雑録

そして初恋が妹になる(体験版)の感想・レビュー

勤労被搾取人民モノ。不幸な家庭環境出身の困窮する若者が絆を結んで相互扶助します。
バイト戦士でも気の合う仲間たちと過ごす毎日に青春を感じるのも束の間、廃校・廃寮のお知らせ。
主人公くんを兄と慕ってやってきた自称イモウトはそれを聞いて自暴自棄になってしまう。
発狂する自称イモウトを説得するため主人公くんは自らの凄惨な過去をカミングアウト。
主人公くんは自称イモウトを真イモウトにする決意をするのですが、彼女は初恋の相手だったことが判明。
こうしてタイトル解説がなされOPが流れたところで体験版はお開きとなります。

アンチ「リア充青春」

  • 青春じゃない青春物語
    • このゲーム作ってる制作会社には青春を唱えながらも「リア充青春」を否定する作品がいくつかあります。音楽のやつとか未来視のやつとか吸血鬼のやつとかが思い浮かびますね。最近の業界の傾向としては学校生活=「楽しい」ものであると肯定されがちですが、実際には「学校生活というものは楽しいとか楽しくないとかそんなものじゃない」ことは身をもって体験しているはずです。しかしながら、そんな学校生活に納得しているかといえばそうではありません。・・・と、いうわけで、フツーのリア充青春を否定したうえで、マイノリティ・アウトサイダーたちの青春像を模索する動きがこの系統の醍醐味なんですね。今回の作品では生活に困窮するバイト戦士たちが取り上げられます。日本では中卒だと人生ハードモードであり高校在学or高卒でないとバイトさえままなりません。そんなわけで主人公くんたちは高校生活を流しながらバイトを掛け持ちして学費と生活費を稼ぎだし必死に人生にしがみつきながら生きているのです。


  • バイトに対する勤労観とか
    • サブヒロインの田中は全力でバイトするバイト戦士。しかしそんな彼女を見て主人公くんは非効率的だと思うのです。バイトはあくまでも時給であり正社員とは違いタイムカードが全てです。全力でやったからといって残業代が付くわけでもなく、正社員登用などめったにありません。不都合があれば切って捨てられるだけのただのパチンコ玉に過ぎません。社会の歯車にすらなれないのです。だからといってテキトーにやれば信頼を失い、解雇されるだけでなく、近隣や系列会社のブラックリストに出回り面接で落とされるようになってしまいます。大事なのは真面目にほどほどやること。以上のような割り切ったバイト勤労観を抱く主人公くんに対して全力全開でバイトする田中。だからこそ主人公くんは田中にコンプレックスを感じ、自分にはねーもんを持ってると惹かれていくのですね。


  • 凄惨な家庭環境に抗え
    • 主人公くんは幼少期に虐待を受け、家を飛び出しました。同じような境遇の者たちは惹かれ合うものであり、ホームレス少女を偽妹とする契りを結び、ストリートチルドレンライフを送るようになります。物乞い・窃盗・ゴミ漁りとなんでもござれ。どんなにつらくても泥をかぶるのは主人公くんで偽妹には将来のために犯罪をおかさせないように配慮した心意気は深く偽妹の心を打ち、好感度マックス。しかしそんな生活が長続きするわけもなく社会に淘汰されようとした時に、主人公くんと偽妹は偶然にも資産家の爺さんに救われたのでした。爺さんの力で戸籍や保険を改竄し、何とか人並みの生活を手に入れた主人公くんは「公務員」か「経営が堅実な会社の正社員」を目指します。高卒資格を得るため学費・生活費を稼ぎ出すバイト戦士として戦う主人公くん。
    • 「せーしゅんなんて言ってられない」とあくせく働く主人公くんでしたが、同じようなバイト戦士たちや主人公くんの妹を名乗る「イモウト(仮)」が学園寮に集結していきます。アウトサイダーたちはお互いの境遇を良く理解し絆を構築していき、ちょっとは「せーしゅん」を感じられるようになったのです。しかしそんな仮初の生活は一瞬にして終了。資産家の爺さんが多額の借金を背負ってしまい、学園は廃校となり学園寮も閉鎖される流れになります。
    • ここからが体験版のクライマックス。学園寮の閉鎖を聞いた「イモウト(仮)」が精神崩壊。束の間でも幸せを知ってしまったからには、もう自分をイジメる親戚のところには戻りたくないと駄々をこね、死んだ方がマシとのたまうのです。はいはい「Pity is akin to love.」(漱石)展開ですね。主人公くんは、「イモウト(仮)」に自分と偽妹の関係を暴露し、お前も妹にしてやると宣言するのです。「イモウト(仮)」を救ったのは良かったのですが、記憶がフラッシュバックし、その子が自分の初恋の相手だったことを思い出します。こうして初恋が、妹になったのですね!と体験版はお開き。