適切な文献を選択して参照し整理する能力があることを示す。(内部評価)

IBDP「歴史」コースの組み立て

  • ステップ1:「指定学習項目」を1項目選ぶ
    • 5つの「指定学習項目」から1項目を選択します(「シラバスの概要」のセクションを参照)。「指定学習項目」はそれぞれ、異なる地域の2つの事例研究で構成されています。選択した「指定学習項目」の事例研究は2つとも学習しなければなりません。
  • ステップ2:「世界史トピック」を2項目選ぶ
    • 12の「世界史トピック」から2項目を選択します(「シラバスの概要」のセクションを参照)。教師は、各トピックで取り上げる例を自分の裁量で選択できます。ただし、どちらのトピックも、複数の地域の例を使って学習しなければなりません
  • ステップ3:「HL地域選択項目」を学習する(HLのみ)
    • 日本語の評価では、「HL地域選択項目」としては「アジアとオセアニアの歴史」のみが提供されます。(「シラバスの概要」セクションを参照)。「アジアとオセアニアの歴史」の18 のセクションの中から3セクションを選択して学習します。
  • 内部評価
    • SL・HLともに、生徒は内部評価課題である「歴史研究」を完成させます。研究の対象となる歴史のトピックは、生徒が自由に選択できます。
  • 詳細はhttp://d.hatena.ne.jp/mmm000mmm/20160417/p1も参照